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第二章
リクくん
しおりを挟む翌日、いつもより早起きして気合を入れて支度をした。
なんか…緊張する。
関村はみんなに人気があるわけで、彼女が出来たとかの噂って回るの早そう…。
まさか、イジメとかないよね?
あたし、もしかしたら陰口とか言われちゃう立場になっちゃったのかな。
うっ…なんか怖い…。
「ちょっと寄り道しようかな…」
いつもと違う通学路を通ることにした。
「あれ?未菜?」
「…あ!太陽!」
ちょうどいいところに!
「家ここら辺なの?」
「ううん、今日はちょっと遠回りしようかなって!」
「ははっ!そっか。じゃあ一緒に行くか!」
「うん!」
ふぅ…なんか勇気でた!
一人じゃ行きづらかったからちょうどよかったよ。
…それにしても
この子もイケメンだよね。
逆に騒がれないか心配だ。
不安に思いながらも学校についた。
「太陽くーん!おはよぉ」
「おう!おはよ」
「太陽ー!今日はちゃんと授業でろよー?」
「おう!体育あっからでるよ!」
通りすがる生徒たちが太陽に一声かけて校舎へと入っていく。
人気者なんだなぁ。
でも、わかる気がするよ。
この人の笑顔、すっごい可愛いもん。
人を惹きつけるというか、何一つ偽りのない表情をする。
人懐っこいのも、関係してるのかも。
「…あれ?そういえば太陽、前髪かえた?」
「うん!イメチェン?みたいな」
少し長かった前髪を上げてピンでとめていた。
太陽は恥ずかしそうに顔を赤くして笑う。
か…可愛い!
「すごい似合ってる!」
「マジ!?よかったぁ。」
「うんっ幼く見えてかわいい」
「幼いって、あんまり嬉しくないけどな!」
じゃれながら笑っていると、太陽は1階の1年生の教室を通り越して2階に登るあたしにずっとついてくる。
「あれ…?太陽は一階でしょ?」
あたしの学校は学年ごとに階が違っている。
一年は一階。二年と三年は二階。
「俺のクラスは特別だからさ」
「あー!またサボる気なんでしょ」
「いいじゃんっ。見逃して!な?」
う…。そんな顔されたら何も言えない。
「…もー。1時間だけだよ!」
「ははっ。さんきゅ!あ、未菜も一緒にサボろうぜ!」
「え!あたしも?」
「今日すごい天気いいし、空ぜったい綺麗だよ?」
太陽はニコニコしながらあたしの腕をつかむ。
「んー。でもなぁ」
「いいじゃん!行こ」
まぁ…一時間だけならいいかな?
楽しそうにあたしの腕をブンブン振る彼に引かれて、しぶしぶ歩き出したその時
「おいガキ」
後ろから低い声がして振り返ると、そこには顔を歪めた関村の姿。
「せ、関村!?」
体がでかいからなのか、彼独特の雰囲気からなのか、威圧感がすごい…。
やっと会えた…っ。
って、なんでこんな時にドキドキしてるのあたし!
関村なんか怒ってるよ!
「関村?…あー、あんたが噂のねぇ」
「それ俺のなんだけど」
それってなんだ、それって。
あたしは物ですか。
一応君の彼女になったんですけどー。
関村はあたしの腕をつかみ
「放せ」
すこし強めに太陽に言い放った。
そんな関村に圧倒されたのか
太陽は眉をしかめて手を離す。
「こい」
「えっ、ちょっと!」
そのまま引っ張られ、誰もいない空き部屋に連れ込まれた。
「あ…あのー」
「俺がいるのに、他の男と一緒に登校して?一緒にサボる気だったってことでいいよな」
わお…。
見られてたんだ…。
「あ、あれは後輩で、ただの友達だよ?」
「俺に嫉妬させてどうしたいの?」
「嫉妬って、あたしそんな…」
関村がジリジリ近づいてくるから、とっさにあたしも後ずさる。
「そんなにサボりたいなら、ここで俺と遊ぼっか」
トンッ…
背中にヒンヤリとした感触。
ウソ!壁!?
「来ないでよっ」
「ホントはこーゆーことしたいんじゃねーの?」
関村の肘があたしの横に置かれて、脚の間に関村の脚がはさまる。
近い近い近いって…!
恥ずかしくて彼を押しながらふいっと顔をそむける。
「ふっ…かーわい」
「ー…っ!」
チュッと関村があたしの頬に優しくキスをした。
「ちょ、関村っ。誰かくるから…!」
聞いてないのか、それとも気にしてないのか。
頬からそのまま移動する唇は耳に触れる。
「きゃ…っ…ん」
長い手が服の中に入りかけたその時
ガラガラガラっ。
え。
「ちょ…!」
ドアが開くと、一人の生徒が立っていた。
み、見られた…っ!
「…なにしてんの」
「おぉ。リクか」
知り合い…?
て言うか…
「放してよっ関村」
って、あたし制服はだけてるし!
「あぁ、わりぃ」
慌てて制服を整え、入ってきた生徒をみつめた。
この人…あたしと同じ年?
キャラメル色の軽くパーマがかかった髪型で
身長は…関村よりは少し小さいかな。
なんだか
なんともいえない不思議なオーラを放っている。
顔はカッコいいというか可愛いかんじ。
「ここ、俺の場所なんだけど」
「別にいーだろ」
「騒がしくしないで。寝るから」
「はいはい」
なんか…ほんとに眠そう。
目がとろぉんとしてる。
「ねぇ関村。あの人だれ?」
「同じグループの仲間」
「仲間…?」
「あ、リク。今日放課後あそこに来いよ」
「うん」
リクさんはなぜか置いてあるベットの上に横になった。
「…あそこってどこ?」
「俺らの溜まり場。まぁケンカするとこ」
「け、ケンカ!?」
じゃあ…このふわふわしてる人も人殴ったりするってこと?
じゃあこの二人はケンカ仲間!?
「だめだよっケンカはだめ!」
「は?」
「相手を傷つけることしちゃだめでしょ!」
「お前、応援するって言ってただろ」
「…へ?」
「頑張ってねって」
「ちがうよ、あれは関村が有名人になってるっていうから!」
「だから、こうして続けてるだろ」
そ、そのことだったの!?
ぽかーんと口を開けるあたしを見て、関村は首をかしげる。
「…うるさいなぁ、。さっさとどっか行けよ」
おおっ、なんだか言い方がキツイな。
リクさん、意外と毒舌?
さすが関村の友達だ。
「行こ関村」
関村の手を引いて空き部屋を出た。
ていうか、あの人もサボるんだろうか。
「…ーおい。どこまで行くんだよ」
「あ!ごめんっ」
「いや、いいけど。…んじゃあな」
「え?」
「え、って。クラス違うだろ」
あ…戻っちゃうんだ。
「うんっ…ばいばい」
あたしを見てふっと軽く笑った関村は
触れるだけのキスをして先にクラスに入って行った。
…し、幸せすぎるよぉおおおお!
「あれ吉田?お前なにしてんだこんなところで」
振り返ると担任が不思議そうに歩いてきた。
うわっ!よりによって担任かよ…。
さすがに授業中なのに廊下にいるのはサボりだと思われる。
よし、こうなったら。
「…わぁー!先生♪今日も眩しいほど輝いてますね!ネクタイもかっこいい!」
「その手には乗らないぞ。ついてこい」
「ひょえええええええええ」
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