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悪を倒しましょう
作戦を立てました
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私の転生特典・・・なのかな?チート能力を駆使して、例の物見の塔を「鑑定・探査」した後、飛竜はしばらくオーヌ川を下り、またまた方向転換してクリストフさんたちが待つ場所まで戻ってきた。
飛竜の背中からアルベールが抱っこで降ろしてくれる。
「ありがと」
「いいえ。さあ、あちらで話し合いましょう」
アルベールが指し示すのは、オーヌ川から少し離れた森の中に隠すように張られたテントだった。
通信兵さんも相方の飛竜を木に繋いでから、私たちの後に続く。
テントの中に入ると、空間拡張されているテントなのか思ったより広々としていた。
「おかえり、嬢ちゃん・・・?ヴィー殿下?いや、シルヴィーだっけ?ううん?」
「あー、ヴィーでも、嬢ちゃんでもいいです。殿下とかは止めてください」
もともと、トゥーロン王国にいた頃でさえ、私を王女扱いしたのはクシー子爵たちだけだ。
今さら、殿下と呼ばれてもこそばゆいのです。
クリストフさんはニカッと笑って「じゃあ、嬢ちゃんで」と言って、グビッとお酒を飲んだ・・・、え?お酒?
私がクリストフさんを指差して、物問いた気な顔をアルベールに向けると、彼はなんでもない顔で「通常運転です」と答えた。
しかも、ヴァネッサ姉さんまで飲んでいます。
これから、ミュールズ国に潜入して、ヤバい施設に特攻かけるんですよね?
景気づけですか?あー、そうですか・・・。
こちとら、中身アラサー女子でも外見幼女で、お酒なんて飲めないのにぃぃぃ、羨ましいぞ!
私はぶー垂れた顔で、リュシアンとアルベールの間に座り、手渡された温かい紅茶を啜るのだった。
「で、どうだった?」
「うーん、それがね・・・」
確かに私はチート能力がある素晴らしい人間なのだが、以前のミゲルの店の時のようには「鑑定・探査」ができなかった。
どうやら、対象物との距離の問題みたいで、今回は前回のサーモグラフィー画像のような映像ではなく、レーダー探知機みたいな映像として映った。
つまり、人と思える物体がどこにどれぐらいいたのか把握するだけで、それが獣人などの亜人なのか、人族なのか、はたまた魔獣なのか・・・ちっともわからなかった。
「・・・ごめん」
ちょっと大口叩いていたから、恥ずかしいです。
「上等だよ、お嬢。どこに人がいるのかわかれば、攻めやすい」
「そうだぞ、嬢ちゃん。作戦が立てやすいってもんだ」
リュシアンとクリストフさんに慰められ、ヴァネッサ姉さんにはカラカラと笑われた。
じゃあ、気持ちを入れ替えて報告します!
物見の塔は二階建てで屋上に人は無し。
二階には一人いたが、どうも川側に配置されている見張りではなく、ミュールズ国側にいたのが不思議に思えた。
一階に人はいたが、出入りする人が多くて、常駐している人はいなさそう。
そして、一階に出入りしている人は必ず地下に行く。
その地下には数人の反応が常にあった。
・・・反応はあるけど、生きているかどうかが不明なモノが部屋の隅にまとまっていたのが、不穏な気持ちにさせた。
そして、外の状況なんだけど。
「それは、俺からご報告します」
飛竜を操っていた通信兵のお兄さんだ。
仕事柄、偵察したりもするので物見の塔からその壁に囲まれた敷地内の様子を探ってくれていた。
確かに物見の塔には何人かが出入りしていたこと。
敷地の一角には、馬と馬車があったこと。
他には、大きな檻がいくつか置いてあったことと、石造りの建物があったこと。
「馬車や馬の数から、多くても二十人はいないかと思います。外の檻の中が空なのか、何が捕まっていたのかは確認できませんでした。そして、石造りの建物ですが・・・」
通信兵さんは、何故かチラッとベルナール様へと視線を投げた。
「・・・我が国では捕虜や盗賊などを捕まえておく建物と・・・よく似ています」
どうやら、自国の施設に関わる話を他国の人に話していいのか、判断が付かなかったらしい。
ベルナール様も通信兵さんを安心させるために、鷹揚に頷いてみせた。
「亜人がいるかもしれないな」
クリストフさんの言葉に頷く一同。
「その建物かな?人らしき反応はあったよ。ほとんど動かなかったから、状態はわからないけど」
