魔導具なら買い取ります!古道具屋『がらんどう』

なかな

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惑う(ユーリ視点)

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 シリルがミツリくんを構いすぎる。

 さっきの「もし結婚したら」も、元から考えていなければそんな話は出て来ないだろう。

 彼はおそらく私と同じくらいの年齢。
 ミツリくんのような10も歳が離れた子に、冗談だとしてもあんな話をするものではない。
 だが、もし冗談でなかったならば?

 その前も、余程眠かったのか知らないが、ミツリくんの寝ているベットに入り込んで休んでいた‥。

 ミツリくんが結局許してくれると知っていて、甘えている。

 計算高いのは彼の能力の高さ故だが、ずる賢いのは頂けない。

 頭の中でどうでも良い事がグルグルと回る。

 どうでも良い事なの、か?

 ミツリくんを如何なる物からも守らなければならない。
 その事だけはハッキリしている。


 ◇◇◇


 思考がまとまらず、自室に籠っていた所にカイゼルがやってきた。

 これからイシュタニア国に戻るという。

 さっきまで日本のテレビ番組を見てニヤニヤしていた癖に、帰国を前にして、急に引き締まった顔付きに変わるのが憎らしい。

 私も目の前に迫る職務があれば、それに没頭出来るのに‥、今は足止め状態だ。

 魔王とも呼ばれたランドールが、娘を守るべく常に見張っているのだ。
 こちらの思うようには事を運べない。

「ユーリ、お前は少しゆっくりしとけ。幸いランドールが居るから、お前がボーッとしていてもシードは守られる。」

「それならもう、番人はランドールで良いんじゃないのか?今後、私はどこにも必要ない。」

「おいおいっ、投げやりになるなよ。なんか、昔のユーリに戻ったみたいだな。」

「そうか?私は今も昔もこうだろう?」

「‥‥。やっぱりミツリちゃんが居たから、ユーリは前を向けたんだな。まだ間に合うだろ。全て投げ出したくなる前に、ミツリちゃんと沢山過ごせ。」

「あんな子供にすがる程、俺は非力ではない。」

「‥呆れたぞ、ユーリ。番人である事を降りたくなったらいつでも言え。俺の治世であれば、ユーリを解放してやれる。」

 カイゼルはそう告げ、さっさとイシュタニアへと帰って行った。
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