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幸せになりましょう

トゥーロン王宮攻略作戦会議でした

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さて、主力がほぼ揃ったので作戦会議です!

リシュリュー辺境伯軍の陣営地の中心に設営された天幕には、前リシュリュー辺境伯モルガン様、現リシュリュー辺境伯レジス様、王都冒険者ギルドから連絡係の鳥獣人(鷹)のギイさん、ヴィクトル兄様とベルナール様とユーグ君。
いつもの私たちのメンバーとリオネルを抱っこしているカミーユさん。
そこへノアイユ公爵として生きる覚悟を決めたシャルル様とお付の年嵩エルフことイヴォンさんとワイルド系エルフことシモンさん。
他、リシュリュー辺境伯騎士団の隊長二人と魔法騎士団から一人参加です。

モルガン様がゴホンと咳払いしたあと、現状の確認とこれからの各隊の行動を地図を使って説明していく。

「・・・つまるところ、ミュールズ国から連絡がないと動けないわね」

ミュールズ国でミシェル殿下が諸悪の根源である前国王と国王って祖父と父親だけど、を捕縛して人身売買に携わった商会・商人、その他貴族や役人を捕まえて、今までのミュールズ国の悪事を関係各所に通達して、ミシェル殿下が国王即位する算段がついたら、連絡がくることになっている。
亜人奴隷解放軍の本拠地であると、トゥーロン王宮に巣食っているザンマルタン侯爵の元に。

「とりあえずは、ノアイユ公爵がこちら側に付いたので、王都前まで進軍するぞ」

モルガン様の言葉に短く「はっ!」と応えて、騎士団隊長二人は天幕から出て行った。
既にノアイユ公爵領地のどこに陣を構えるか、シミュレーションはできているのだよ。

「俺は、自分の隊を連れてノアイユ公爵領地を横断し、ザンマルタン侯爵領都を包囲する」

レジス様はニヤッと悪そうに笑って立ち上がる。
レジス様の隊って・・・あの人相極悪な猛者と肉食系猛獣人の最凶軍団ですよね?
リュシアンとリオネルがよくお世話になり、セヴランが泣いて逃げていた。

「うむ。あまりそちらに人数を割けないが・・・すまんな」

「いやいや、ザンマルタン侯爵領に残っているのは侯爵の息子だろ?あんな奴・・・俺一人でどうにでもなるがな」

レジス様、今度はぐふふと笑う。
それもそうね。
敬愛していたお兄様、ベルナール様のお父様を死に追いやったのはユベールとエロイーズで、ザンマルタン侯爵家だもの。
積年の恨みを晴らすつもりだわ。

「リシュリュー辺境伯軍本体は儂が率いる。ミュールズ国から連絡があり次第、王城へ入り逆賊ザンマルタンとユベールとエロイーズを捕らえる」

モルガン様を中心にみんなの顔が一段と引き締まる。

「私たちも王宮に行く?それとも・・・どうする?」

私は後ろに立っているアルベールとリュシアンにお伺いをたてた。

「やっぱ、王宮じゃねぇのか?」

「・・・ここで待機という手もあります」

うん、見事に意見が分かれたね。
でもルネとリオネルは王宮に行って暴れたそうだし、リュシアンの尻尾もブンブンと振られている。
セヴランは両手を握りしめてアルベールの後ろでうんうんと頷いているから、ここに残りたいんだな。

「あっ、王宮には冒険者ギルドのロドリスたちとイザックたちが潜入しているぞ」

はい、決まり!
モルガン様からの情報で私たちは王宮に突撃組みに入ることにします!

「ええーっ」

セヴラン、うるさい。








トゥーロン王国の王城の様子は潜入しているイザックさんから随時齎されている。
ザンマルタン侯爵が頭を抱えている問題は、孫たちの王位を巡る争い。
ユベールとエロイーズの二人がお互いに王様になる!って揉めているのよね。
ザンマルタン侯爵家の騎士団はザンマルタン侯爵を守ることのみで、当然王宮の警備にはノータッチ。
むしろ、ユベールとエロイーズにそれぞれ数人の騎士たちが侍っていて、身内でギスギスしているらしい。
そりゃ、味方していたどっちかが王様になったら取り立ててもらえるからねー、野心があったらそうするでしょうよ。
まあ、どっちも王様にはなれないから、お疲れ様ですね!ってかんじ。

亜人奴隷たちが王城から逃げ出したあと、何人もの王族や高位貴族が原因不明の病死をして、不安に駆られた使用人、騎士や衛兵は職を辞して去って行った。
その穴埋めに急遽使用人や衛兵、下働きを募集をして、まんまとそこに潜り込んだのはイザックさんや元亜人奴隷たち。

えーっ、バカなの?
なんで王城で働く衛兵とかを一般募集するのよ?
紹介状もなしで雇うなんて、どうなってんのさ?

「文官たちはザンマルタン侯爵の手の者に軟禁されておるからな。頭が働く奴がいないのだろうよ」

モルガン様も呆れ顔です。
そのおかげでこちら側の人員をかなりの人数、潜り込ませるのに成功しているし、なんと!文官のトップ宰相さんとかにも接触済なんだって。

「その宰相って、お嬢を捕まえようとしていた奴じゃねぇの?」

「はっ!そうだった」

私のかけられた追手はミュールズ国からのとトゥーロン王国の宰相から。
どちらも私をトゥーロン王国の王位に即けて傀儡にしようとした、悪い奴らだ。

「うむ。そのことは聞いておる。阻止できずにすまんかったな。だが、あやつは悪い奴ではないのだ。こう・・・王族を崇拝しているというか・・・王族を盲目的に信じているというか・・・」

モルガン様がめちゃくちゃ言いにくそう・・・。

「あー・・・知ってます、そういう人」

クシー子爵と同類つーか、文官はみんなそんな属性なのか?

どうやら領地持ちの貴族は例のパーティーで生き残ったあと、這う這うの体で領地に戻りガクブルしながら身を潜めていた。
残った爵位持ちは王城で働く法衣貴族や騎士爵ばかり。
特に文官の中には、いわゆるクシー子爵と同じ「王族スッキー」が存在する。

「・・・言いにくいことじゃが、洗脳みたいなもんだ。先祖代々そういう教育を受けたから、あんな王族でも敬うことができる」

うんうんとモルガン様が最もらしく教えてくれるけど、ヴィクトル兄様が密かにダメージを受けているので止めてあげてください。

「しかし、その特異な奴らからも見限られる第2王子と第1王女ってある意味スゲーな」

感心している場合ではないのだよ、リュシアン君。
なんとなく、和やかな雰囲気に包まれた私たちに、おそるおそる声がかかる。

「あ・・・あのぅ。僕は何をすればいいのでしょう」

そこには、肩の高さまで右手を上げて首を竦めている小動物みたいなシャルル・ノアイユ公爵がいらっしゃいました。

あ、ごめん!忘れていたよ。

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