みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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運命の鐘を鳴らしましょう

自爆しました

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ビッシャーン!とウォーターボールを地面に叩きつけて、火魔法からの町への延焼を防いだのはグッジョブ!だったが・・・。
私たちは、しっかりと魔法障壁で守られていて濡れることは無かったし・・・。
王都ギルドからの冒険者たちとクリストフさんたちは・・・びしょ濡れになっていた、てへへへ。
急に水を被ってパニック状態に陥って、濡れた足元で見事にすっ転んでバタバタしている王都ギルド組みは無視するとして、クリストフさんは濡れたままで恨めし気な顔をこちらに向ける。

私はそっとアルベールから離れた。
私じゃありません。
こんな大雑把な水魔法を使ったのは、魔法が得意なエルフのアルベールです!
チロッと冷たい視線をアルベールの方から感じたが、スルーします。
ダメでしょ!私のチート能力はバレちゃダメでしょ!

荒くれ冒険者たちに何か指示を出していたらしいクリストフさんは、大きく息を吐いてまたテキパキと冒険者たちに指示を出している。

「なんでしょうね?」

「うーん。あっ!見物人の避難かな?クリストフさんの後ろに集まっていた人がゾロゾロ動き出したみたい」

カミーユさんと一緒に荒くれ冒険者たちの動きを見守る。
何人かは、ずぶ濡れで転んで泥まみれで汚くなった情けない王都ギルド組みへと近づき、何事が怒鳴っている。
怒られているみたいだが、あっちは高ランク冒険者で、クリストフさんたちはせいぜいCランクの冒険者と聞いたが、あんな態度で大丈夫なのだろうか?

「おい、お嬢。あいつの様子が変だぞ?」

大剣をスチャッと構えてリュシアンは、険しい目付きでビーストを睨んでいる。

「どれどれ・・・なに、あれ?」

いつのまにか体を覆っていた魔法障壁が消えている。
私の水魔法で消えたわけではないだろう、だって奴も濡れていないし。
ビーストは体全体からプシュプシュと湯気を立てていた。
何が起きているの?

私は「魔眼」を使うため、目を凝らしてみた。
魔法障壁を展開するために体の外へ放出されていた魔力が、凄い勢いで体の中を巡っている。
しかも体の中からドンドン魔力が溢れてくるから、体内から漏れ出た魔力が白い湯気のように見えているらしい。
たぶん、自分以外の魔力を魔法障壁で吸収していた余りの魔力分だろう。
全身を巡っていれば、徐々に消化され落ち着いてきたのかもしれないが、奴はビーストで体はあちこち魔獣との継ぎ接ぎでできている。
魔力の流れが均一にすることができないのだ。
よく見ると、エルフ族の頭から上半身までは流れは早いが留まることなく巡っているが、熊の魔獣の腕4本とオーガの下半身への魔力の流れは乱れまくっている。
そのうち、魔力の流れが詰まっている箇所から出血しだした。

「ああ、あれは魔力暴走かもしれません。魔力の扱いに慣れていないエルフの子供がよくやらかしますね」

「魔力暴走って放っておいても大丈夫なの?」

「・・・エルフの子供は自分の家一軒ぐらいは吹っ飛ばしますし、魔力の多い子供は隣三軒の屋根も吹っ飛ばします」

パチパチ。
ん?いまいち、被害状況が把握できないわ。
それって、あのビーストの場合、ここら辺一帯はどうなるの?

「・・・更地ですかねぇ」

ええーっ!ちょっとそんな重大なことを、のほほんと告げないでよっ!

「い、い、いいいいい、一大事じゃないの!」

「いえいえ。逃げればいいんです。さあ、行きましょう」

「おーい!爺、なに楽しいこと言ってんだ!逃げれるわけないだろうが。クリストフが睨んでるぞ!」

「ちっ!」

アルベール、ひょいと私を抱き上げて逃げようとしない!
カミーユさんもニコニコと微笑んでいないで止めてよ!

