ぼくの夢をくれた理学療法士と超能力な患者さんたち

莉桜咲

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ぼくの夢はサッカー選手

8.病院へ

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 今から病院か、やだな。行きたくないな。叶翔かなとを幼稚園へ連れて行って、そのまま病院へ行く。すごく晴れている。今日は、体育の授業があるんだ。50メートル走のタイムを計るんだ。去年ぼくはクラスで2番だったんだ。1位は、陸上をやっているクラスメイトだ。ぼくは2位だったけど、クラスメイトのみんながすごいってめてくれたな。女の子たちもすごいって褒めたり、応援してくれたり、うれしかったな。今日も行きたかったな。走り込みの練習しているし、今度はクラスで一番になれるかなと思ったんだけど。

 ばくはまだ、一人じゃ歩けないから、車いすに乗って、お母さんに押してもらった。しばらくすると呼ばれたんだ。
「こんにちは。桜川です。大夢ひろむくんを担当させてもらうね。一昨日は大変だったね。よくがんばったね。」
先生がにっと笑った。ムキムキな先生だな。ぼくはうなずいた。
「体調はどう?まだ、ひざは痛む?」
まだまだ、痛い。真っ赤になってれているし。膝を曲げたり、伸ばしたりできない。お風呂もトイレも大変だった。
「はい。膝が痛くて、歩けません。」
「そうだよね。今日も痛み止めを出しておくから、痛いときに飲んでね。今日は、検査とか今後のことを決めようと思うよ。」
手術の日かな。やった。来月くらいにはできるかな。そうすれば夏休み中のリーグ戦に間に合うだろうし。
「よろしくお願いします。」

 その後、先生が膝を触ったり、またトンネルみたいな機械のMRIとかいう検査をしたんだ。そうこうしているといつの間にか、お父さんも一緒にいた。お仕事終わったのかな。お父さんとお母さんが先生とお話している間、ぼくも看護師さんとお話した。
「大夢くん、検査がんばったね。お膝痛いのに、よくえたね。」
目がクリっとしたキレイな看護師さん。
「これくらい、なんていことないですよ。ぼくはいつもサッカーの練習できたえているから。」
ぼくは背番号10のエースストライカーになれたことや、一昨日の試合でゴールを決めたことを話した。そうしたら、ずっとすごい、すごいってたくさん褒めてくれた。

 そして、先生からの説明を聞きに行ったんだ。
「大夢くん、この前にも同じことを聞いたと思うけど、やっぱり前十字靭帯断裂ぜんじゅうじじんたいだんれつだね。」
そういえば、一昨日の先生もそんなこと言っていたな。でも、痛かったから、あんまり覚えてないや。
「はい。」
「太ももの骨とすねの骨をつなぐ、靱帯じんだいというものあがって、その中の一つの前十字靭帯が切れてしまったんだ。」
イラストを見ながら説明してくれた。
「はい。でも手術をすれば、くっついて、またサッカーできると聞きました。」
この前の先生はそう言っていたはず。
「そうなんだ。けれどね、大夢くん、実はその手術はすぐにはできないんだ。」
え?すぐはできない?ってことは再来月とか?
「来月は無理でも、6月とか7月くらいにはできますよね。それなら、リーグ戦にギリギリ間に合いますね。」
先生の顔が少しくもった気がした。
「落ち着いて聞いてね。大夢くんは今11歳だよね。まだ、成長中だ。これから身長もたくさん伸びると思う。それこそ、20センチ、いや30センチくらいびるかもしれない。」
ぼくは今150センチくらいだから、まだまだ伸びるよ。まずはお母さん、そしていつかお父さんをかすんだ。
「ただ、成長途中で手術をすると、成長軟骨板なんこつばんきずつけてしまって、骨が成長しなくなる可能性があるんだ。」
ん?難しいぞ。ぼくがうなずいたら、先生が説明を続ける。
「つまり、成長が止まるまで、手術はできないんだ。」
目の前が真っ暗になった。手術ができない?どういうこと?
「手術ができない?」
「そう、残念ながら、成長が止まる高校生くらいまで、手術はできないんだ。」
お母さんが泣いている。ぼくもつられて涙目になってしまった。
「手術ができないって、どういうこと?サッカーできないってこと?なんで?」
「手術をしなくても軽く走ったりはできるよ。ただ、今まで通りのサッカーは難しいと思う。」
え?サッカーができない?ぼくはこらえていたけど、限界で泣いてしまった。そうしたら、お父さんがぼくの背中をさすってくれた。けれど、お母さんも泣いている。
「そうだよね、つらいよね。大夢くん、エースストライカーだもんね。でも、高校生くらいになって手術をすれば、またサッカーできるよ。」
その後のことは覚えていない。ぼくはもうサッカーができない…?
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