みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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運命の鐘を鳴らしましょう

兄と妹の擦れ違いと同族の不思議

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ピクッと嗅ぎ馴れない匂いに、思わず反応した。
嗅ぎ馴れないけど、嗅いだことのある匂い。
それはあのときの、匂い。
ヒクヒクと鼻を動かして、匂いの元を辿るように視線を動かす。

いた。
冒険者ギルドのギルマスの部屋へと通じる階段に、匂いの元の獣人の青年がいた。
長い銀髪にしなやかな体。
記憶とは似ているようで違う、その姿に俺の目は眇められる。
あのときは・・・人の姿だったのに。

若干、着なれない様子の使用人の服を着て、小さな女の子の手を引いていた男。
もうひとり初老の男と一緒にいた。

今は、階段の上で一緒にいるのは白髪の男と同じ白髪の幼児。
茶髪の少女と金髪の麗しい容貌の男・・・エルフ族か?
後ろには黒い髪の猫獣人と狐の獣人の青年。
誰ひとりとして見覚えが無い。

俺は首を捻った。
たまたま同じ匂いの人だったのだろうか?
狼獣人でそれなりに嗅覚の鋭い俺だけど、特定の人物の匂いを嗅ぎ分けたことなんてない。
どの種族の獣人でも、同じ狼の獣人でも、その人を個別に認識する匂いなんてわからなかった。
なのに、あのときと今、俺はその匂いを嗅ぎ分けた。
あのときはその匂いに、あの場所に同じ獣人がいることに気を取られて、あの方の傍を離れてしまい、あの凶刃から守ることができなかったというのに。
今もまた、あの匂いに思考が支配される。

「どうした?ユーグ」

あの方、ヴィクトール殿下には俺が呆けた顔で階段をボーっと見ているように感じんたんだろう、ポンッと肩に手を置いて声をかけてきた。

「いえ・・・」

「知り合いでもいたのか?」

「いいえ。ただ、ギルマスの部屋に冒険者たちが・・・」

「ああ、例のビーストとかいう化け物の調査で、学者の町から呼ばれた魔獣学者殿ではないのか?」

そういえば、魔獣と獣人を掛け合わせた醜悪な生き物が討伐されたと、最近話題になっていたな。
その調査のため、前宰相が治める町に滞在している高名な学者を呼び寄せたとか。
そもそも、その化け物を倒したのが、その学者だとかいう話だった。

ヴィクトール殿下・・・今は冒険者のヴィーと名乗っている・・・と雑談を交わしていると、背中に視線を感じた。
これは、さっきの銀色の狼獣人の視線だろうか?
それと・・・もうひとつ。
いや、この視線は俺ではなく、ヴィーを見ている?
俺が気付いたように、ヴィーもその視線に気づいたのかふと俺の頭の上、階段へと目線を上げる。
釣られるように、俺も後ろを振り向く。
バタバタとエルフが少女を抱えて階段を駆け上がっていく姿が、かろうじて映った。
なんだ・・・?

「ふふふ」

ヴィーは珍しく柔らかい顔で、楽しそうに笑った。

「思い出しちゃうな、あれぐらいの少女を見るとね・・・シルヴィーのことを。かわいい子だったな・・・」

そう思い出を零して、寂しそうに眼を伏せる。
この人の悲しみは、まだ癒えることはない。












宿屋の食堂でご飯を食べる気にならなかったので、馬車に籠りひたすらメンチカツを作りました。
フォレストブラックブルの肉とボアの肉を合い挽きにして、玉ねぎとナツメグと・・・。
こねこねして丸めて、粉付けて卵液付けてパン粉まぶして、揚げる!
ひたすら揚げる、揚げまくる!
付け合わせのポテトも揚げる。
あとはサラダと、私は米を食べるから炊くが、他のみんなはパンかな?
ソースは市販の物を使うけど、味が少し薄いんだよねぇ・・・。

そして、カミーユさんが帰ってきたところで、お皿に山盛り、ドン!と出しました。

「わああっ、すごいねぇ」

満面の笑み、あざーっす!
そしてしばらくは、無言でご飯をひたすら咀嚼する。
落ち着いてきたら、改めてカミーユさんにギルドであったことを話す。

「ふーん。リュシアンだけ、なんとなく身バレしているのかぁ」

「いや、なんで俺だけなんだよ。俺はそいつのこと知らないぜ?」

「それで余計なことに巻き込まれたたくないから、私たちはカミーユさんの護衛依頼も終わったし、明日にでも王都を離れようかな・・・って、え?ええええっ!」

そう。
君子は危ないことには近づかないのだよ・・・と王都を離れることにしたんだけど・・・、それを話したらカミーユさんがご飯を食べながら大号泣しだしたんだけど?

「うえっぐ・・・えっぐ・・・そんな・・・ぞんなぁぁぁぁっ、リオネルが・・・リオネルが・・・・」

あー、ブラコンだもんねぇ。
リオネルと離れ離れって聞いたら・・・そりゃ泣くよねぇ。
リオネル本人はそんな兄の愛情も知らずに、メンチカツを頬張ってますけどね。

さて、どうしようかな・・・。

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