「魔力暴走ってどうやって止めればいいのよ」

「落ち着くか、余った魔力を上手に外へ放出するか・・・あのビーストにはどちらも無理ですね」

爽やかに笑わない!
カミーユさんもそうですねとか、朗らかに応対しない!

「魔力暴走したら、その人はどうなるの?」

「・・・大怪我をする場合があります。場合によっては上級治癒魔法か上級ポーションでも治らないことも・・・」

つまり、あのビーストが魔力暴走を起こせば、ここら辺一帯は大被害に遭うけど、ビースト本人も無事には済まないってことね。

「なんとか、魔力暴走の被害を押さえて、奴だけがダメージに遭うようにできないかな?」

「ええーっ!あのビーストを見捨てるんですか?折角、貴重なタイプのビーストなのに・・・」

いやいや、そんな場合じゃないよね?
今回はあのビーストを調査対象とするのは止めてください。
下手に生かしていたら、どんな被害が出るかわからないわよ。

「お嬢。ますます奴が苦しみ出したぜ。あいつだけ隔離できないのか?」

エルフの美しい顔は苦悶に歪み、目は真っ赤に血走り、口からはダラダラと涎を垂らしている。
上半身も下半身と同じく赤く染まってきていた。

「隔離・・・隔離・・・。ん?隔離、囲む?」

できる・・・かも?
囲めばいいのよね?

「リュシアン。ちょっと、貸して」

リュシアンのシャツに飾られていたブローチ型の魔道具をブチッと奪い、注いであった魔力作用を変更すべき、さらに魔力を注いでいく。
そうよ、防御壁の応用で防御壁で檻を作って閉じ込めればいいんだ。
檻だと、隙間から魔力暴走の余波が漏れるかもしれないから、私が作った防御の魔道具が作り出すドーム型の防御壁は条件にピッタリじゃない?
外からの攻撃から守るのではなく、内からの破壊から外界を守るように。
そして、その場から逃げて離れられないようにドーム型の防御壁を足下まで覆って固定できるように。
そう、繭のように。

「よしっ!リュシアン、これをあのビーストの胸にグサッと刺して装着させてください!」

「・・・いい笑顔でえげつないことを言うな!んな、簡単にいくのか?」

「わかりません!でもやらないと、みんな被害に遭うよ?」

いや、たぶん私たちは大丈夫かもしれないけど、そういうことになったら目立つでしょ?
リュシアンは大剣を鞘に収めて、ブローチの留め具の針を直角に曲げてし片手に収めてビーストへと走り出した。

「いけーっ!」








小さな少女の声に何事かと目を向けると、リュシアンがビーストに向かって走り出していた。
何をあいつは、ひとりで戦おうとしているのか!

俺は王都ギルド組みへと撤退を指示していた。
勿論、で、だ。
危機感の無い見物人には脅しをかけてでも避難をするようにしたので、大分減っている。

動きやすくなってから、アルベールとカミーユ先生、リュシアンと共闘して倒そうと思っていた矢先、ビーストの野郎がひとりで勝手に苦しみ出したのだ。
様子見をしていたのに、あいつめ・・・抜け駆けしやがったな。
俺も大剣を手に持ち直して、ビーストへ向かおうとして・・・あれ?リュシアンの奴、剣はどうした?
苦しんでいるビーストの攻撃は弱々しく、リュシアンは熊の腕をすんなりと避けて、ビーストの懐に潜り込んだ。
やったか?

しかし、奴はそのまますぐにビーストから離れ、アルベールたちの元へと戻ってしまう。
何をしにきたんだ・・・あいつは?
呆然としている俺の耳に、まさしく獣の咆哮が届いた。
獣、ビーストは濁った白色の繭に包まれて、その中で胸を掻きむしるように暴れながら、体のあちこちから血を噴き出していた。
いったい・・・何が起きているんだ?

「クリストフ・・・連れて来たぜ」

・・・なんで、面倒な事は一遍に起きるんだ・・・。


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