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終章
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一週間後。
馬車を降りるとアデライドは「わあっ」と歓声を上げた。燦々と降り注ぐ陽光、ふわりと届く潮風、笑顔で道を行き交う人々、耳を打つ喧騒、そして肉の焼けるいい匂い。
革命広場は以前と変わらず賑やかで、様々な情報に満ちている。五感で味わうそれらすべてが懐かしく、ようやっと味わえるもので、つい駆け出したくなった。
でも。
「アデラ、落ち着けよ。まだ船の出発まで時間あるんだから」
背後を振り返れば、エリクが馬車から降りてきているところだった。呆れたような表情をしていたけれど、その口元はほんのりと緩んでいる。
ふふっと笑うとアデライドは彼に向かって手を伸ばした。
「いいじゃない。時間は無限ではないもの。ほら、早く行きましょ」
「はいはい」
そう言うと、エリクはきゅっとアデライドの手を掴んだ。
反革命派が街を占領した事件のあと、アデライドは軍によって事情聴取されることになった。もちろん知っていることについて嘘偽りなく述べたのだが、反革命派に育てられたということでやはり最初のころは疑われていた。それでもエリクの証言もあり、アデライドは特に罪に問われることはなく、見事無罪放免。
しかし、完全に自由になることにはならなかった。
アデライドは最後の王族だ。反革命派がアデライドを旗印にして王政に戻そうとする可能性は高く、生きているだけでこの国にとって有害となる。
そのため今すぐ処刑するべき、という意見も出たらしい。それだけ王政を忌避する人もいるということだ。
しかしそうすべきでないと言ってくれる人もいて、アデライドはどうしたいのか意見を求められた。
それに対して、アデライドは――
よくエリクと歩いた大通りを、二人で懐かしむようにたどっていく。買い食いをした屋台、いつも集合場所にしていたパティスリー、エリクと再会した場所、一度だけ訪れた雑貨屋。全部が全部懐かしくて、ずっと見ていたいと思う。
でも。
ゆっくりと大通りを歩きつつ、エリクと繋いだ手をきゅっと握りしめた。
――アデライドはシルスター王国に戻ることを希望した。反革命派は間違っていると思うからこそ、現在シルスター王国にいるフィリップの父、アデライドにとっては親代わりと言えるオブラン公爵と話さなければと思ったのだ。
ほかの人から見たらなんてバカな選択を、と思われるかもしれない。間違っていると思われるかもしれない。
でも、それがアデライドなりの『正義』だから。
絶対に曲げたくなくて。
それに、今のままだと堂々とエリクの隣に立つことなんてできない。この国に残って守られるだけなんて嫌だし、これから先も彼の隣にいたいと思ったからこそ、こうして行動する道を望んだのだ。
その要望はこの国の軍人を何人か連れて行くという条件がつけられたものの認められ、今日はシルスター王国に帰る日だった。あまり帰国が遅くなるとオブラン公爵に怪しまれ、なにかあったと警戒されるため、今日が選ばれたのだ。
……フィリップがいない時点で怪しまれるかもしれないけれど、彼はまだ反革命派の中心人物として事情聴取があるし、罪に問われる可能性も高いという。そのためシルスター王国に帰ることなんて不可能だった。
ふと、つい先ほどの会話が脳裡に蘇る。
『アデラ、ありがとう』
馬車に揺すられる前、軍の施設でフィリップと顔を合わせてきた。そのとき言われたのは、お礼だった。
『お兄さま?』
『アデラのおかげで、本当に最後の最後だけれど、自分で決断をできたから。だからありがとう』
そう言ってフィリップは微笑んだ。
自らの父のことを信じたくて、反革命派の正当性を疑いながらも反革命派として活動していたフィリップ。けれど彼は最終的に反革命派を間違っていると判断し、アデライドを助けるためにファルシェーヌ卿へ立ち向かってくれた。
彼のためにも頑張らなければ。
「――アデラ?」
ハッと我に返る。過去を振り返っていたからだろうか、エリクが心配げな表情を浮かべてこちらを覗き込んできていた。
「なんでもないわ」
そう言うと、アデライドは彼の手を引いて再度歩き出す。
大通りは相変わらず賑やかだったけれど、以前歩いたときよりも若干人通りが少ない気がする。これはこれで歩きやすいからいいけれど、なんだか寂しい。これも革命祭が終わってしまったからだろうか?
