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悪を倒しましょう
いつでも一緒だから心強いのでした
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だいたい、なんで私が通信兵さんと一緒にアンティーブ国側で留守番なのよ!
このテントは確かに居心地はいいかもしれないけど、アルベールたちと一緒に作戦に参加しないと、その後の作戦に支障が出るでしょうが!
まあ、アルベールたちには内緒の作戦なので、ここでバラすわけにもいかず、駄々を捏ねるしか手がないのだけど・・・。
「やーだー!行くの!行くったら、行くの!」
ダンダンと兎の怒りのダンスのように足を踏み鳴らして訴える私に、綺麗に整った顔をギュッと歪めてアルベールは首を左右に振る。
「う゛ーっ」
歯を噛みしめて唸ってみるが、ツーンと横を向いて構ってくれない。
「お嬢、諦めろって。俺たちもお嬢には安全な所で待っててほしいと思うしさ」
なんですと?リュシアンまでそんなこと言うのね!
「・・・いいわよ。私がここで待機するなら、リュシアンも当然ここで待機するのよね?私の護衛でしょ?あなた」
ビシッと指を突き付けて言ってやったわ。
うぐっと喉を鳴らして、目を白黒させているけれど、許してやりません。
「いいじゃないですか。リュシアンもここでヴィーさんと待っていれば。できたら代わってあげたいですよ」
ポンポンとリュシアンの肩を叩いて宥めるのはセヴランだけど、あんただって巻き込んでやるんだから。
「何言ってんのよ。私がここにいるなら、馬車もここに置いておくしカヌレとブリュレもここで待機よ。そうなれば雑魚掃除班が手薄になるから、セヴランは呑気に見張りなんてしてないで、ルネとリオネルと一緒に外の戦闘に加わりなさいよね」
うええええっと大袈裟に騒いでみせるけど、当然でしょ。
「そういえば、本丸の攻撃が三人だけっていうのも問題よね。カミーユさんはリオネルとは別行動で、地下の攻撃に加わってもらったら?新しいビーストと遭遇もできるし」
ニッコリ笑ってカミーユさんも巻き込んでみると、私の発言でリオネルが満面の笑顔でサムズアップしてくるけど、ごめん、そういうつもりじゃなかった。
「「「アルベール!」」」
リュシアン、セヴラン、カミーユさんがアルベールに迫っていく。
ククク、ざまあみろ。
クリストフさんとヴァネッサ姉さんは、私が一緒に行くのに反対はしていない。
たぶん自己責任とか思ってんだろうなぁ・・・さすが、一流の冒険者です。
「アルベール。もしあの塔の地下に完成しているビーストがいたらどうするの?」
「完成したビースト?」
私は真面目な顔をして、一つ大きく頷いてみせた。
そもそも、アンティーブ国に流れてきたビーストは、ミュールズ国が研究製造しているビーストの完成体なのだろうか?
いいや、たぶんあれらは失敗作なんだと思う。
完成体であれば、正規の買主である帝国側に引き渡すだろう。
つまり、あの厄介な三体のビーストは、ミュールズ国がアンティーブ国に捨てた失敗作なのだ。
失敗作でさえ、私たちは倒すのにかなり梃子摺った。
もし、あの地下に完成したビーストが保管されていたら、私たちは勝てるだろうか?倒せるだろうか?それも無傷で。
「そ・・・それは・・・」
「でもね、私がいるなら大丈夫!死ぬことはないでしょう?」
なんて言ったってチート能力者だし!治癒魔法で腕の一本や足の一本はドンと来い!だし。
じーっと曇りのない純真な瞳でアルベールを見つめる。
「・・・ポーションは持っています」
「全員じゃないわ。それに、一回分じゃ足りないかもしれない」
ビーストの激しい攻撃を一度しかその身に受けないと言い切れないでしょう?
「あー、爺さん!ちゃんと俺が守るから」
リュシアンが私の頭に大きな手を乗せる。
「そうですよ。ヴィーさんが同行してくれたほうが、味方の損害を最小限にすることができますよ!」
セヴランも必死だな・・・。
カミーユさんは、ひたすらリオネルを抱きしめて頬ずりしているけど。
アルベールは、疲れたように息を吐き、小さい声で許可してくれた。
「わーい!ありがと、アルベール」
「・・・遊びに行くんじゃないんですよ・・・。リュシアン、本当に守ってください。絶対にかすり傷一つ負わせるなよ・・・」
「ああ、わかっている」
大袈裟ですよ?私だって、好き好んで危ない場所に行きたいわけじゃないんですよ?
ビーストとの戦いは戦闘狂な方々に任せますので、私は後方支援に徹します!
夜も更けて、月も中天を過ぎる頃。
あの後、小船で移動してきた騎士団の代表と冒険者パーティーのリーダーに作戦を説明して、準備を整えた。
物見の塔には篝火が焚かれ、オレンジ色の炎が静かな川に映りこんでいる。
私は、小船二艘に隠蔽魔法を掛ける。
私たちが乗る大きな飛竜の足にカヌレとブリュレが乗る板をロープで括りつけ、馬車本体は私の「無限収納」に仕舞った。
通信兵さんが見送る中、先に小船が動き出し、ヴィクトル兄様たちにセヴランを加えて飛竜に乗り込む。
私たちの飛竜には、他のメンバーが乗り込む。
「行くぞ」
クリストフさんの掛け声で、飛竜たちが緩やかに羽ばたき、やがて上昇していく。
一旦、オーヌ川上流へ高度上げながら進み、途中反転し物見の塔の屋上へ。
いよいよ、攻撃開始です!
