みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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運命の鐘を鳴らしましょう

王都での過ごし方が決まりました

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これから「王都ギルド」に行ってお偉いさんたちと会議とかするのに、相変わらずラフな恰好で、私が作った朝ご飯のピザトーストもどきを、もきゅもきゅと食べているカミーユさん。
その隣でややげっそりとしながら、ホットドッグをガブガブ食べている、スーツ姿のリュシアン。

泣いた赤子に勝てやせぬ・・・ではないが、カミーユさんがどうしても泣き止まなかったので、苦肉の策で私たちは王都でバラバラに活動することにしたのだった。
つまり、これから貴族街に近い「王都ギルド」に通うカミーユさんの護衛として、リュシアンが同行することになりました。
なので、いつもの冒険者スタイルから、ちょっとお洒落なスーツ姿なのです。
貴族とか偉い人とかに会うからね。

「・・・はあぁぁっ、気が重い」

「まあまあ、似合ってますよ。西ギルドを利用している冒険者なら、よっぽどのことがない限り「王都ギルド」には来ませんから、安心してください」

「・・・へぇーい」

カミーユさんが立てた仮説では、ヴィクトル兄様と一緒にいた獣人がリュシアンの気配が分かるのは、同族の何かを感じているのでは?とのこと。

「同族のですか?」

「ええ。彼は一見狼獣人ですが、希少種の神狼族でしょう?その獣人は神狼族が判別できるのでは?」

・・・なんで?

「獣人は元になった獣としての特性は失われたと言われています。ですが、一部の獣人、希少種には先祖返りともいえる特性が見られる場合があるそうです」

「希少種・・・」

カミーユさんは魔獣の研究をしているのだが、その比較対象として獣人にも詳しいらしく、特に希少種の獣人は魔獣と共通するスキルや魔法が見られるため、一時期没頭して調べたらしい。

「神狼族では群れを作る特性があるそうです。・・・というか群れの中でないと弱まるそうで」

私はじぃーっとリュシアンを見る。
みんながリュシアンを見る。
あ、リュシアンの首が真っ赤になってきたぞ。

「バッ!別に俺は・・・ひとりでも・・・平気だし・・・」

いやいや、その態度が既に「ひとりは寂しいの・・・」のかまってちゃんですがな。

「その獣人さんも神狼族なのかな?」

「いいえ。同族がわかるスキルが神狼族特有のものなら、リュシアンさんが感じないのはおかしいです。その獣人さんは純血な神狼族ではなく、何分の一か神狼族の血を引いているのでは?」

「ああ、だから、神狼族のリュシアンを群れのボスとして認識してしまったとか?」

セヴランが閃いた!みたいな弾んだ声で指摘すると、リュシアンはさらに顔を真っ赤にした。

「なんで、俺が知らない奴のボスなんだよっ!」

「群れのボス・・・というより、その者の支配下に入るとか庇護に入るとか・・・そういう感覚でしょう。だから、手下その一としてボスの匂い?がわかるとか」

私たちは、無言でリュシアンを見つめ、そっと近寄り・・・クンクン。

「匂いなんてする訳ねぇーだろうっ!」

「・・・失われた獣性。もしかしたらフェロモンかもしれませんね」

カミーユさんまで揶揄うように告げる。
とにかく、その獣人さんはリュシアンだけは識別できるという仮説のもと、リュシアンだけを私から遠ざけるようにした。
なんでも高ランク冒険者はいずれ貴族とかとやりとりすることもあるので、ここら辺でそういう奴らとの付き合いに馴れておいた方がいいらしいし。

代わりにアルベールが西ギルドに通い、ルネとリオネルと一緒に冒険者稼業に精を出すことになった。
ついでに、ヴィクトル兄様とその獣人さん、他にも仲間がいるのかどうか探ってくれるらしい。
ここでもアルベールのAランク冒険者の肩書きが役に立つみたい。
ソロで有名なアルベールが、他の冒険者のことを聞きまわっても、「ああ、パーティー仲間を探してるんだ」と誤解してもらえるそう。
そして・・・。

「私は、また留守番な訳ね・・・」

リュシアンもベルナール様と会う危険性はあるけど、私がベルナール様と会うよりはマシだし。
その上、私はヴィクトル兄様と会うことは絶対に避けなければならない。
アルベールはいいわよね。
トゥーロン王国の王都に居たときは、ずっと爺さんの姿に擬態してたし・・・。

「私だって顔バレしてないし、背だって伸びたし、会ってもわからないと思うのにぃぃぃっ」

と駄々を捏ねてもダメでした。
アルベールとセヴランは交代で冒険者活動をするので、私の傍にはどちらかが居てくれるし、王都の町を出歩くのは許されたけどね。
ちなみにセヴランは、アルベールに。

「いえいえ。私もずぅっとヴィーさんと一緒に王都に居ますから、ルネとリオネルのお目付け役はお任せします。いいえ、いいですって!嫌ですって!」

と、遠慮?してたけど、見事にアルベールに押し切られていた。





「あ、そうだ。カミーユさん。ついでに貴族の客分としてベルナール様・・・。ううん、偽名を使ってる可能性もありますね」

アルベールがベルナール様の情報を集めようとカミーユさんに頼もうとして、難しい顔をした。

「どうしたの?」

「いえ。ベルナール様の動向もわかればとカミーユさんにお願いしようと思ったのですが、ベルナール様が偽名など使って正体を隠していたら、分からないなと・・・」

「その方は獣人の特徴があるんですよね?種族は?」

アルベールたちはちょっと困ったように笑う。
あれ?リシュリュー辺境伯に滞在してたときに、ベルナール様の本当の姿って見たこと無いの?
そういえば、彼はいつも私が作った魔道具を身に付けていたっけ。

獅子ライオンよ」

「・・・えっ!」

「ベルナール様は獅子ライオンの耳と尻尾があったわ」
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