私も、ちゃんと「鑑定・探査」で見てましたよ。
「ふむ。まず二階の見張りと一階の奴らを綺麗にしてから、本丸の地下に行くか」
「そうだね。地下でビーストが作られてんだろう?アタシたちはそっちに行くよ!」
「勝手に決めないでください、ヴァネッサ。戦力をキチンと把握した上で分配しないと効率が・・・」
「相変わらず、グチグチうるさい男だねぇ。いいから、地下にはクリストフとアルベールも一緒に来な!外の雑魚は騎士団と冒険者に相手させればいいだろう?」
そんな簡単に決めちゃうの?しかも外にいるのが雑魚って、高ランク魔獣が捕まっていたらどうするのよ?あ、捕まっているからいいのか・・・。
「まあまあ、アルベール。地下がビースト製造場所なのは間違いないだろう?だったら最大火力をそこに注ぐのは間違いじゃない」
ニヤリと笑うクリストフさんだけど、単に暴れたいだけですよね?派手に。
「・・・俺たちはどうすれば?」
ヴィクトル兄様が恐る恐る声を掛けると、クリストフさんとヴァネッサ姉さんがコテンと首を傾げた。
「作戦を立てるのは貴方の仕事じゃないんですか!クリストフ」
「えーっ、俺には無理だよ。そういうのは、ほれ、お前が得意だろう、アルベール?」
なんか、昔のアルベールの苦労が見えるようで・・・同情しちゃたわ。
結局、物見の塔二階、一階、地下攻略にクリストフさんとヴァネッサ姉さん、アルベールは確定。
物見の塔の屋上にこちら側の見張りとして、ヴィクトル兄様たちとおまけのセヴラン。
外の雑魚掃除班(命名はヴァネッサ姉さん)は、ルネとリオネル、カミーユさんと王国騎士団精鋭たちとAランク冒険者パーティー。
通信兵さんは、アンティーブ国側で待機してもらい、作戦が成功したら閃光弾を打ち上げるので、そのときに物見の塔まで移動し映像魔道具に写し取った証拠品を持ってミュールズ国王都にいるミシェル殿下まで飛んでもらう。
残りは・・・。
「ぜっっったいに、ダメですっ!」
「いーやー!私も地下に行ーくーのー!」
絶賛我儘中の私とその護衛リュシアンの配置なのである。
絶対に行くわよ!行かなきゃ、その後の作戦にも支障が出るんだから!
飛竜の背中からアルベールが抱っこで降ろしてくれる。
「ありがと」
「いいえ。さあ、あちらで話し合いましょう」
アルベールが指し示すのは、オーヌ川から少し離れた森の中に隠すように張られたテントだった。
通信兵さんも相方の飛竜を木に繋いでから、私たちの後に続く。
テントの中に入ると、空間拡張されているテントなのか思ったより広々としていた。
「おかえり、嬢ちゃん・・・?ヴィー殿下?いや、シルヴィーだっけ?ううん?」
「あー、ヴィーでも、嬢ちゃんでもいいです。殿下とかは止めてください」
もともと、トゥーロン王国にいた頃でさえ、私を王女扱いしたのはクシー子爵たちだけだ。
今さら、殿下と呼ばれてもこそばゆいのです。
クリストフさんはニカッと笑って「じゃあ、嬢ちゃんで」と言って、グビッとお酒を飲んだ・・・、え?お酒?
私がクリストフさんを指差して、物問いた気な顔をアルベールに向けると、彼はなんでもない顔で「通常運転です」と答えた。
しかも、ヴァネッサ姉さんまで飲んでいます。
これから、ミュールズ国に潜入して、ヤバい施設に特攻かけるんですよね?
景気づけですか?あー、そうですか・・・。
こちとら、中身アラサー女子でも外見幼女で、お酒なんて飲めないのにぃぃぃ、羨ましいぞ!
私はぶー垂れた顔で、リュシアンとアルベールの間に座り、手渡された温かい紅茶を啜るのだった。
「で、どうだった?」
「うーん、それがね・・・」
確かに私はチート能力がある素晴らしい人間なのだが、以前のミゲルの店の時のようには「鑑定・探査」ができなかった。
どうやら、対象物との距離の問題みたいで、今回は前回のサーモグラフィー画像のような映像ではなく、レーダー探知機みたいな映像として映った。
つまり、人と思える物体がどこにどれぐらいいたのか把握するだけで、それが獣人などの亜人なのか、人族なのか、はたまた魔獣なのか・・・ちっともわからなかった。
「・・・ごめん」
ちょっと大口叩いていたから、恥ずかしいです。
「上等だよ、お嬢。どこに人がいるのかわかれば、攻めやすい」
「そうだぞ、嬢ちゃん。作戦が立てやすいってもんだ」
リュシアンとクリストフさんに慰められ、ヴァネッサ姉さんにはカラカラと笑われた。
じゃあ、気持ちを入れ替えて報告します!
