85 / 85
新しい仲間は凄い人
ぼくはギルドの雑用係
しおりを挟む
お客様二人から少し離れた所で、ぼくたちはこそこそと話し合います。
「どうするんだ、オスカー?」
ハルトムートさんは呆れた視線を二人のお客様に注ぎながら、ギルドマスターであるオスカーさんの判断を促しました。
「強いことは強いんでしょうけど」
「……ちょっと変人だな」
ビアンカさんとディータさんもギルドに入れるのに少し不安そう。
「あいつらギルドクラッシャーなんやろ? 危険だと思う」
ミアさんの耳と尻尾がへにょりとしてしまった。
「う、ううーん。しかし断るのもなんだか心が痛むような」
オスカーさんの顔が苦悶に歪んでいます。
わかります、わかります! なんだかあの二人を見捨てたら、お腹を空かした子供を見捨てるような罪悪感に苛まれますよね?
ぼくは、トコトコと二人に近づき無邪気を装い質問をしてみました。
「あのぅ、お二人はこのギルドで恋人とか探すつもりですか?」
「「は?」」
「だって、前のギルドでは揉めたんですよね? イロコイ問題で」
ぼくの質問にお二人の顔がカァーッと真っ赤に染まる。
「いや、いやいやいや。だ、大丈夫だから、本当に、大丈夫だから!」
ドラゴニュートの男の人、ユリウスさんは顔の前で両手を振って否定しまくります。
「私も……特に恋人とか必要じゃないし。仕事とプライベートは分けるタイプだもん」
「ぷら? ぷらいべーとですか?」
何のことだろう? エルフ語なのだろうか?
そして、ぼくたちの会話が聞こえたビアンカさんがドシドシと足音を鳴らして来ました。
「ちょっとー、アタシだってそういう意味では大丈夫よっ」
ふんっと両手を腰に当てて、ぷくっと頬を膨らませています。
そして後ろではなぜか怒りまくったハルトムートさんをオスカーさんとディータさんで羽交い絞めにして抑えてました。
「てめーっ! うちの娘じゃ相手にならねぇつーのかっ! 表に出やがれっ、ぶん殴ってやる!」
落ち着いてください、喧嘩はダメですよー。
荒ぶるお父さんを宥めるのに少々の時間はかかりましたが、なんとか落ち着いてもらって、今はギルド加入予定者二人にギルドハウス内を案内しています。
ぼくだけでいいのに、ぞろぞろとみんなで案内しています?
うん? ヒマなのかな?
「ここがぼくたちの居住部分で、一階が食堂とキッチンです」
ギルド部分は案内済ですので、一旦裏口から出ていつもの出入り口から入ります。
「広いのね」
「元男爵家の持ち物だって?」
キョロキョロと見回す二人への応対はオスカーさんたちに任せて、ぼくはテーブルとイスのチェックをします。
だって、二人もメンバーが増えるんだもん。
テーブルはかなりの大きさがあるので二人増えても大丈夫。
椅子もまだ四脚あるから、間に合うみたい。
肩からさげた鞄からレオがポヨンポヨンとぼくの体にアタックしてくるのは、「早く紹介してくれ」という催促だろうけど、まだもうちょっと待っていてね。
「じゃあ、次は二階へ」
二階はぼくたちの部屋があります。
二階も三階もまだ部屋は余っているので、好きな所を選んでください。
「個室なのか」
「嬉しいわ」
二人は空き室の扉を開けては中を確認して、うんうんと頷いてる。
それから、トイレとお風呂と地下の訓練場、食材置き場とワインクーラーの場所も教えます。
「食材とワインは勝手取らないように!」
ぼくが怖い顔で注意すると、二人は少し笑いを堪えながら「わかった」と応えてくれました。
「ああ、でもお風呂があって毎日入れるなんて嬉しい!」
「トイレもキレイだったし、外と地下の訓練場は整っているし、いいな」
そうでしょう、そうでしょう。
なんとなくぼくらが自慢げに胸を張っていると、二人は「はーっ」と肩を落としてため息を吐いた。
「でも、俺たちじゃこのレベルを維持するのは難しいなぁ」
「ええ。掃除も困らない程度にしかできないもの」
「なんのことです?」
「だって、当番制で掃除やら料理やら家事をしているんだろう? 高ランクギルドになれば専門の人間を雇うこともできるけど」
「……ぼくがやりますから、大丈夫ですよ?」
お掃除もお料理も、庭仕事だってぼくに任せられています!
お休みの日もありますが、そのときだけ自分のお部屋やトイレを掃除してくれればいいんです。
ご飯は外に食べに行ったり買ってきたり、最近はカズたちに習って自分で作ったりもしていましたね。
「「えっ?」」
二人がビックリした顔でぼくを見るので、ニッコリ笑って頷きました。
「はい。ぼくはこのギルドの雑用係ですから」
だからギルドハウスは、あちこちどこもピカピカなんです。
「おい……おい、オスカーとか言ったよな? ここのギルドマスターは?」
「ええ。確か、あなただったわよねぇ?」
ズモモモモと地の底から響くような低い声がお二人の口から洩れて、オスカーさんの両肩をガシッと掴みました。
「な、なんだ?」
オスカーさんがちょっとビビッてます。
「こんな子供をこき使うなんて!」
「まさか、人身売買とかじゃねぇだろうなっ」
「ええーっ!」
ご、誤解です、誤解ですぅぅぅぅっ。
ぼくは二人とオスカーさんの間に入って涙目になりながら、オスカーさんとの初めての出会いから今までの経緯を話したのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お読みくださりありがとうございます!
