「異世界レシピ」スキルで新人ギルドを全力サポートして、成り上がります!

沢野 りお

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ギルド

魔力と新しいスキル活用法

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魔力量及び魔力消費量、魔法を行使するのに必要な魔力量を数値化することはできない。
すべて、術者の感覚、経験で判断するしかないのだ。
スキル鑑定では、神から与えられたスキルがわかるのみで、【属性魔法】がスキルにあれば、おおよその個人の魔力総量が表示される。

「私の魔力量は多いとは出たが、他の多いと表示された人とどれだけ保有量に違いがあるのかはわからない」

「曖昧ですね」

うん、と眉間に深いシワを刻んでオスカーさんが、重々しく頷く。

【属性魔法】スキルを持っていても、初級、中級、上級とランクがあり、最初から中級や上級ランクの魔法を使える人もいれば、初級しか使えない人もいる。
中には特級とか神級の魔法を使っていた「賢者」と呼ばれる人がいたらしいけど、これは【属性魔法】スキルの恩恵ではなくて【賢者】スキル持ちだったのでは? と考えられているんだ。

「当然、初級魔法より中級、中級魔法より上級魔法のほうが消費される魔力は多い。魔力量が少ない人は生涯初級魔法しか使えないと思われている。まだ研究中だがな」

オスカーさんが今日、ギルド支部のギルドマスター講習で仕入れてきた魔法理論ともいえる考え方は、ギルドマスターの資格を得るために通っていた学園での同級生からの受け入りでその人とは久しぶりに再会したんだそうです。

「奴は変わり者でなぁ。魔法理論の研究を正々堂々とするためにギルドを立ち上げると常々公言していた。そんなギルドに出資する者がいるのかと学園の中でも噂になっていたんだが……」

ギルド支部で講習を受けているということは、その稀有な出資者が見つかったんですね。
そして、その変わり者のお友達が研究している一つに「魔力量」があるそうで。

「魔力量の数値化にチャレンジしているんだ。あとは初級魔法しか使えない魔法使いを成長させること。どれも無理と判断されていることなんだけどな」

オスカーさんは、どこか遠くを見るような目であらぬ方向へ視線を飛ばします。

「それで、そいつが唱える理論は、【生活魔法】の魔力量はどんな魔法を使おうと一定である……らしい」

「一定ですか? 【清潔クリーン】でも【乾燥ドライ】でも【点火ファイア】でも?」

「ああ。しかもその効果には行使する人によって差があるが、それでも消費される魔力は誰もが同じらしい」

ぼくはちょっと首を捻った。
ぼくの【生活魔法】の効果は、だいぶ他の人とは差があるというか、すでに別の魔法と言っても過言ではないような?

「あのぅ。それって部屋丸ごとキレイにできたり、家一軒丸ごとキレイにしたりしても同じですか?」

そもそも【清潔クリーン】って人一人分ぐらいの範囲しか効果出ないですよね? その魔法とぼくの規格外の【生活魔法】が同じ消費魔力量って、そのお友達の魔法理論を早速ぶち壊してしまいそうなんですが?

「うっ。うーん、クルトの今日の成果を見たら私もその理論は怪しいと思うけど……。とにかく、そいつが言うには【生活魔法】の消費魔力は「1」らしい。これは種類に関係がない」

えーっ、「1」、たったの「1」ですか? あのお屋敷をキレイにした【生活魔法】の消費魔力が一回「1」だけ?

