革命の夜は二度来ない

白藤結

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一章(20)

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 エリクはわずかに頬を紅潮させて視線を逸らすと、ポリポリと頭を掻いた。少し恥ずかしいらしい。
 そんな彼の服は昨日とは違い、深緑色の軍服だった。肩には金色の飾りがついていて、胸元にはブランクール共和国の紋章が縫いつけられている。揃いの帽子も被っていて、上品な衣服を纏っていた昨日とはガラリと雰囲気が違っていた。

 突然彼が来た驚きと、雰囲気の違うことによる戸惑いと。それらの感情を持て余していると、彼は一瞬こちらを見てサッと視線を逸らした。そっと唇が開かれる。

「まあとりあえず、今から行こう。少しの時間だけど案内する」

 そう言うとエリクはくるりと踵を返した。
 突然の展開に思わずほうけていると、エリクがこちらを振り返った。「行かないのか?」と尋ねてくる表情は、照れたようなもので。

「い、行くわ、もちろん!」

 そう言うと、アデライドは立ち上がってエリクを追いかけた。


   ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「では、これより緊急会議を始める」

 会議室にいるのは十人の男たち。彼らは十五年前、革命の指導者として民衆を動かし、革命を成功へと導いた、この国の中枢を担う男たちである。
 進行役の大臣が口を開く。

「今回集まってもらったのは、ほかでもない、反革命派の動きが活発化してきたからだ」

 会議に参加している一人――ユーグ・シャレットは、そっと目を閉じて記憶を整理する。
 革命中盤は魔の時代であった。疑心暗鬼となった当時の指導者や民衆の手により、反革命派だと少しでも疑いのある人物は、それこそ貴賎問わず次々と処刑されていった。そのためこの国に残る反革命派は少ない。

 しかし、まったくいないわけではないのだ。あの悪夢のような処刑期を生き延びた反革命派が。
 一度生き延びたためか彼らは総じて隠れるのが上手く、またしつこい。革命から十五年経った今でも、王政に戻そうと躍起になっているほどである。

(王族はもういないのにな)

 馬鹿馬鹿しい。どれだけ過去の栄光にすがるつもりだ。
 そんなことを思いながら目を開けると、同時に斜め向かいに座っていた大臣が手を上げて発言をする。
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