「革命祭、見たかったなあ……」
ぽつりと声を漏らす。
出会ったばかりのころ、とても盛り上がると聞いた革命祭。それはアデライドの身内の死を喜ぶものだけれど、この国の人にとってそれは正しいことだし、あと純粋に祭りは好きだから楽しみたかった。
そっとため息をつくと、
「また来年、見に来ればいいだろ。そしたら案内するから」
そうエリクが言い、アデライドは彼のほうを見上げる。彼はこちらを見下ろしながら、優しい笑みを浮かべていて。
「そうね、そのときはお願いするわ」
「任せとけ」
にっと笑うエリクにくすりと笑みをこぼす。
そうして会話をしながら大通りを進み、やがて港にたどり着いた。相変わらず多くの船が停泊していて、人々が忙しくなく行き交っている。
もうすぐアデライドの乗る船が出発する時間だった。いくら名残惜しくとも、彼と別れなければならない。
それが、わたしにとって正しい選択だから。
タラップにまで近づくと、アデライドはエリクと向き合った。ずっと繋いだままだった手を離そうとする。
けれど、エリクがきゅっと指を握ってきて。
「……エリク、離して」
「…………」
最初、彼はなかなか離そうとしなかったけれど、しばらくしてそっと力を弱めていく。
するりと指が解放された。
そうするよう言ったのはアデライドだけれど、もうすぐ別れなければいけないという現実を実感してしまい、ツキリと胸が痛む。このままずっと彼の隣にいたいと思ってしまう。
(ダメよ……これがわたしの『正義』なんだもの。きちんと貫かないといけないわ)
そう、自らに言い聞かせていると。
「アデラ」
ハッと我に返る。
エリクの青い双眸には、確かな意思が灯っていた。
彼は、言う。
「頑張ってこい」
「……ええ、もちろんよ」
ゆっくりと口端を吊り上げ、アデライドはそう答える。エリクにそう言ってもらえるだけで、いくらでも頑張れる気がした。
「じゃあね、エリク。行ってくるわ」
「ああ、行ってらっしゃい、アデラ。また絶対会おう」
「もちろんよ」
いつだったか交わしたのと似たような会話をしつつ、アデライドは名残惜しさを断ち切るようにくるりと踵を返すと、タラップのほうへ歩いていった。少し離れた場所で待機していたこの国の軍人と合流し、乗船をする。
カンカン、と金属音が耳に届く。やかましい潮騒に陽気な人々の喧騒、そしてどこからか聞こえる鳥の鳴き声。
船に乗って外を見下ろせば、エリクは先ほどと同じ場所にいた。小さく手を振れば彼も大きく手を振り返してくる。
そのときボーという音があたりに響き渡った。
出発だ。
ゆっくり、ゆっくりと船が動き出す。
そのときふと、言い忘れていたことを思い出して。
「エリク!」
力の限り叫ぶ。届くのかはわからない。けど言わずにはいられなくて。
「戻って来たら! あなたに伝えたいことがあるの!」
告白をするつもりだった。オブラン公爵を説得できたら、堂々と彼の隣にいられる気がするから。
だから。
と、そのとき、エリクが自身の口元に手を当てた。
「――俺も! 俺も、伝えたいことがある! だから!」
「ええ、また会いましょう!」
船は徐々に、だが確実に離れていく。彼との距離が少しずつ開いていく。
でも。
もう寂しさなんて感じなかった。彼との約束を果たそうというやる気に満ちていて。絶対にもう一度彼と会うんだという決意がみなぎっていて。
アデライドは船の中に入ることなく、その場でずっと港を見つめていた。
その島影が見えなくなるまで、ずっと、ずっと。
馬車を降りるとアデライドは「わあっ」と歓声を上げた。燦々と降り注ぐ陽光、ふわりと届く潮風、笑顔で道を行き交う人々、耳を打つ喧騒、そして肉の焼けるいい匂い。
革命広場は以前と変わらず賑やかで、様々な情報に満ちている。五感で味わうそれらすべてが懐かしく、ようやっと味わえるもので、つい駆け出したくなった。
でも。
