みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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幸せになりましょう

次の国王が決まりました?

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これからの話と切り出したが、ほとんどは内々に決まっているんでしょ?
爵位を上げる人も重職に就ける人も、領地の分配も決まっているし、ギルドに関してもここで言質は取ったし。
中立派でいろいろとうるさく注文つけていたおバカな貴族たちは、外から見たトゥーロン王国がどういう立場か理解してガタガタ震えているし。
何か他に決めなきゃいけないことがあった?

「さて、国王陛下におかれましては、病気療養を理由に退位していただくことになりました」

正式な書類にサインをもらい、神官様の了承も得ていると、レイモン氏は重々しく告げますが、それもみんな知っているんでしょ?

あの平々凡々な国王様は、これからは緩い幽閉の中、ただ静かに時を重ねていくことだろう。
側に侍る妃は誰も残っていないし、子供もヴィクトル兄様以外は残っていないけど。
もしかしたら、生きていて今が一番心が落ち着ける環境かもね。
名目上の父親の境遇に同情もしない私は、気軽な気持ちでレイモン氏の話を聞き流していた。
だって、国王の権限の云々なんて興味ないし。

「・・・ということで、退位された一年後に新国王の戴冠式を行いたいと思います」

退位してすぐに王は代わるけど、これから一年間はザンマルタンたちの裁判やら処罰やらで忙しいし、他国からの反発も大きいということで準備期間を一年間設けるそうだ。
一年じゃ足りないと思うけど、一国の王の戴冠式をやらないわけにはいかないもんね、国の威信としてさ。
ズズーッとお茶を啜って、ぷはっ。

他国への賠償については、アンティーブ国の仕切りでミュールズ国と協力して対応することに。
莫大な賠償金を提示されてもしょうがないけど無い袖は振れないし、賠償先の各国も、まずは自国も関わっていた人身売買の騒ぎを鎮めるのが先よね。
アンティーブ国だけが目立った組織の関与はなかったけど、それって・・・レルカン商会の情報部のおかげだったりして、あははは。

「トゥーロン王国の要職ですが、宰相は降格です。ただ、文官のほとんどは人身売買に関与しておらず、異常とも思える王家への忠誠も幼い頃からの刷り込み教育が原因。監視を付けて後進の教育にあたらせることにします」

その中でも問題のない者や矯正ができる者は文官としてそのまま雇うことにした。
クシー子爵は大丈夫かしら? 彼は再教育で王族スッキーがどうにかなるレベルなのかな?

「宰相候補としてシャルル・ノアイユ公爵を。いずれ外交を任せる者としてベルナール・リシュリューを。私、レイモン・リシュリューの教育の元、育てます」

「へ?」

あら、思わず声が出ちゃったよ。
ベルナール様はリシュリュー辺境伯から自立して、新たに家を興し伯爵になられるそうだ。
そして、レイモン氏とリシュリュー辺境伯から偶にオルタンス様がやってきて、スパルタ教育をすると。
確かに獣人であるベルナール様が外交というのは、いいことだと思うよ。
親族でもあるアンティーブ国王家の方たちに対して特に有効だと。
でも、ドSのレイモン氏とおっかないオルタンス様のスパルタ教育に耐えられるかな?

「・・・また腹黒が爆誕してしまうな」

ベルナール様って、ご自分が思うほどお腹真っ黒じゃなかったのに。
シャルル様はご丁寧にレイモン氏と私の隣に座る元宰相に「よろしく」とご挨拶している。
この人も、お腹が真っ黒になってしまうのだろうか・・・切ない。

「騎士団も鍛え直します。父、モルガンが王都に居を移しますので、教育お願いします」

「うむ」

うん、リシュリュー辺境伯騎士団の人がニヤッと笑ったのは、自分たちと同じ苦しみを味わうがいい! と思ったからだろうね。
王都騎士団は腰抜けと揶揄されてもしょうがないと私も思うよ?
だって、ザンマルタン家の騎士たちに敵わないし、亜人奴隷が解放されたときは逃げ回っていたし、その後も王家の忠誠はどこ行った? と疑うお粗末さだもん。

「他も徐々に整理していきます。亜人だから人族だから貴族だから平民だからと判断することはしません」

「騎士団は能力主義だ!」

ガハハハッと大きな口を開けて豪快に笑うモルガン様。
ギルドにはキッチリと内部を引き締めてもらってから、トゥーロン王国に根付いてほしいな。
商業ギルドがマトモに運営していくなら、この国の産業についても考えなきゃいけないし。
冒険者ギルドも機能するなら、ピエーニュ森の低ランク魔獣狩りだけでは冒険者が離れて行ってしまう。

うーむ、と腕を組んで難しい顔で考えて、ハッと我に返った。
いやいや、なんで私がこれからのトゥーロン王国のあれやこれやを考えなきゃならんのだ!
このゴダゴダが終わったら、この国を出て新しい冒険に旅立つのよ!

「次に、トゥーロン王国の次の王ですが・・・」

ごきゅり。
とうとうヴィクトル兄様が王に、国王の座に即くのね。

「・・・シルヴィー・トゥーロン、第四王女に決まりました」

「ええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!」

なんで、そんなことになるんじゃい!

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