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第五章
プリン
しおりを挟む「…んぁ」
目を覚ますと見慣れた天上があった。
あれ…。
あたしなんでここに?
するとタイミングよくお母さんが部屋に入ってきた。
「未菜!やっと目さましたのねぇぇ!」
「っ…くるしい。離して…」
「もう!全然目覚まさないから心配したじゃない!体調はどう?学校行けそう?」
「うん、行けるよ」
「じゃ支度できたら下おりてきてね」
「うん」
やばい状況が全く読み取れない。
とりあえず
「…お腹すいたぁ」
着替えを終えてリビングに座っていると、お母さんが鼻歌を歌いながらあたしの前に座った。
「はい!これ」
「…ん?」
目の前に並べられた3個のプリン。
ぷ、ぷりんだ!
でもこれコンビニのやつであんまり美味しくないんだよなぁ。
…って、朝ごはんにプリンか。
「あの、嬉しいんだけどあたしご飯が食べたいなぁ」
「あら、でもこんなにたくさん買ってきてくれたから食べないとなかなか減らないわよ?」
「買ってきてくれた?誰が?」
とりあえずいただこうか。
一つ目のプリンに手を掛ける。
「未菜を運んできてくれた男の子よ。名前は聞いてないからわからないけど」
「……え?」
あたしを運んできた男の子?
そういえばあたし、雨の中外に飛び出して…そこからの記憶がない。
じゃあ…もしかして。
「しかもすっごいかっこいい男の子だった!ママの見てきた男の子の中でダントツ!もしかして彼氏?」
「なっ!違うよっ」
じゃあこれ…関村が買ってきてくれたんだ。
しかもあたしを家まで運んできてくれたんだね。
あの時突然飛び出したから、どこにいるかなんて伝えてなかったはずなのに。
関村はどこにいても、あたしのこと見つけ出してくれるね。
……ほんと、優しい人だなぁ。
「お母さん、あと2個ちょうだい!」
ちゃんとお礼言わなきゃ!
「じゃいってきまーす!」
関村にはやく…会いたい。
運んでくれたってことは…持ち上げられたってことだよね?
自分のお腹とにらめっこして横っ腹をぎゅっとつまんでみた。
こ、こんなにもお肉が!
重かっただろうに…。
そんなことならダイエットしとけばよかったよ…。
しばらく歩いて顔を上げると校門のまえに関村が立っていた。
あ…。もしかしてあたしのこと待ってる!?
なんか緊張してきた。
でもっ、お礼いわなきゃだめだし。
いや、でもいきなりデブとか言われたら…。
ていうかあたし気失ってたってどんな顔してたんだろ…。
あーーーもう!
「おい」
「ひ、ひぇぇい!」
い、いつの間に隣にいたの!?
「なんだその悲鳴は」
「お、おはよ!」
「お前、もう大丈夫なのか?」
「うん!そうだ、ありがとね?家まで運んでもらっちゃって」
「ん」
「あと、プリンも!あんなにたくさんありがと。」
「おう」
そして二人ならんでまた歩き出した。
そういえば、あたしが風邪引いた時も薬たくさん買ってきてくれてたっけ。
プリンもあんたにたくさん買ってきてくれてたし。
まとめ買いするくせでもあるのかな?
「いやぁ、関村よくわかったね。あたしがいる場所」
「ほんとな。俺も思ったよ」
「前の時もヒントとか言ってないのに。へへっ。なんか嬉しいなぁ」
「…あーあ。昨日のおかげでなんか腕いたいなぁ。」
「あ…うぅ。」
次抱えられるまでには痩せておきます…。
落ち込むあたしをみて関村は冗談だよと笑った。
「…そういえばあたし、なんで外に飛び出してきちゃったんだっけ」
「は?」
関村が苦労して探してくれたのはとってもありがたいんだけど
…なぜだかその前の記憶も曖昧で。
ほんとになにも覚えてないんだよね。
なんであんな雨のなか、飛び出しちゃったんだろ。
「あたしもバカだよね。しかも気失うなんてさ。自業自得ってやつ?」
笑って関村を見上げると、ぽかーんと口を開けていた。
な、なんだ?
「お前なにもおぼえてないの?」
「な、なにを?」
「どこから覚えてない?」
「いやぁ…なんか記憶が曖昧でさぁ。どうしてか雨のなかで倒れたことしか覚えてないのよね」
「…ありえねぇ。」
見るからにご立腹の関村。
そんなため息つかないでよ…。
こっちも具合悪くて本当にしんどかったんだから。
…黙っちゃったし。
そんな関村を見守っていると急に眉毛をぴーんあげた。
「ほんっとお前は!」
「なっ、なに怒ってんのよ!」
「なんで肝心なとこ覚えてないんだよ。これだからドアホは…」
「ドアホ!?」
「気持ち良さそうに人の背中でガーガー寝やがって」
「そ、それはしかたないじゃん!って…おぼえてないし?」
「寝言うるせんだよ。重いし」
「寝言なんていってないし!重くて悪かったわね!」
ほんっと失礼なんだから!
いきなり立ち止まったと思ったらいつの間にかあたしの教室の前だった。
「…ふん!」
ぷいっと顔を背けて教室に入ろうとしたら
「おい待て」
エリをぐいっと引っ張られ後ろにそった。
「おぇぇ!」
「…俺は妖怪でも捕まえたか」
「誰のせいよ!」
このやろ…!
なんなのよ朝から!
「放課後、あの空き部屋にこいよ。来なかったら犯すから」
「は!?」
ふっと悪魔みたいな笑顔を残して自分の教室に歩いていった。
お、犯すよとか脅し!?
怖っ。
「ほんと最悪」
あんたに会うの楽しみにしてたのに。
なんでこんなキレられなきゃいけないのよ。
くぅううう!
こうなったら話でもなんでも、聞いてやろうじゃないの!
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