「アデラ、落ち着けよ。まだ船の出発まで時間あるんだから」
背後を振り返れば、エリクが馬車から降りてきているところだった。呆れたような表情をしていたけれど、その口元はほんのりと緩んでいる。
ふふっと笑うとアデライドは彼に向かって手を伸ばした。
「いいじゃない。時間は無限ではないもの。ほら、早く行きましょ」
「はいはい」
そう言うと、エリクはきゅっとアデライドの手を掴んだ。
反革命派が街を占領した事件のあと、アデライドは軍によって事情聴取されることになった。もちろん知っていることについて嘘偽りなく述べたのだが、反革命派に育てられたということでやはり最初のころは疑われていた。それでもエリクの証言もあり、アデライドは特に罪に問われることはなく、見事無罪放免。
しかし、完全に自由になることにはならなかった。
アデライドは最後の王族だ。反革命派がアデライドを旗印にして王政に戻そうとする可能性は高く、生きているだけでこの国にとって有害となる。
そのため今すぐ処刑するべき、という意見も出たらしい。それだけ王政を忌避する人もいるということだ。
しかしそうすべきでないと言ってくれる人もいて、アデライドはどうしたいのか意見を求められた。
それに対して、アデライドは――
よくエリクと歩いた大通りを、二人で懐かしむようにたどっていく。買い食いをした屋台、いつも集合場所にしていたパティスリー、エリクと再会した場所、一度だけ訪れた雑貨屋。全部が全部懐かしくて、ずっと見ていたいと思う。
でも。
ゆっくりと大通りを歩きつつ、エリクと繋いだ手をきゅっと握りしめた。
――アデライドはシルスター王国に戻ることを希望した。反革命派は間違っていると思うからこそ、現在シルスター王国にいるフィリップの父、アデライドにとっては親代わりと言えるオブラン公爵と話さなければと思ったのだ。
ほかの人から見たらなんてバカな選択を、と思われるかもしれない。間違っていると思われるかもしれない。
でも、それがアデライドなりの『正義』だから。
絶対に曲げたくなくて。
それに、今のままだと堂々とエリクの隣に立つことなんてできない。この国に残って守られるだけなんて嫌だし、これから先も彼の隣にいたいと思ったからこそ、こうして行動する道を望んだのだ。
その要望はこの国の軍人を何人か連れて行くという条件がつけられたものの認められ、今日はシルスター王国に帰る日だった。あまり帰国が遅くなるとオブラン公爵に怪しまれ、なにかあったと警戒されるため、今日が選ばれたのだ。
……フィリップがいない時点で怪しまれるかもしれないけれど、彼はまだ反革命派の中心人物として事情聴取があるし、罪に問われる可能性も高いという。そのためシルスター王国に帰ることなんて不可能だった。
ふと、つい先ほどの会話が脳裡に蘇る。
『アデラ、ありがとう』
馬車に揺すられる前、軍の施設でフィリップと顔を合わせてきた。そのとき言われたのは、お礼だった。
『お兄さま?』
『アデラのおかげで、本当に最後の最後だけれど、自分で決断をできたから。だからありがとう』
そう言ってフィリップは微笑んだ。
自らの父のことを信じたくて、反革命派の正当性を疑いながらも反革命派として活動していたフィリップ。けれど彼は最終的に反革命派を間違っていると判断し、アデライドを助けるためにファルシェーヌ卿へ立ち向かってくれた。
彼のためにも頑張らなければ。
「――アデラ?」
ハッと我に返る。過去を振り返っていたからだろうか、エリクが心配げな表情を浮かべてこちらを覗き込んできていた。
「なんでもないわ」
そう言うと、アデライドは彼の手を引いて再度歩き出す。
大通りは相変わらず賑やかだったけれど、以前歩いたときよりも若干人通りが少ない気がする。これはこれで歩きやすいからいいけれど、なんだか寂しい。これも革命祭が終わってしまったからだろうか?