「オスカーさん。その人の理論……信じちゃダメです……」










翌日、ぼくたちは少し早めに朝起きることにしました。
オスカーさんは、座学が続くため朝は剣の訓練をすることにしたそうです。
「雑念を払いたい」とキュッと顰めた顔で言ってました。

ぼくの早起きは、昨日オスカーさんが市場で買ってくれた食材を使って朝ご飯とお昼のお弁当を作るためです!
むんっと右腕に気合を入れてキッチンへレオと一緒に向かいます。

昨日の話し合いでは、結局ぼくのスキルはわからないことが多すぎるので、人に見られないように使うことと、消費魔力量が不明なので乱用しないことを約束して終わってしまいました。
まだ、レオのこととか勝手にスキルが行使されることとか、オプションが付くこととか、オスカーさんに報告してないことばかりなのに、「私はもうお腹いっぱいだ」と疲れた顔で寝袋に入りこんでしまったから、無理に話を続けることはできなかったんだ。

とりあえず、今日からはいつも使う場所を人力でお掃除して、お庭の掃き掃除でもしよう。
他の掃除や煙突掃除した後の暖炉掃除のことも、オスカーさん曰く「他のギルドメンバーが揃ったらリフォームの相談をしよう」とお預けになってしまったから。

さて、オスカーさんが買ってきた食材をまず並べていこう。

「パンとベーコンと卵と、ミルクとチーズと葉物野菜と根菜……芋があるな」

ふむふむ。
レオもみょーんと体を縦に長ーく伸ばしてテーブルの上の食材を見ている……だよね?

「あ、紅茶も買ってきてある。あとは、調味料でお砂糖とお塩と……」

朝食の定番は作れそうだけど、お昼ご飯のお弁当はどうしよう?
オスカーさんの分だけでなく、自分の分も一緒に作っておけば楽チンだと思うんだけど。

「朝はスープも必要かな?」

あ、ぼく用にオレンジジュースもあるし、果物も数種類買ってあるね。
オスカーさんは貴族の出だから、品数も多いほうがいいのかな? 平民だとパンとスープぐらいで済ませちゃうから、それより一品か二品多ければいいか。

「まずは野菜類を切らないとね」

よいしょっとオスカーさんが用意してくれたぼく用の踏み台に足を乗せる。

メニューはパンとサラダとミルクスープ、ベーコンエッグと紅茶でいいよね!
ぼくの手には少し大きなナイフを案外器用に扱って野菜の皮を剥いていく。
魔道コンロや蛇口にも魔石が補充されているから、安心して調理ができるね!

「お昼は厚めに切ったベーコンとスクランブルエッグのサンドイッチにしよーっと」

お肉も数種類買ってきておいてくれているから、お弁当には焼いたお肉も入れよう。
自分でもびっくりする手際の良さで、サラダとスープ用の野菜を切って、フライパンでベーコンを焼いてほどよい頃に卵を割り入れる。

「胡椒をガリガリと。あとはパンをちょっと焼いて、ドレッシングを用意して……」

そうそう、紅茶も淹れる準備をしておかないと……って、ぼくは紅茶を美味しく淹れられるのか?

「ムムム? 確か貴族様の飲む紅茶は丁寧に淹れるとか? ぼく、紅茶を淹れたことあるの?」

ぼくのお手伝いで、新品のお皿やカトラリーをテーブルに並べていたレオがピタリと動きを止めたぼくを心配そうに見上げる。

「あー、紅茶ってどうやって淹れるの? そもそもこのメニューで朝ご飯はいいの?」

やけくそ気味に叫ぶぼくの声に反応して、最早耳慣れたあの言葉が……。

<リクエスト>朝食、紅茶
食材を確認します。確認しました。調理できるメニューを表示します?
…………。不足している食材があります。不足している調味料があります。
……………………。

「うわわわわっ。え? え? なになに?」

半透明の画面が「シュン」て出てきたのはいつもと同じだけど、なんか凄い勢いで文字が、文字がスクロールされていくんだけど?
そして、赤い点滅とともに半透明の画面が訴えることには。

「調味料の不足ってなに?」

そ、それより、あ、頭がガンガンする……。

「レ……オ、オスカー……さん、よ、よんで……」

ぼくはレオに助けを求めて、そのまま後ろにバッタリと倒れてしまった。
意識をブラックアウトさせて。
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