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第二章
分からないこと
しおりを挟む「まったく、学級委員のくせにだらしないぞ!」
「すいませんでした…」
散々怒られて教室に戻ると、まだ授業の最中だった。
「先生すいません。…お腹痛くて遅れました」
「全部知ってるから座れ」
「あ、はい」
視線を浴びながら自分の席につき
カバンをしまって黒板を見た。
はぁ。
…太陽、気を悪くしちゃったかな。
知らない男に突然あんな言い方されたら、誰だって嫌な気持ちになるよね。
関村も、もうちょっと言い方優しくすればいいのにさ。
…でも正直、あたしが他の男といることに怒ってくれたのは嬉しかった。
関村も、ちゃんとあたしのこと好きなんだなって。
太陽には、放課後にでも謝まりにいこう。
あ、でも彼サッカー部に入ってたよね。
ならお昼休みに行っちゃおっと。
そして、昼休み。
「ミユ!あたしちょっと太陽のところ行ってくる!」
「はーい」
食べ終わったお弁当をしまって教室を出た。
周囲に誰もいないことを確認してドアを開けると、やっぱり彼の姿があった。
「いた…」
やっぱり屋上だった!
「おっ、未菜じゃん!」
いつも通りの笑顔に少しほっとした。
あたしも軽く笑って太陽の隣に座った。
「あのさ…今朝のことなんだけど」
「あーうん」
「いきなりでごめんね?あいつちょっと口悪くて、驚かせちゃったかと思うんだけど根はいい奴なんだ!」
「なんで未菜が謝るんだよっ。未菜はなにもしてないじゃん?」
「いや、でも気を悪くしたかなって思ったからさ」
「…彼氏なの?あいつ」
「うん!まぁいじわるだし?ガラ悪いし、強引なところもあるけど。いつの間にか好きになっちゃってんだよね~」
「そっか…なんか残念だったなあ」
「え?」
思いがけない言葉に固まっていると、彼らしくない困り顔をして笑っていた。
「ほんとに好きなんだね、そいつのこと」
「え?ま、…まぁね?」
「…俺の入る隙間はないか」
「ん?なんか言った?」
「いや…なんにも。よし!久しぶりにちゃんと授業うけるかな」
そう言って立ち上がり、あたしの頭を撫でた。
ドキッ…。
もーあたしのバカ!
彼氏以外の人にドキッとするな!
…仕方ないんです男経験がないので…。
「じゃあな、未菜!」
「あ、真剣に授業受けるんだよー?」
「ははっ。頑張るよ!」
最後に笑った彼の表情は、作り笑いに見えた。
なんか…様子が変だったかも。
あたしもしかしてなにか悪いこと言っちゃったのかな。
それとも
…気のせいかな。
「よしっ。あたしも行こっと」
深呼吸をしてドアを開けた。
放課後になって、あたしはまた一人教室に残っていた。
なんでかっていうと…ほら、よくあるじゃん?
カップル同士は一緒に帰って寄り道、みたいなやつ!
だから関村を待ってるんだけど…
「…来ない」
携帯が鳴る気配もないし。
このフロアから人がいる気配もしない。
教室に行ってみようかな。
「……」
シーンと静まり返った教室には誰ひとり生徒はいなかった。
それと同時に、不安のような切ない感情が湧き出てきた。
なんで先に帰っちゃったんだろう。
昨日は何も言わなくても迎えに来てくれたのに。
遊ぶ約束をしてたから迎えに来ただけなのかな。
じゃあ普段は別々に帰るってことか。
何も言わないで先に帰ってしまっただけで、どうしてあたしがこんなに可哀想な気持ちになってるんだ。
…関村は、あたしの顔見たいとか、一緒に帰りたいとかないのかな。
「……帰ろ」
これはあたしの勝手な理想像で、誰しもが一緒に帰ったりする訳じゃないかもしれない。
こんなことでうじうじするなんて、あたしらしくない!
もーー。ばかばか!
「あ…」
校門の前をだるそうに歩く人影。
どことなく関村に似てるけど、あの人確か今朝の…!
「あ、あのー!」
遠くから呼びかけるとゆっくり振り返ったのは
やっぱりリクさんだった。
「…なに?」
「えっと…関村と仲いい人だよね?同じクラスなの?」
「そーだけど」
だからあんなに親しかったのね!
謎が解決。
「関村って、もう帰っちゃったかな?」
「知らない」
「知らないって…見かけたりはするでしょ、同じクラスなんだし!」
「いちいち見てないから。でも家には帰ってないよ。今日は約束あるし」
「約束?」
「…気になるなら、着いてくれば」
そう言って彼は歩き出した。
なんの約束かは知らないけど…あたしが行っていいのだろうか。
不思議に思いながらも、彼の後ろをついて行くことにした。
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