みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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幸せになりましょう

私の出番ではなかったようでした

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ニョロニョロと床から湧き出してきた黒い触手のような影に一人、また一人と拘束されていく。

「うわあああっ!き、気持ち悪いぃぃぃ」

でしょうね!
製作元の私でさえ、ちょっと気持ち悪いフォルムと思っているんだから、実際にその変なモノにグルグル巻きにされている人はたまんないだろう。
でも縛られた人が痛くないように、触感はプニプニにしておきましたよ?
私って細かい所にも気が利く、いい子でしょ?

「ぎゃあああっ!変なスライムに食われるぅぅぅっ」

あれ?プニプニの感触がスライムだと誤解されたみたい。
失敗、失敗と舌を出して反省している私を、胡乱な目で見ながらリュシアンは一人ずつ鞘に入ったままの大剣でゴツンと叩いて気絶させていく。
イザックさんが触手に触らないように嫌そうな顔をして、気絶した人の手首を縛っていくので、私はチョコチョコと寄っていく。

「親指も結んでこうしてこう結ぶと逃げないわよ。あとこうしてまとめて縛って、足首も縛っておこうよ」

「あ・・・ああ」

あれ?成人男性を嬉々として縛る幼女って変?イザックさんの顔を引きつっているんだけど?

「お嬢。いいから。俺たちが縛るから、手をださなくていいから!」

なんかリュシアンに邪険にされた。
ちぇっ。
気分を変えてセヴランのところへ行けば、いい笑顔をしたセヴランが侍女二人を拘束していた。

「終わった?」

「ええ・・・なんとか。商人だったときに女性の厭らしい面は腐るほど目にしてきましたが、この二人は稀に見る下品な女でしたね」

フンッと鼻息とビシンと鞭を一打ち。
どうやら、セヴランが弱いと思って侍女二人はハニートラップばりの誘惑をしてきたそうだ。
子供わたし相手に言葉は濁していたが、そうらしい。
面倒になったセヴランが縄も使わず、鞭も使わず、幻術で眠らせてバッタリ倒れたところを縄で厳重に縛ったと。
私はイザックさんに教えた縛り方をセヴランにも伝授して、侍女二人を縛りなおさせた。

あっという間にエロイーズ派の手駒を無力化させ、捕縛も完了。
後手に縛られた腕を胸でも縛って、足首も縛ってあるから、床に這いつくばって胴体を使って虫のようにウネウネしている人たち。
まだ逃げようという気持ちが折れていないのは、さすがかも・・・でもそんな僅かな希望も踏みつぶしますよ!

「リュシアン、縄で一人一人を繋いでいって」

私の言葉にリュシアンはギョッとした顔をするが、アルベールは「いいですね!」と縄を持ってウキウキと縛られた人たちへと向かう。

「あ、手伝います」

セヴランもいそいそとアルベールに続く。
うん、そんな二人の態度にリュシアンとイザックさんは「えええーっ」と声なき悲鳴を上げています。

「あっちは大丈夫なのかな?」

私が首を伸ばして反対側を確認しようとすると、リュシアンも同じように首を伸ばした。
ベルナール様たちが対峙しているのはユベール側の人間だとすると、こっちよりも武力は上だと思う。
ちゃんと剣が使える騎士とかが混じっていたら、ベルナール様たちに怪我人が出ているかもしれないし。
そんな心配をしていたのに、リュシアンは何か見てはいけない物を見たような顔をして、私の体を回れ右にする。

「なによ、リュシアン。どうなってんのよ?」

「いや、お嬢は見ないほうがいいかも」

リュシアンの声が聞こえたのか、ひととおり罪人たちを数珠繋ぎに繋いできたアルベールたちがベルナール様たちへと目を向ける。

「ぷっ!」

「ああ~」

なぜアルベールは噴き出して、セヴランは同情するような声を?

「あれを見ると、セヴランを思い出しますね」

「ああ・・・確かに。セヴランもあんな風にグルグル巻きだったもんな」

アルベールとリュシアンが言う「あのときのセヴラン」って?
私はリュシアンの手を掻い潜り、ベルナール様に捕まった奴らを見つけようと目を凝らす。

「あれ?本当だ、グルグル巻きだ」

あっちもほとんど捕縛は完了していて、ユベールに手を貸していた奴らは床に倒れていた。
しかも肩から足首まで縄で隙間もなくグルグル巻きにされている。
あれでは、立つことも動くこともままならないだろう。

「ぷぷっ」

私も、その無様な姿に噴き出してしまう。


「笑いごとじゃないですよ。あれ、キツイんですから」

セヴランに窘められたが、なぜにセヴランは経験者は語る状態なのさ。

「忘れたんですか?夜中に屋敷を抜け出そうとしたら、ヴィーさんが張った魔法罠に引っかかって、私も魔法縄でグルグル巻きにされたでしょう?」

「あ、そうだった。ごめん、ごめん」

まだお城の屋敷にいた頃に、そんなこともありましたね。
言い訳すると、グルグル巻きにするつもりはなかったんだよ?ちょっと魔法罠に込めた魔力が強かっただけで。

「えへへへ」

笑って誤魔化そう。

「こっちとあっちが終わったなら、あとはヴィクトル兄様たちだけだね」

私がヴィクトル兄様の加勢に一歩前に進もうとしたら、三本の腕で止められた。

「アルベール?リュシアン?セヴラン?」

どうして?あとはユベールとエロイーズを捕まえれば終わりでしょ?
不思議そうに三人の顔を見ると、三人は無言で顔を左右に振った。
後ろからイザックさんも私の肩を掴んで止める。

「え?なんで」

「ヴィー。お前はここまでだ。あとはヴィクトルがやるべきことだ。・・・それにお前がそこまで背負うことはないんだよ。これはトゥーロン王国の問題なんだ」

イザックさんの気持ちはありがたいけど、本当にそれでいいの?
だって、ねぇ? 捕まるのが嫌なエロイーズがユベールを盾にして逃げ回るから、エロイーズ捕獲係のユーグ君は縄を両手に持ってオロオロしているし・・・。
ヴィクトル兄様は、複雑な気持ちを処理しきれないのか、抜き身の剣を持つその手に力が入ってブルブルと震えてますけど?

ここは、実は、王族とは他人だったチート能力を持つ絶世の美少女が颯爽と現れて、活躍する場面なんじゃないのかなぁ?

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