「革命祭、見たかったなあ……」
ぽつりと声を漏らす。
出会ったばかりのころ、とても盛り上がると聞いた革命祭。それはアデライドの身内の死を喜ぶものだけれど、この国の人にとってそれは正しいことだし、あと純粋に祭りは好きだから楽しみたかった。
そっとため息をつくと、
「また来年、見に来ればいいだろ。そしたら案内するから」
そうエリクが言い、アデライドは彼のほうを見上げる。彼はこちらを見下ろしながら、優しい笑みを浮かべていて。
「そうね、そのときはお願いするわ」
「任せとけ」
にっと笑うエリクにくすりと笑みをこぼす。
そうして会話をしながら大通りを進み、やがて港にたどり着いた。相変わらず多くの船が停泊していて、人々が忙しくなく行き交っている。
もうすぐアデライドの乗る船が出発する時間だった。いくら名残惜しくとも、彼と別れなければならない。
それが、わたしにとって正しい選択だから。
タラップにまで近づくと、アデライドはエリクと向き合った。ずっと繋いだままだった手を離そうとする。
けれど、エリクがきゅっと指を握ってきて。
「……エリク、離して」
「…………」
最初、彼はなかなか離そうとしなかったけれど、しばらくしてそっと力を弱めていく。
するりと指が解放された。
そうするよう言ったのはアデライドだけれど、もうすぐ別れなければいけないという現実を実感してしまい、ツキリと胸が痛む。このままずっと彼の隣にいたいと思ってしまう。
(ダメよ……これがわたしの『正義』なんだもの。きちんと貫かないといけないわ)
そう、自らに言い聞かせていると。
「アデラ」
ハッと我に返る。
エリクの青い双眸には、確かな意思が灯っていた。
彼は、言う。
「頑張ってこい」
「……ええ、もちろんよ」
ゆっくりと口端を吊り上げ、アデライドはそう答える。エリクにそう言ってもらえるだけで、いくらでも頑張れる気がした。
「じゃあね、エリク。行ってくるわ」
「ああ、行ってらっしゃい、アデラ。また絶対会おう」
「もちろんよ」
いつだったか交わしたのと似たような会話をしつつ、アデライドは名残惜しさを断ち切るようにくるりと踵を返すと、タラップのほうへ歩いていった。少し離れた場所で待機していたこの国の軍人と合流し、乗船をする。
カンカン、と金属音が耳に届く。やかましい潮騒に陽気な人々の喧騒、そしてどこからか聞こえる鳥の鳴き声。
船に乗って外を見下ろせば、エリクは先ほどと同じ場所にいた。小さく手を振れば彼も大きく手を振り返してくる。
そのときボーという音があたりに響き渡った。
出発だ。
ゆっくり、ゆっくりと船が動き出す。
そのときふと、言い忘れていたことを思い出して。
「エリク!」
力の限り叫ぶ。届くのかはわからない。けど言わずにはいられなくて。
「戻って来たら! あなたに伝えたいことがあるの!」
告白をするつもりだった。オブラン公爵を説得できたら、堂々と彼の隣にいられる気がするから。
だから。
と、そのとき、エリクが自身の口元に手を当てた。
「――俺も! 俺も、伝えたいことがある! だから!」
「ええ、また会いましょう!」
船は徐々に、だが確実に離れていく。彼との距離が少しずつ開いていく。
でも。
もう寂しさなんて感じなかった。彼との約束を果たそうというやる気に満ちていて。絶対にもう一度彼と会うんだという決意がみなぎっていて。
アデライドは船の中に入ることなく、その場でずっと港を見つめていた。
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