未完成のクリード

紫苑色のシオン

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幕間 5

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 なぜこうなった。俺はもっと優秀なはずだ。だってそうだろ?中学の時にはいくつか賞も取ったし、クラスでも中心のポジションにいた。部活は文科系の物で今とは変わらないけど、部長もしっかり務めた。
 だから高校でも同じようにできるはず。そう思っていた。
 いざ高校に進学してみると、新聞部という漫画ではよく目にするが滅多に見ない部活を見つけて心躍ったものだ。仮に高校生活の中で事件が起きて、それをズバッと俺が解決し、その事を新聞にできたら。そう思うと凄く興奮した。だから即決で新聞部に入部することにした。
 しかし実態はどうだろう。小学校の時に月に一度配布されるような学内新聞を月に一度、玄関にある掲示板に張り出して終わり。文化祭ではバックナンバーの展示と簡単な部誌を作って販売するだけの地味な部活だった。学内新聞も内容がテンプレ化しており、見る人間は誰もいない。部活もやる気のない部長に、その部長に媚を売る先輩。俺と同じ様に理想と現実の差に打ちひしがれてやる気の失った同級生。
 なんだコレは。率直にそう思った。確かに漫画やアニメに影響されて過度な期待をしていた自分が悪いのは認める。しかし、だ。あまりもやる気が感じられないではないか。こんなの間違ってる。せめて何か目標を持つべきではないか。だが、部長はやる気ない様に見えるし…。
 そう考えていたその時だ。隣の席で三人ほど集まって何やら談笑しているのが耳に入ってきた。

「絵羽先輩、援交してるってマジ?」
「そんな噂があってさ」

 それが聞こえた時、神の啓示かと思った。如何にも新聞部で取り扱うべき内容ではないか!しかも書く内容によっては新聞部も注目を受けることになるかもしれない。そこに記者の名前が俺になっているとどうだ!一気に人気になるのではないか。
 …一つ忠告しておきたいのだが、決して俺は名誉が欲しいのではない。ただ、折角の高校生活なのだから、何か記憶に残るような強烈なことがしたいのだ。
 その日に早速部長に掛け合ってみた。部長は最初の方こそ渋っていたが、珍しく部長に媚を売っている先輩が俺に賛同し、俺の持ちかけた案を採用することになった。
 次の日から早速調査することになったのだが、ここで問題が起きた。玄関の掲示板に件の先輩の援交の現場写真と思われるものが数枚張り出されていたのだ。これには驚いたが、いやはや、冷静に考えると、事が大きくなればなるほど新聞部への注目が集まる率も高まるというもの。犯人が誰かはまだ分からないが感謝しておこう。
 そして昨日噂話をしていた女子三人組に話を聞いたところ、裏掲示板というサイトがあることを知った。新聞部の中で一早く情報源を手に入れたのだ。これにはあの部長も先輩も驚いて、俺のことを見直すことになるに違いない。そう思っていた。

「でしょうね」

 部長に言われた一言がそれだった。どうやら部長は裏掲示板の存在を既に知っていたようだ。冷静に考えれば、三年生なんだ、知っていてもおかしくないし、知っている前提にする方が正しいような気がしていた。
 そこからは部長に一方的に言われるがままだった。噂の発生時期を聞かれ、それを調べていなかった俺は言葉に詰まった。溜め息一つ溢した先輩が噂の発生時期をさらりと答えてしまった。その先輩に大人しくしていろ、と制され、その日の部活は解散になるまで何もできなかった。
 非常に悔しい思いをした。俺が思っている以上にあの二人は優秀な人間なのかもしれない。でもだからといって諦めない。必ず今回の事件で俺の名を学校中に広めてやる。部長も先輩も犯人に目星がついていないようだが、明らかにあの人が犯人じゃないか。なぜあの人を追及しないかのかが俺には分からない。
 部長も先輩もやらないのなら俺がやる。あんなに馬鹿にされたままでいられるか。
 俺がこの事件、解決してみせる。

 幕間五 終
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