花言葉に想いをのせて

皇 晴樹

文字の大きさ
11 / 11
花言葉に想いをのせて

薔薇と桃の花

しおりを挟む
***

それから一年が経った。

4月。出逢いの季節。

『カランカラン』

「いらっしゃいませ…」

「お久しぶりです」

「え!?」

「今日は花を買いに来ました。薔薇を一本、プレゼント用でお願いします」

「は、はい」

どうして彼がここにいるの?

聞きたいことはたくさんあるけど、今は仕事中だから我慢。

「お待たせしました」

「ありがとうございます。今日は何時に終わりますか?」

「16時には終わりますが…」

「そうなんですね。では、お仕事が終わったら月見野公園に来てください」

「わかりました」


☆☆☆

言われた通りに月見野公園に行くと、彼はベンチに座っていた。

「どうしたんですか?」

「突然すみません。どうしても貴女と話がしたくて……あ、今更ですが、僕は藤宮 幸樹ふじみや ゆきです」

「私は、華村 果梨はなむら かりんです」

藤宮さんの隣に静かに座った。


「……僕は貴女にずっと伝えたかったことがあるんです。あの写真と花言葉から気づいてはいると思うのですが…」

私の前にさっきの薔薇をスッと差し出して、私の目をまっすぐ見つめた。

そして、ゆっくりと口を開いた。

「僕はずっと、貴女のことが好きでした。付き合ってください!」

一本の薔薇の花言葉は……

「一目惚れ」

「え?」  

「花言葉です。当たってますか?」

「はい。僕は貴女に一目惚れをして恋に落ちました。それからいろいろと花のことを調べて、花言葉を覚えました。貴女に振り向いて欲しくて…」

彼のやり方は遠回りだったかもしれないけど、全部ちゃんと私に届いている。


「昨年異動になってしまって、貴女に直接別れを言えず、ワスレナグサの花言葉に頼ってしまいました。またここに戻ってくることができたら言おうと心に決めていたんです。薔薇の力も借りたけど、1番は自分の言葉で…」

「……あなたの想いは十分伝わっています。とても嬉しいです」

今度は私の番。
彼に桃の花を差し出した。

「私の返事は、桃の花の花言葉です」

「……“私はあなたの虜”」

「はい」

「つまり…」

「よろしくお願いします」

そう言って微笑むと、ぎゅっと抱きしめられた。

「今、すごく幸せです!」

「私もです」

ふわりと桃の花の甘い香りがする。

その香りに包まれながら、

甘くやさしい口づけをした。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

真実の愛の祝福

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。 だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。 それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。 カクヨム、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

処理中です...