好きなんて、ウソつき。

春茶

文字の大きさ
49 / 57
第7章

はじめて。

しおりを挟む






部屋に入った瞬間、壁に押さえつけられて唇を奪われた。

「ちょ…んっ」

我慢していたのが伝わってくる強い力に体の体温が上がる。
長くて激しいキス。

力が抜けてスルスルと下へ座り込むあたしに合わせて関村もキスを止めずに下へと下がる。

い…息が。

「せ…せきむら!」

どんッと、関村の体を押してやっと唇が離れた。

「な…どうしたの?きゃ!」

困惑するあたしに見向きもせず、関村は真顔でお姫様抱っこをしてベットに下ろした。

「ちょ、ちょっと待って!」

「…なに?」

「関村どうしちゃったの?」

いつもならあたしのことからかったりしてじゃれてからキスとかしてくるのに。
今日の関村はなんだか怖い。

「あたしっ…その、まだそういうことしたことないから…」

関村は涙目のあたしを見てハッと我に返ったようだった。

「あ…ごめん」

そしてぎゅっとあたしを抱きしめた。
あたしもそんな彼の背中に手を回す。

「ダメだな俺…余裕ない。お前のことになると自分でもとめらんなくなる」

「うん」

「俺の彼女、可愛すぎるから。」

関村の顔があたしの胸に埋まる。
えっ…なになに!?
…どうしよう可愛い。

いつもツンデレの関村が今日はやけに素直で甘えん坊だ。

なんだろう。

すごく…愛おしい。

「…イヤならすぐ言って」

こくんっ。と頷くと関村はさっきと違う優しいキスをした。
関村の唇があたしの体を滑るたび、熱を帯びて心地いい。
柔らかい唇。
暖かくて、優しい関村の大きな手。

「…怖い?」

「…え?」

「震えてる」

「…うん。」

ほんとは…少し怖い。
あたしにとっては未知の体験で大好きな人と、こんなことするの初めてだから。

「…力抜いて。怖くないよ、大丈夫」

その言葉を信じて、目を閉じた。

「んっ…はぁ」

まるで壊れ物でも触れるように優しすぎる指先に、なんでだろう。
両手で顔を覆うと、関村の手が止まった。

「…どうした?」

やばいどうしよう。

涙が出る。

「…なんでも、ない」

…なんで今さらナナさんとのことを思い出すんだろう。

「なんでもないわけないだろ」

すると心配そうにあたしの体を起こして頭を撫でる。

関村は、モテるから
あたしが初めての彼女じゃないし
きっと、こんなふうにいろんな女の子を抱いてきたんだよね。

ナナさんとの時だって、あたしと同じように優しく抱いてあげたんだよね。

関村が他の人ともこんなふうに抱き合ったって考えると凄くイヤで仕方ない。
今更嫉妬したって意味ないのわかってるのに。

「やっぱり怖いか?」

頭を横に振ると不思議そうにあたしを見つめる。

「なんか嫌だった?」

「ううん、違う…っ。関村が他の人ともこんなふうにしたのかって思ったらなんか…」

こんなこと言って重い女。
涙止まってよ、あたしのバカ。
過去のことで嫉妬したって関村が辛くなるだけなのに。
必死に涙を拭いても止まろうとしない。

あー!
あたしのせいでムード台無しじゃん。
霞む視界にうつる関村の顔は滲んで悲しそうだった。

「…正直、元カノの数も一緒に寝た女の数も覚えてねぇ」

沈黙の中、彼の低い声が広い部屋に響く。

「だけどお前が初めてだよ。こんなに愛おしく思うのも、嫌われたくなくてなかなか手出せなかったのも」

するとあたしの手をつかんで自分の胸に当てた。

「…あ」

関村の心臓…すごいドキドキしてる。

「俺がこういうの慣れてるとか思ってんのかもしれないけど、好きな人は別。こんなに緊張するもんなんだな」

…そっか。
その言葉を聞いて少し安心してる自分がいる。
あたしだけじゃない。
関村だって緊張してくれてるんだ。

「過去のことは変えられないけどそんなこと考えさせないくらいお前のこと愛したい。言葉でも俺の行動でも」

あたしはこの人が好きで、関村もあたしのことが好きだからここまで追いかけてくれた。
確かに過去は変えられない。
でも彼の言葉一つ一つが暖かくて思いやりがあってあたしのことほんとに愛してくれているのが伝わってくる。

胸に当てていた私の手を今度は自分の頬に当てる。
彼の真っ直ぐな瞳があたしの瞳を捉えて。

「俺はお前だけのものだよ」

暖かい体温があたしを包み込む。
涙はいつの間にか止まってて、彼の少し汗の混じる香りに包まれて、2人ベットに倒れたた。

目が合うとお互いに少し照れ臭くて自然と笑みが溢れた。

たとえ関村の初めてじゃなくても
大切に思してくれてること、全身で伝わってくる。
関村の体温がなんだかすごく気持ちが良くて、落ち着くの。

「関村…っ好き…」

「俺も。未菜…っ」

関村に愛されていることを充分に感じながら
あたしは目を閉じた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敏腕SEの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した祭りは、雨の夜に終わりを願う。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...