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第二章
裏の顔
しおりを挟む「ふーん。それで?」
「それで、今日この後デートなの!」
昼休み、ミユは卵焼きを食べながら呆れた顔であたしを見た。
「はい?あんた達まだ付き合ってないんでしょ?」
「まぁたしかに。告白とかしたわけじゃないし、されてもないな…」
「それにさぁ、彼女でもないのにどうしてキスなんかしてくるの?そいつ軽い男なんじゃない?」
「そんなことないと思うんだけどなぁ。結構優しい人だよ?」
「……ほんとどういう風の吹き回し?あんなに嫌ってたくせに」
「なんていうか、ただ毒舌なだけで実は人思いで、いい人だってわかったの!」
「そんなのまだわかんないでしょ?未菜にだけじゃなくて、他の女にもそーゆー態度かもしれないよ?付き合ってないのにキスされたのだって、単純に遊ばれてるだけかもね」
「………」
「あ、いいすぎた?」
「酷いよぉ!」
昔からミユはサバサバして毒舌だから
ぐさっとくる事もたまぁにある…。
だけど言ってることはいつも正しい。
それに実はかっこいい彼氏とも長く続いている上級者なのだ。
だから恋愛相談ならぜひぜひのってほしい相手なんだけど…ね?
「ところで未菜は慎也くんのこと好きなの?」
「うんっ」
「…え?ほんとに?」
「うん!」
驚いたのか、口をポカーンと開けたまま固まってしまった。
あれから家で、関村とのいろんなことを思い出してるうちに気づいてしまったんです。
あいつに恋…していることを。
たしかにこんな平凡なあたしと女子に絶大の人気の関村じゃ釣り合わないかもしれないよ?
けど、実際に好きになったらそんなことはどうでも良いのだ。
関村の気持ちは、正直わからない。
だけど好きじゃないのに…キスとか…さ、ふつうしないよね?
あたしのためにキーホルダーとってくれたり、放課後の居残り待っててくれたり、先読みしてデートに誘ってくれたり
それって…それってさ
あっちだってそういう意味じゃないのかな?
「…じゃあ一つだけ。まず付き合ってからデートしなさい」
「つ、付き合うって…もう付き合ってるようなもんじゃないのかな?」
「そう思ってるのは未菜だけかもしれないよ?今日だってデートだと思ってるのはあんただけかもしれないじゃん」
「違うよ…多分」
「だから、それを確かめるために告白するの。両想いならデートだった、ってことでオッケーなんだから」
「あ、そっか。そうだね、確かめるためにね!」
「そうそう。だから頑張って」
「うんっ!」
あたし今日、告白します!!
放課後、みんなが帰って行く中あたしは席に座ったまま携帯を握りしめていた。
んー。
「何かメールしたほうがいいのかな?何も言わなくても迎えに来てくれるのかな…」
あーもう!わかんない!
えぇーい、こうなったら電話しちゃえ!
関村の番号を探して恐る恐る耳にあてる。
♪~♪~
「…ん?」
すぐそばで着信音が鳴ったかと思うと教室のドアに関村が寄りかかっていた。
「あ、関村!」
「行くぞー」
「あ、待って!話があるの」
「話?」
彼の手を引いて教室の中に連れてきた。
こ、告白するんだ…っ!
「あ、あのね?そのね!…えっとね!」
「なんだよ急に。バカ丸出しだぞ」
「なっ、こっちは緊張して…」
「いまさら何に緊張するんだよ」
「あ、うん!でね!?」
「ふぁぁー。」
いつもみたいに怠そうにでっかいあくびをもらして、あたしの隣にどかっと座った。
「あのねっ関村!」
「んー?」
「好き!」
「…はい?」
「あたし、関村のこと好きになっちゃったのっ!」
い、言っちゃったぁ…っ!
関村を直視できなくて下を向く。
体温が上がって心臓の音が早くなってる。
きっと今あたしの顔は茹でダコ状態だろう。
少しの沈黙の後。
「ふーん。」
「ふーんって…こっちは真面目にっ」
「じゃ、付き合う?」
「…え?ほんとに!?」
「あぁ。いいよ」
え、うそうそうそ。
あんた一応この学校の王子様なんでしょ!?
しかもこんなにあっさり?
そうか~!
やっぱり両思いだったんだねあたし達!
「え、えっと…うん、話はそれだけなの!じゃあ、約束してたし行こっか!」
「…あ、わりぃ。やっぱ今日帰るわ」
「え?帰っちゃうの?」
「うん。用事思いだした」
「あーそっか!…それはしかたないね!」
なんていいながらも結構ショック。
付き合ってからの初デートだと思ったのに。
「うん、ごめんな」
「大丈夫!」
そのあと二人で学校を出た。
この時、あたしは気づかなかった。
少し関村の表情が曇っていたことに。
「ただいまぁー!」
自分の部屋のベットに飛び込む。
「…へへっ」
付き合ったんだよね?
あの関村と…あたしが。
枕に顔をあて、嬉しさのあまり叫びまくる。
あ、ミユに報告しなきゃ。
急いで電話をかける。
「…はーい?」
「あ、ミユー?聞いて聞いて、あたし付き合ったよ!」
「おぉー。よかったじゃん」
「うん!もうね、嬉しすぎてどーしよー!」
「はいはい。おめでと」
「もー。そっけないなぁ!…えへへ」
夢みたいだ…。
ずっと恋したいとは思ってたけど、まさかあの有名人な関村と付き合うことになるなんて。
…あたし
こんなに関村のこと好きだったんだ。
「あれ?今日デートだったんじゃないの?」
「あーそれがさぁ、急に用事思い出したみたいで中止になったの」
「……ふーん、じゃあしかたないね」
「ほんと残念!」
「慎也くんさ、顔はイケメンだけど悪い噂もあるから気をつけるんだよ?」
悪い噂?
「他校の生徒とよくケンカしてるみたいだし。そんないい噂聞いたことないから、あんたも巻き込まれないようにね」
「ケンカ…」
あのゲーセンでの出来事。
あの不良みたいなナンパ集団となぜか知り合いだったんだよね。
それに関係してるのかな。
「ごめんあたしこれから彼氏と待ち合わせだから切るよ」
「あ、うん。ばいばい!」
携帯を机に置いて仰向けで横になった。
ケンカ…かぁ。
あたしが言ったらやめてくれたりしないかな。
噂だからほんとかどうかはわからないけど、あたしは彼女になったんだし。
彼女の言うことなら、少しは聞いてくれたりしないかなぁ。
普通に考えて、人を傷つけることはよくないよ、うん。
「彼女…」
あーーもう!
にやけちゃう!
これじゃあ変態みたいだ。
♪~♪~
「ん?」
受信メールをひらく。なんと送り主は関村。
「関村!?」
『今日はごめんな。また誘うから』
絵文字がない短いメール。
初めて関村からメールが来た…。
こんなそっけないメールでも、関村から来ただけでこんなに嬉しくなるなんて
なんか…もう夢みたいだよ。
すぐ返事をうって目をつぶった。
明日にはやく…ならないかなぁ。
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