魔導具なら買い取ります!古道具屋『がらんどう』

なかな

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「3兄弟」現る

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″チリリーンッ、チリリーンッ‥″

 通知音が鳴り響く、この音は3階の店舗『がらんどう』にある「異世界門」が開いた時に鳴る音だ。

 あの異世界門をシリルが頻繁に使う様になったので、通った際に分かるようこちらにも「見張りのベル」を取り付けた。

 ただ、音色が店の入り口と被らないように、こちらは「鈴の音」。

 「見張りの鈴」が鳴り響くのは、誰かが異世界から日本に来た時だ。

「誰っ?!まさかカイゼル殿下がもう戻って来たとかじゃ無いよね?」

「ここに直接来られるのは、ごく狭い範囲の関係者のみだ。特権を持っている、とかな。」

「それって‥。」

「ふーっ、もしかしたらお出ましになったかもしれんな。あの兄達が。」

「えええっ!!!」
「えええっ!!!」

 私とリチャードの声が被ってしまった。

「状況が状況だからな、直接交渉にでも来たんだろ。カイゼルと同じようなものだ。」


 ″カララーンッ″


「まずい、誰かが店を出ようとしているな。とりあえず『がらんどう』に引き留める。5階には奴らを絶対に上げん!」

 ユーリは急ぎ、部屋を出て行ってしまった。


「あれー、ミツリちゃんを置いてっちゃって良いのかな?僕が裏切り者なら、このタイミングで攫えちゃうんだけど‥。」

「今さらでしょ、シリル君。君は逆にミツリを守ってくれる方でしょ?僕だって元々は魔術師だから、いざとなったら結構戦えるよ。一緒にミツリを守ろうよ!」

「ええっ!?」
「ええっ!?」

 今度は私とシリルの声が被ってしまった。

 リチャードが魔術師なのは知っていたけど、戦えるタイプだとは思っていなかった。
 結界張ったり、補助魔術でサポートに回るタイプだと思っていたのに。

「ランドールがいるから、僕の出番はいつも無かったけどね。でもおかげで今は無事に退職出来て、好きな事をしているから、ランドールにその点は感謝はしてるんだ。」

 ほんわかと笑うリチャードが攻撃魔術を繰り出す姿を、まるで想像出来ない。

「リチャード、戦えたんだ‥。」

「もちろんっ。近距離でも遠距離でも、どちらでもいけるよ。一応、王宮付きの魔術師だったからね。」

 にっこりと、可愛く笑う髭モジャ顔からは想像が付かないんだけどな。

 まぁ、何かあっても2人が居てくれるから大丈夫だろう。

 問題は下の階。

 ユーリは1人で大丈夫なのだろうか?

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