物見の塔は二階建てで屋上に人は無し。
二階には一人いたが、どうも川側に配置されている見張りではなく、ミュールズ国側にいたのが不思議に思えた。
一階に人はいたが、出入りする人が多くて、常駐している人はいなさそう。
そして、一階に出入りしている人は必ず地下に行く。
その地下には数人の反応が常にあった。
・・・反応はあるけど、生きているかどうかが不明なモノが部屋の隅にまとまっていたのが、不穏な気持ちにさせた。
そして、外の状況なんだけど。
「それは、俺からご報告します」
飛竜を操っていた通信兵のお兄さんだ。
仕事柄、偵察したりもするので物見の塔からその壁に囲まれた敷地内の様子を探ってくれていた。
確かに物見の塔には何人かが出入りしていたこと。
敷地の一角には、馬と馬車があったこと。
他には、大きな檻がいくつか置いてあったことと、石造りの建物があったこと。
「馬車や馬の数から、多くても二十人はいないかと思います。外の檻の中が空なのか、何が捕まっていたのかは確認できませんでした。そして、石造りの建物ですが・・・」
通信兵さんは、何故かチラッとベルナール様へと視線を投げた。
「・・・我が国では捕虜や盗賊などを捕まえておく建物と・・・よく似ています」
どうやら、自国の施設に関わる話を他国の人に話していいのか、判断が付かなかったらしい。
ベルナール様も通信兵さんを安心させるために、鷹揚に頷いてみせた。
「亜人がいるかもしれないな」
クリストフさんの言葉に頷く一同。
「その建物かな?人らしき反応はあったよ。ほとんど動かなかったから、状態はわからないけど」
私も、ちゃんと「鑑定・探査」で見てましたよ。
「ふむ。まず二階の見張りと一階の奴らを綺麗にしてから、本丸の地下に行くか」
「そうだね。地下でビーストが作られてんだろう?アタシたちはそっちに行くよ!」
「勝手に決めないでください、ヴァネッサ。戦力をキチンと把握した上で分配しないと効率が・・・」
「相変わらず、グチグチうるさい男だねぇ。いいから、地下にはクリストフとアルベールも一緒に来な!外の雑魚は騎士団と冒険者に相手させればいいだろう?」
そんな簡単に決めちゃうの?しかも外にいるのが雑魚って、高ランク魔獣が捕まっていたらどうするのよ?あ、捕まっているからいいのか・・・。
「まあまあ、アルベール。地下がビースト製造場所なのは間違いないだろう?だったら最大火力をそこに注ぐのは間違いじゃない」
ニヤリと笑うクリストフさんだけど、単に暴れたいだけですよね?派手に。
「・・・俺たちはどうすれば?」
ヴィクトル兄様が恐る恐る声を掛けると、クリストフさんとヴァネッサ姉さんがコテンと首を傾げた。
「作戦を立てるのは貴方の仕事じゃないんですか!クリストフ」
「えーっ、俺には無理だよ。そういうのは、ほれ、お前が得意だろう、アルベール?」
なんか、昔のアルベールの苦労が見えるようで・・・同情しちゃたわ。
結局、物見の塔二階、一階、地下攻略にクリストフさんとヴァネッサ姉さん、アルベールは確定。
物見の塔の屋上にこちら側の見張りとして、ヴィクトル兄様たちとおまけのセヴラン。
外の雑魚掃除班(命名はヴァネッサ姉さん)は、ルネとリオネル、カミーユさんと王国騎士団精鋭たちとAランク冒険者パーティー。
通信兵さんは、アンティーブ国側で待機してもらい、作戦が成功したら閃光弾を打ち上げるので、そのときに物見の塔まで移動し映像魔道具に写し取った証拠品を持ってミュールズ国王都にいるミシェル殿下まで飛んでもらう。
残りは・・・。
「ぜっっったいに、ダメですっ!」
「いーやー!私も地下に行ーくーのー!」
絶賛我儘中の私とその護衛リュシアンの配置なのである。
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