其れはアガペーなどではない

西浦

文字の大きさ
10 / 12
其れは恋などではない

十話 お兄さまと騎士団長さま

しおりを挟む
「っあ、アレクセイお兄さまっ♡ いく、イ、く♡♡ きもちいのきますっっ♡♡♡」
「は、良いぞ、イけ♡ リルネールっ♡♡」
「ふ、っぅう゛~~~♡♡♡ ぁ、んぁあっ♡♡♡ ふあ、やっ、ぁあっ♡♡♡」

 はっ激しい♡ アレクセイおにいさまのピストンっっ♡♡♡ 強すぎるっ♡♡ 気持ちいいところっ♡ ごりごり削られてる♡♡

 ぁ♡ お、おはこんばんちわ♡ 十六歳のリルネールっ♡♡ アマリア=バーグレイっ♡♡♡ ですっ♡♡ あっ♡♡ ちょっと、ま♡ まってぇ♡♡♡

「まって♡ お、まちくださ♡ アレクセイおにいさまっ♡♡♡」
 「っは、待たん♡ リルネール♡♡ お前が悪いのだぞ…♡ また性懲りも無くっ♡♡ っ♡ レオナルドのもとへ行こうとするからっ♡♡♡ この♡ 俺のものだっ♡ レオナルドになど渡してたまるかっ♡!!」
「ああっ♡♡ だ、めぇ♡♡ らめ♡ らめれす♡♡ アレクセイおにいさまっ♡♡♡ そこ♡ 奥♡ ごちゅごちゅしちゃらめぇっっ♡♡♡」
「駄目なわけがあるか♡♡ っはぁ゛♡♡ こんなに♡ 俺の魔羅に喰いついておいて♡♡ 駄目だと♡?? 嘘を♡ つくなっ♡♡♡!」
「っ♡ ぁあっ♡♡」


▲▽▲



 ぱちゅっばちゅん♡ぱんぱんっぱちゅばちゅ♡♡ぱん

 リルネールの柳腰をガッチリと掴んだアレクセイは、腰を打ち付けつついやいやと頭を振り続けるリルネールに噛み付くようにキスをすると、唾液でぬるつく口内を舌で弄る。真珠のような歯の歯列から、上顎を擽って、己の舌でリルネールの小さな舌を絡めとると、じゅう、と生理的な涙の混じった甘露のような唾液を吸った。

 この愛らしく喘ぐ弟をどうにかして残したいと考えたアレクセイの視線が、ちら、とナイトテーブルの上に持ってきておいた写機に流れる。が、すんでのところで思い直した。今はまだ、父にも母にも内密にしてこの関係を続けている。いつかリルネールを王妃にし、己の子を産んでもらうためにも、まだ二人に…特に父に露見する訳にはいかない。そうするにはまだ足りない。立太子はすんではいるがまだ足りない。弟を……リルネールを、王妃に据えるにはまだ時期ではない。

「っあ♡ ぅ~~~っっ♡♡ おにいさまあ♡♡♡」

 愛らしい俺の、俺だけのリルネールだ。そうだった筈なのに……!!

 レオナルドッッ!!

「ぅああっ♡♡ おに、ぃさま♡♡ アレクセイおにいさまあっっ♡♡♡ リルの♡ おく♡ 突かないでくださいまし♡♡ 気持ちいいの♡ も、やあ♡♡♡」
「っは、リルネールっ♡ 射精る♡ 射精す♡♡ っゔぉ♡♡ ぐ、ぅ♡♡」
「あっ♡♡ リルもっ♡♡ りるねーるもイきます♡♡♡ おにいさまっ♡♡ ぁあっ♡♡♡」

 盗られたくない。

 その衝動のまま、アレクセイは涙を流し喘ぐリルネールを掻き抱いて再び噛みつくようなキスをする。細く、柔らかい身体。自分と違う色素の薄いリルネールに、自分の色をつけるようにアレクセイはリルネールの奥の奥へ吐精した。



▲▽▲



「おや、リルネール様。昨日はお楽しみでしたのですか?」
「え?」
「ふふ、首元です。全く、アレクセイ様もお人が悪い……私に見せるためだけにこのような…」
「あ、あの? レオナルドさま?」

 首元の隙間から覗く肌に、執着を表すキスマークが幾つか散っている。今日はじめて会った者が私だから良かったものを……いや、私ぐらいなのか。この方が自由に会える者は…

「接吻の跡が見えていますよ」
「せっぷん…えっ! あ、!」
「えぇそうです……ほら、このようにすれば平気ですよ」
「あ、ありがとうございます…」

 僅かに緩んでいた襟元を正せば、跡はもう見えない。

「(子供だな……)」

 アレクセイ様のことは可愛らしい子供だと思う。皆、アレクセイ様のことを畏れ、天の才を持った完璧な王子だと褒めそやすが、実態はこれだ。

 ただ一人の弟に執着し、こうして私を牽制している。ただの男だ。まだ、感情を制御しきれない若い男……

「アレクセイ様は随分リルネール様のことをお好きなようですね」
「……好き?」
「?」

 急に表情を固めたリルネールに、レオナルドは目を眇めた。いつもの朗らかな雰囲気が冷え、どこか怯えすら滲ませるその姿にレオナルドは思わず口を開いた。

「まさか、リルネール様はアレクセイ様をお好きではないのですか…?」
「いいえ…! すき…そう、大切に思っています。だって、そうでしょう? 大切でなければ身体を許したりなど致しません……僕のただ一人のお兄さまなのですから」
「…では、信じておられないのか」
「え…」
「アレクセイ様がリルネール様をどれだけ愛しく思われているか。恋い慕っているか───」

「やめてっ!」

 どん、と、胸を叩かれ、レオナルドは口を閉じた。言いようのない激情に駆られ思わず睥睨した先のリルネールは首まで真っ赤に染めていた。顎を掴み上を向かせると眉は下がり、瞳には涙を浮かべている。照れているのかと思えば僅かに身体が震えているのがわかり、レオナルドは何故だか胸が締め付けられた。

「やめて、くださいまし…レオナルドさま」
「……恐ろしいのですね、リルネール様。アレクセイ様が己を好きだと、愛しているのだと信じるのが」
「やめて……!」

 アレクセイ様は明らかにリルネール様を愛している。恋などではない、リルネール様を見つめる瞳、話しかける声、触れる指先ひとつ…間違いなく愛だ。

「お、恐ろしいわけではありません…ただ、僕はそんな、愛などを一身に受けることができるほど、できた人間では…ないのです……」
「リルネール様…」

 レオナルドは口を引き結ぶとリルネールを掻き抱いた。ぐ、と力強く抱きしめ、リルネールの耳元で囁く。

「リルネール様。お慕いしています…」
「ぇ?」

 リルネール様。美しく、愛らしく、無邪気でありながら孤独な方。

「それは…僕に恋を…? それとも…」
「それを聞いて後悔なされませんか?」
「ぁ…」

 リルネール様は何も言わずに立ち尽くしている。しかしその顔は先ほどのような悲壮感あふれる顔ではない。

 私の思いを伝える気はなかったが、気が変わった。リルネール様を愛している。そして、この思いをリルネール様に伝えたからには、アレクセイ様に負ける訳にはいかない。

 リルネール様。貴方は愛されて然るべき人だ。恐れることなどないのだと、私が証明してみせる。アレクセイ様では、決してない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない

北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。 ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。 四歳である今はまだ従者ではない。 死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった?? 十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。 こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう! そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!? クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...