好きなんて、ウソつき。

春茶

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関村.ver

あいつの存在

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次の日、あいつはまだ熱が下がらないみたいで学校には来てなかった。

「あー。つまんね」

もともと別々のクラスだから会うことはめったになかったけど…居るのと居ないのとでは気分が違う。

「ねーぇ慎也!」

「んぁ?」

「なんで今日はそんなにテンション低いのぉ?」

「低くねーよ別に」

ほんと女のテンションってうざい。
前まで平気だった甘ったるい香水の匂いも、今じゃ吸い込みたくないくらいに嫌いになった。

あー、未菜に会いてぇな。

「つーめーたーい。今日うちこない?親いないの」

「バーカ。俺には彼女…」

「ん?」

ちょっとまて?
俺とあいつって付き合ったのか?
たしかに好きとは言われたけど、そのあと爆睡してたから俺の話なんてきいてないだろうし。
それに俺も付き合おうとかいってなかったよな?

この場合、どーなるんだろ。

「…とりあえず俺好きな女としか遊ばないって決めたから」

「えーなにそれ。関村のくせにつまんなーい」

しっしっと手で追い払うそぶりをするといじけたように席に戻って行った。

…心配だから見舞いにでも行くか。
昨日メール送ったけど未だに返信返ってきてないってことはまだ寝てんのか?

体調悪い中あんなに雨に打たれたもんな。
あの時の記憶が無かったらまた言ってやるか。
なかったことには絶対したくないからな。
ま、言ったことも覚えてなかったらもちろん言わせるけど。
…あの時のあいつ、可愛いかったな。

「なににやけてんの?きもちわる」

「うっせーな。…てか誰だよお前シバくぞ」

…ーいつからこんなにお前を追いかけていたんだろう。

始めて会ったのはそうだ、俺が自転車であいつのこと引いちまったんだよな。
…へんな出会いだったよなまったく。
そのときはただのうるせーサル女だと思ってた。
女なんか周りにいくらでも居たから、あいつなんかよりずっと大人っぽくてグラマーなやつしか興味なかった。
それがまさかこんな夢中になるとはな。
だけど、あいつは他のやつと違った。

優しくすれば無邪気に笑うし、冷たく突き放せば膨れてギャーギャー騒ぐし。
単純な女、って思ってた。

告白されたときはほんとにびっくりした。
まさか、こいつからの告白なんて考えてもみなかったから。
興味はあったけど、一緒にいて面白くていい友達になれると思ってたのに。
そのときは嬉しさなんて全くなくて、むしろあきれた。

『女は顔がよければ誰でもいいのか』

やっぱりこいつも他のやつらと一緒なんだなって思った。
俺のこともなんにも知らねぇくせに好きとか言うんだな、って。

返事はもちろんオッケーにした。
断る理由なんてなかったし、好きでもなければ嫌いでもなかったから。
そのとき、既に付き合ってる奴が四人いたけど特に気にしなかった。

本気になるだけ、無駄。

こんな考え方になったのも、女のこと信用できなくなってたからなのかもしれない。

昔、俺のことを好きだと言って付き合った女が影で俺のこと飾りって言っていたのをたまたま聞いたことがあった。
俺に彼女がいるってわかっているのに寄ってくる奴もいれば、ヤることだけが目的なやつもいた。

俺はそんな、存在だった。

それからは女を信じることが怖かった。
俺が本気になっても相手はどうせ飾りとしか思ってない、そんなふうに考えるようになっていたから。

世間では四股とかいうんだろうが、4人とも了承済みだったし俺も気にして無かったけど未菜に言われてから改めて俺が変わってることに気づけた。

本当は、自分のことを本気で好きじゃなくても誰かに必要とされることが嬉しかったのかもしれない。

そんである日あいつに思いっきりキレられた。
正直なんでこんな怒られなきゃなんねーのとか思ったけど、あいつの泣き顔をみたらすごく胸が痛んだ。
あんなに必死に俺にぶつかってくるやつは初めてだった。
それからかな、あいつを意識するようになったのは。
…そんで、今俺はベタ惚れなわけ。

まぁ本人には言えないけど未菜はべつに特別可愛いわけじゃないしそこまでキレイでもない。
変な噂とかも聞いたことねーし、目立つタイプでもない。
スタイルだけはいいけどな。
なんでか可愛いくみえてくんだよなぁ。

性格は…、いいとも言えないか。
だけどなんかハマるっつーか、構いたくなるるような要素もってんだろうな。
って…なに語ってんだ俺は。 
そうだ今日はリクと出かける約束してたんだっけ。

…あいつときたらあれだろ。
あの屋上での事件。
あのとき俺が来てなかったら未菜は絶対押し倒されてたぞ。
ぶん殴ってやろうかとおもったけど俺、あいつのこと殴れないんだよな。
理由とかないけど、なんか傷つけたくないってゆうか。
ていうか、あいつあんなぼーっとしてるけどケンカすっげぇ強いんだぞ?
本気で暴れでもしたら俺でもあいつを止められないからな。
隙があったら誰にでもキスマークつけるやつなの忘れてたわ。

あいつもおれと一緒に女遊びしてたわけだからそれなりに女の扱いには慣れてるわけで。
でも…なんにもなくてよかった。
未菜は絶対誰にも渡したく無い。

「…なに。睨むなよ」

「……目の体操だ」

「ふーん」

相変わらず、だるそうなリク。

「あ、今日ゲーセンに行くんだよな?そのあとさぁ…」

「おれんちで寝る」

「…は?お前が寝たらおれどうするんだよ」

「一緒に寝てれば」

…はぁ。

「お前ほんと寝るの好きだな」

「…うん」

こいつの気まぐれに付き合ってやれるのは俺ぐらいだろ。
それに、俺の暇つぶしにはお前がちょうどいいからな。
仕方ねぇから付き合ってるやるか。


「やっぱ温泉いこ」


「…………」










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