このテントは確かに居心地はいいかもしれないけど、アルベールたちと一緒に作戦に参加しないと、その後の作戦に支障が出るでしょうが!
まあ、アルベールたちには内緒の作戦なので、ここでバラすわけにもいかず、駄々を捏ねるしか手がないのだけど・・・。
「やーだー!行くの!行くったら、行くの!」
ダンダンと兎の怒りのダンスのように足を踏み鳴らして訴える私に、綺麗に整った顔をギュッと歪めてアルベールは首を左右に振る。
「う゛ーっ」
歯を噛みしめて唸ってみるが、ツーンと横を向いて構ってくれない。
「お嬢、諦めろって。俺たちもお嬢には安全な所で待っててほしいと思うしさ」
なんですと?リュシアンまでそんなこと言うのね!
「・・・いいわよ。私がここで待機するなら、リュシアンも当然ここで待機するのよね?私の護衛でしょ?あなた」
ビシッと指を突き付けて言ってやったわ。
うぐっと喉を鳴らして、目を白黒させているけれど、許してやりません。
「いいじゃないですか。リュシアンもここでヴィーさんと待っていれば。できたら代わってあげたいですよ」
ポンポンとリュシアンの肩を叩いて宥めるのはセヴランだけど、あんただって巻き込んでやるんだから。
「何言ってんのよ。私がここにいるなら、馬車もここに置いておくしカヌレとブリュレもここで待機よ。そうなれば雑魚掃除班が手薄になるから、セヴランは呑気に見張りなんてしてないで、ルネとリオネルと一緒に外の戦闘に加わりなさいよね」
うええええっと大袈裟に騒いでみせるけど、当然でしょ。
「そういえば、本丸の攻撃が三人だけっていうのも問題よね。カミーユさんはリオネルとは別行動で、地下の攻撃に加わってもらったら?新しいビーストと遭遇もできるし」
ニッコリ笑ってカミーユさんも巻き込んでみると、私の発言でリオネルが満面の笑顔でサムズアップしてくるけど、ごめん、そういうつもりじゃなかった。
「「「アルベール!」」」
リュシアン、セヴラン、カミーユさんがアルベールに迫っていく。
ククク、ざまあみろ。
クリストフさんとヴァネッサ姉さんは、私が一緒に行くのに反対はしていない。
たぶん自己責任とか思ってんだろうなぁ・・・さすが、一流の冒険者です。
「アルベール。もしあの塔の地下に完成しているビーストがいたらどうするの?」
「完成したビースト?」
私は真面目な顔をして、一つ大きく頷いてみせた。
そもそも、アンティーブ国に流れてきたビーストは、ミュールズ国が研究製造しているビーストの完成体なのだろうか?
いいや、たぶんあれらは失敗作なんだと思う。
完成体であれば、正規の買主である帝国側に引き渡すだろう。
つまり、あの厄介な三体のビーストは、ミュールズ国がアンティーブ国に捨てた失敗作なのだ。
失敗作でさえ、私たちは倒すのにかなり梃子摺った。
もし、あの地下に完成したビーストが保管されていたら、私たちは勝てるだろうか?倒せるだろうか?それも無傷で。
「そ・・・それは・・・」
「でもね、私がいるなら大丈夫!死ぬことはないでしょう?」
なんて言ったってチート能力者だし!治癒魔法で腕の一本や足の一本はドンと来い!だし。
じーっと曇りのない純真な瞳でアルベールを見つめる。
「・・・ポーションは持っています」
「全員じゃないわ。それに、一回分じゃ足りないかもしれない」
ビーストの激しい攻撃を一度しかその身に受けないと言い切れないでしょう?
「あー、爺さん!ちゃんと俺が守るから」
リュシアンが私の頭に大きな手を乗せる。
「そうですよ。ヴィーさんが同行してくれたほうが、味方の損害を最小限にすることができますよ!」
セヴランも必死だな・・・。
カミーユさんは、ひたすらリオネルを抱きしめて頬ずりしているけど。
アルベールは、疲れたように息を吐き、小さい声で許可してくれた。
「わーい!ありがと、アルベール」
「・・・遊びに行くんじゃないんですよ・・・。リュシアン、本当に守ってください。絶対にかすり傷一つ負わせるなよ・・・」
「ああ、わかっている」
大袈裟ですよ?私だって、好き好んで危ない場所に行きたいわけじゃないんですよ?
ビーストとの戦いは戦闘狂な方々に任せますので、私は後方支援に徹します!
夜も更けて、月も中天を過ぎる頃。
あの後、小船で移動してきた騎士団の代表と冒険者パーティーのリーダーに作戦を説明して、準備を整えた。
物見の塔には篝火が焚かれ、オレンジ色の炎が静かな川に映りこんでいる。
私は、小船二艘に隠蔽魔法を掛ける。
私たちが乗る大きな飛竜の足にカヌレとブリュレが乗る板をロープで括りつけ、馬車本体は私の「無限収納」に仕舞った。
通信兵さんが見送る中、先に小船が動き出し、ヴィクトル兄様たちにセヴランを加えて飛竜に乗り込む。
私たちの飛竜には、他のメンバーが乗り込む。
「行くぞ」
クリストフさんの掛け声で、飛竜たちが緩やかに羽ばたき、やがて上昇していく。
一旦、オーヌ川上流へ高度上げながら進み、途中反転し物見の塔の屋上へ。
いよいよ、攻撃開始です!
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