次章までしばしお休みをいただきます。
更新再開しましたら、またよろしくお願いいたします。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうするんだ、オスカー?」
ハルトムートさんは呆れた視線を二人のお客様に注ぎながら、ギルドマスターであるオスカーさんの判断を促しました。
「強いことは強いんでしょうけど」
「……ちょっと変人だな」
ビアンカさんとディータさんもギルドに入れるのに少し不安そう。
「あいつらギルドクラッシャーなんやろ? 危険だと思う」
ミアさんの耳と尻尾がへにょりとしてしまった。
「う、ううーん。しかし断るのもなんだか心が痛むような」
オスカーさんの顔が苦悶に歪んでいます。
わかります、わかります! なんだかあの二人を見捨てたら、お腹を空かした子供を見捨てるような罪悪感に苛まれますよね?
ぼくは、トコトコと二人に近づき無邪気を装い質問をしてみました。
「あのぅ、お二人はこのギルドで恋人とか探すつもりですか?」
「「は?」」
「だって、前のギルドでは揉めたんですよね? イロコイ問題で」
ぼくの質問にお二人の顔がカァーッと真っ赤に染まる。
「いや、いやいやいや。だ、大丈夫だから、本当に、大丈夫だから!」
ドラゴニュートの男の人、ユリウスさんは顔の前で両手を振って否定しまくります。
「私も……特に恋人とか必要じゃないし。仕事とプライベートは分けるタイプだもん」
「ぷら? ぷらいべーとですか?」
何のことだろう? エルフ語なのだろうか?
そして、ぼくたちの会話が聞こえたビアンカさんがドシドシと足音を鳴らして来ました。
「ちょっとー、アタシだってそういう意味では大丈夫よっ」
ふんっと両手を腰に当てて、ぷくっと頬を膨らませています。
そして後ろではなぜか怒りまくったハルトムートさんをオスカーさんとディータさんで羽交い絞めにして抑えてました。
「てめーっ! うちの娘じゃ相手にならねぇつーのかっ! 表に出やがれっ、ぶん殴ってやる!」
落ち着いてください、喧嘩はダメですよー。
荒ぶるお父さんを宥めるのに少々の時間はかかりましたが、なんとか落ち着いてもらって、今はギルド加入予定者二人にギルドハウス内を案内しています。
ぼくだけでいいのに、ぞろぞろとみんなで案内しています?
うん? ヒマなのかな?
「ここがぼくたちの居住部分で、一階が食堂とキッチンです」
ギルド部分は案内済ですので、一旦裏口から出ていつもの出入り口から入ります。
「広いのね」
「元男爵家の持ち物だって?」
キョロキョロと見回す二人への応対はオスカーさんたちに任せて、ぼくはテーブルとイスのチェックをします。
だって、二人もメンバーが増えるんだもん。
テーブルはかなりの大きさがあるので二人増えても大丈夫。
椅子もまだ四脚あるから、間に合うみたい。
肩からさげた鞄からレオがポヨンポヨンとぼくの体にアタックしてくるのは、「早く紹介してくれ」という催促だろうけど、まだもうちょっと待っていてね。
「じゃあ、次は二階へ」
二階はぼくたちの部屋があります。
二階も三階もまだ部屋は余っているので、好きな所を選んでください。
「個室なのか」
「嬉しいわ」
二人は空き室の扉を開けては中を確認して、うんうんと頷いてる。
それから、トイレとお風呂と地下の訓練場、食材置き場とワインクーラーの場所も教えます。
「食材とワインは勝手取らないように!」
ぼくが怖い顔で注意すると、二人は少し笑いを堪えながら「わかった」と応えてくれました。
「ああ、でもお風呂があって毎日入れるなんて嬉しい!」
「トイレもキレイだったし、外と地下の訓練場は整っているし、いいな」
そうでしょう、そうでしょう。
なんとなくぼくらが自慢げに胸を張っていると、二人は「はーっ」と肩を落としてため息を吐いた。
「でも、俺たちじゃこのレベルを維持するのは難しいなぁ」
「ええ。掃除も困らない程度にしかできないもの」
「なんのことです?」
「だって、当番制で掃除やら料理やら家事をしているんだろう? 高ランクギルドになれば専門の人間を雇うこともできるけど」
「……ぼくがやりますから、大丈夫ですよ?」
お掃除もお料理も、庭仕事だってぼくに任せられています!
お休みの日もありますが、そのときだけ自分のお部屋やトイレを掃除してくれればいいんです。
ご飯は外に食べに行ったり買ってきたり、最近はカズたちに習って自分で作ったりもしていましたね。
「「えっ?」」
二人がビックリした顔でぼくを見るので、ニッコリ笑って頷きました。
「はい。ぼくはこのギルドの雑用係ですから」
だからギルドハウスは、あちこちどこもピカピカなんです。
「おい……おい、オスカーとか言ったよな? ここのギルドマスターは?」
「ええ。確か、あなただったわよねぇ?」
ズモモモモと地の底から響くような低い声がお二人の口から洩れて、オスカーさんの両肩をガシッと掴みました。
「な、なんだ?」
オスカーさんがちょっとビビッてます。
「こんな子供をこき使うなんて!」
「まさか、人身売買とかじゃねぇだろうなっ」
「ええーっ!」
ご、誤解です、誤解ですぅぅぅぅっ。
ぼくは二人とオスカーさんの間に入って涙目になりながら、オスカーさんとの初めての出会いから今までの経緯を話したのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お読みくださりありがとうございます!
次章までしばしお休みをいただきます。
更新再開しましたら、またよろしくお願いいたします。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
42
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる