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第1部 家出して異世界へ
1-3どこの世界も新人は雑用と勉強がメインです
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私は、水路の少し手間に立ち『エア・ゴンドラ』を、じっと見つめていた。ゴンドラには、ちょうどお客様が、乗り込んでいる最中だった。リリーシャさんが手を差し出し、上手くエスコートしていた。
素敵な笑顔に加え、優雅で洗練された動きは、見ていてとても安心する。流石は、リリーシャさん。何をやっても、完璧なんだよね。しかも、全ての動作に、ゆったりとした余裕が感じられる。
今回のお客様は、一週間前に結婚したばかりの、新婚ほやほやのご夫婦。二人とも、本当に幸せそうだ。せっかくの新婚旅行なので、最高に素敵な思い出を、たくさん作って行って欲しいと思う。
二人が座席に着いたのを確認すると、リリーシャさんが、目で合図を送って来る。私は小さく頷くと、ビットに結んであるロープに、手を伸ばした。
「ロープ、外します!」
手早くロープをほどくと、ゴンドラの先端に、さっと投げ込んだ。
このロープの付け外しをする『ラインマン』の仕事は、一見、簡単そうに見えるが、意外と難しい。最初のうちは、外れないわ、結べないわで、毎回あたふたしていた。今は、ササッと出来るようになったけど、元々手先が不器用なんで……。
ロープが外れると、エア・ゴンドラが、ゆっくりと動きだす。
「いってらっしゃいませ。素敵なひと時を、お過ごし下さい」
私は、お客様に向かい、誠心誠意の気持ちを込めた、最高の笑顔で見送った。
エア・ゴンドラは、普通のゴンドラとは違って、オールがない。『マナフロ―ター・エンジン』を積んでいるため、操縦者の『魔力』で、動かす仕組みになっている。
だが、エア・ドルフィンと違い、ハンドルもアクセルもないため、操縦には、極めて高度な技術が必要だ。私には、まだ無理だけど、リリーシャさんレベルになると、楽々操縦している。
エア・ゴンドラは、本来は空を飛ぶ機体。でも、普通に水上を、走らせることも出来る『水陸両用』の機体だ。今日のお客様は、水上と空中の、両方の観光をご希望だったので、前半は水路を、後半は空を飛ぶ予定になっている。
ゴンドラが、完全に見えなくなると、私は拳を握りしめ、気合を入れた。
「よし、それじゃー、私も頑張りまっしょい!」
と意気込むものの、実は私の仕事は、ここでおしまいだ。
私の今の階級のライセンスでは、まだ、シルフィードとしての、正式な営業許可が下りていない。そのため、掃除・準備・受付・見送りなどの、サポート業務が私の役目だ。まぁ、平たく言えば、全て『雑用』なんだよね。
かと言って、リリーシャさんが、仕事に出ている間、休憩という訳ではない。手が空いたら、エア・ドルフィンで町中を飛び回り、練習をする時間だ。
ちなみに、シルフィードの階級は、細かく分かれている。上から順に、
『グランド・エンプレス』
『シルフィード・クイーン』
『スカイ・プリンセス』
『エア・マスター』
『ホワイト・ウィッチ』
『リトル・ウィッチ』
『ハミングバード』
この七段階だ。
偉大なシルフィードにのみ贈られる、名誉階級の『グランド・エンプレス』は、現在、空席。なので、次の階級の『シルフィード・クイーン』が、事実上の最高位になっていた。
通常は、長年やっていても『エア・マスター』止まり。それ以上の階級は、ごく一握りの、エリートにしか到達できない。
現在『シルフィード・クイーン』は、四名。ここ〈グリュンノア〉には、大勢のシルフィードがおり、その中から選ばれた、超エリートだ。技術・知識・品行・人気、全てに秀でている必要がある。
シルフィード業界は、華やかな見た目に反して、実際には、かなりの『競争社会』だった。また、自分より上の階級の人には、敬意を持って接し、指示にも絶対に従わねばならない。
でも、体育会系の思考である私にとっては、縦社会も競い合うのも、結構、好きだ。むしろ、リリーシャさんには、もっと厳しく、接して欲しいぐらいだからね。
なお、リリーシャさんは、現在『スカイ・プリンセス』の地位にあった。その優美な立ち振る舞いと、卓越した操縦技術で『天使の羽』の二つ名を持っており、ファンも非常に多い。
一生やっても『エア・マスター』止まりの人が多い中、十代でこの地位にいるのは、物凄い出世コースだ。『スカイ・プリンセス』以上は、上位階級と言われ、一生安泰が約束されたも、同然だった。
私は、言うまでもなく、最下位の『ハミングバード』だ。まぁ、先日ライセンスを、取得したばかりだからね。ちなみに、筆記試験で点数が足りなくて、一度おちたのは、内緒……。
「私も早く、あんな素敵なシルフィードに、なりたいなぁー」
両手を胸の前で組み、うっとりと、リリーシャさんの、神々しい姿を想像した。
って、いかんいかん――。くだらない妄想を、している場合じゃないや。
私は、小走りで事務所に戻ると、よれよれになった、地図を持ってきた。ぎっしりと書き込みがしてあり、かなり使い込んでいる。新米シルフィードが、最初にやらねばならないのは、この町の隅から隅まで、地形を覚えることだ。
一応、マップナビはあるんだけど、お客様を乗せる時は、使ってはいけない決まりになっている。ナビを見ながらとかじゃ、かっこ悪いもんね。だから、地図を使って、地形を頭に叩き込むのは、新人の伝統的な練習法だった。
リリーシャさんのように、人気のシルフィードになると、待っていれば、いくらでも予約が入る。でも、無名の新人シルフィードは、こちらからお客様を、探しに行かなければならなかった。
町の上空を飛び回り、お客様を見付けたら、目的地に運ぶ。一言でいえば、タクシーみたいな感じ。なので、言われた希望地に、即座に行ける、土地勘が重要だった。
「昨日は〈北地区〉を回ったから、今日は〈西地区〉に、行って見ようかな」
地図に印をつけると、練習用のエア・ドルフィンに乗りこむ。
オレンジ色の機体で、側面と底面には、双葉のマークが付いていた。これは、シルフィード協会の規定で、練習中の新人の機体だと、一目で分かるようにしてある。
ホルダーに、地図をさし込むと、両手をそっとハンドルに置いた。すると、スピードメーターの隣にある『マナ・ゲージ』の表示が、少しずつ上に伸びていく。
ゲージが、グリーンゾーンに入ると『エンジン・スターター』を押した。エンジンの起動を確認すると、私は深呼吸して、意識を集中する。次の瞬間、ふわりと機体が浮き上がり、徐々に高度を上げていった。
前進はアクセルで操作できるが、上昇と下降は、搭乗者自身の、魔力で制御しなければならない。魔力を注ぎ込みながら、イメージで動かすのだ。
でも、このイメージが、難しいんだよねぇ。最初のころは、いくらやっても、ピクリとも動かなかった。十センチほど浮かすのに、二週間以上、掛かった記憶がある……。ただ、一度、慣れてしまえば、そう難しくはなかった。
十メートルほどの高さまで上昇すると、右手のアクセルを開く。直後、スーッと前進し始めた。全身で受ける風が、最高に気持ちいい。
「よーし、レッツゴー!」
少しずつ加速させながら〈西地区〉を目指して、突き進んで行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『近いようで果てしなく遠いもう一つの地球』
だけど涙が出ちゃう、女の子だもん……
素敵な笑顔に加え、優雅で洗練された動きは、見ていてとても安心する。流石は、リリーシャさん。何をやっても、完璧なんだよね。しかも、全ての動作に、ゆったりとした余裕が感じられる。
今回のお客様は、一週間前に結婚したばかりの、新婚ほやほやのご夫婦。二人とも、本当に幸せそうだ。せっかくの新婚旅行なので、最高に素敵な思い出を、たくさん作って行って欲しいと思う。
二人が座席に着いたのを確認すると、リリーシャさんが、目で合図を送って来る。私は小さく頷くと、ビットに結んであるロープに、手を伸ばした。
「ロープ、外します!」
手早くロープをほどくと、ゴンドラの先端に、さっと投げ込んだ。
このロープの付け外しをする『ラインマン』の仕事は、一見、簡単そうに見えるが、意外と難しい。最初のうちは、外れないわ、結べないわで、毎回あたふたしていた。今は、ササッと出来るようになったけど、元々手先が不器用なんで……。
ロープが外れると、エア・ゴンドラが、ゆっくりと動きだす。
「いってらっしゃいませ。素敵なひと時を、お過ごし下さい」
私は、お客様に向かい、誠心誠意の気持ちを込めた、最高の笑顔で見送った。
エア・ゴンドラは、普通のゴンドラとは違って、オールがない。『マナフロ―ター・エンジン』を積んでいるため、操縦者の『魔力』で、動かす仕組みになっている。
だが、エア・ドルフィンと違い、ハンドルもアクセルもないため、操縦には、極めて高度な技術が必要だ。私には、まだ無理だけど、リリーシャさんレベルになると、楽々操縦している。
エア・ゴンドラは、本来は空を飛ぶ機体。でも、普通に水上を、走らせることも出来る『水陸両用』の機体だ。今日のお客様は、水上と空中の、両方の観光をご希望だったので、前半は水路を、後半は空を飛ぶ予定になっている。
ゴンドラが、完全に見えなくなると、私は拳を握りしめ、気合を入れた。
「よし、それじゃー、私も頑張りまっしょい!」
と意気込むものの、実は私の仕事は、ここでおしまいだ。
私の今の階級のライセンスでは、まだ、シルフィードとしての、正式な営業許可が下りていない。そのため、掃除・準備・受付・見送りなどの、サポート業務が私の役目だ。まぁ、平たく言えば、全て『雑用』なんだよね。
かと言って、リリーシャさんが、仕事に出ている間、休憩という訳ではない。手が空いたら、エア・ドルフィンで町中を飛び回り、練習をする時間だ。
ちなみに、シルフィードの階級は、細かく分かれている。上から順に、
『グランド・エンプレス』
『シルフィード・クイーン』
『スカイ・プリンセス』
『エア・マスター』
『ホワイト・ウィッチ』
『リトル・ウィッチ』
『ハミングバード』
この七段階だ。
偉大なシルフィードにのみ贈られる、名誉階級の『グランド・エンプレス』は、現在、空席。なので、次の階級の『シルフィード・クイーン』が、事実上の最高位になっていた。
通常は、長年やっていても『エア・マスター』止まり。それ以上の階級は、ごく一握りの、エリートにしか到達できない。
現在『シルフィード・クイーン』は、四名。ここ〈グリュンノア〉には、大勢のシルフィードがおり、その中から選ばれた、超エリートだ。技術・知識・品行・人気、全てに秀でている必要がある。
シルフィード業界は、華やかな見た目に反して、実際には、かなりの『競争社会』だった。また、自分より上の階級の人には、敬意を持って接し、指示にも絶対に従わねばならない。
でも、体育会系の思考である私にとっては、縦社会も競い合うのも、結構、好きだ。むしろ、リリーシャさんには、もっと厳しく、接して欲しいぐらいだからね。
なお、リリーシャさんは、現在『スカイ・プリンセス』の地位にあった。その優美な立ち振る舞いと、卓越した操縦技術で『天使の羽』の二つ名を持っており、ファンも非常に多い。
一生やっても『エア・マスター』止まりの人が多い中、十代でこの地位にいるのは、物凄い出世コースだ。『スカイ・プリンセス』以上は、上位階級と言われ、一生安泰が約束されたも、同然だった。
私は、言うまでもなく、最下位の『ハミングバード』だ。まぁ、先日ライセンスを、取得したばかりだからね。ちなみに、筆記試験で点数が足りなくて、一度おちたのは、内緒……。
「私も早く、あんな素敵なシルフィードに、なりたいなぁー」
両手を胸の前で組み、うっとりと、リリーシャさんの、神々しい姿を想像した。
って、いかんいかん――。くだらない妄想を、している場合じゃないや。
私は、小走りで事務所に戻ると、よれよれになった、地図を持ってきた。ぎっしりと書き込みがしてあり、かなり使い込んでいる。新米シルフィードが、最初にやらねばならないのは、この町の隅から隅まで、地形を覚えることだ。
一応、マップナビはあるんだけど、お客様を乗せる時は、使ってはいけない決まりになっている。ナビを見ながらとかじゃ、かっこ悪いもんね。だから、地図を使って、地形を頭に叩き込むのは、新人の伝統的な練習法だった。
リリーシャさんのように、人気のシルフィードになると、待っていれば、いくらでも予約が入る。でも、無名の新人シルフィードは、こちらからお客様を、探しに行かなければならなかった。
町の上空を飛び回り、お客様を見付けたら、目的地に運ぶ。一言でいえば、タクシーみたいな感じ。なので、言われた希望地に、即座に行ける、土地勘が重要だった。
「昨日は〈北地区〉を回ったから、今日は〈西地区〉に、行って見ようかな」
地図に印をつけると、練習用のエア・ドルフィンに乗りこむ。
オレンジ色の機体で、側面と底面には、双葉のマークが付いていた。これは、シルフィード協会の規定で、練習中の新人の機体だと、一目で分かるようにしてある。
ホルダーに、地図をさし込むと、両手をそっとハンドルに置いた。すると、スピードメーターの隣にある『マナ・ゲージ』の表示が、少しずつ上に伸びていく。
ゲージが、グリーンゾーンに入ると『エンジン・スターター』を押した。エンジンの起動を確認すると、私は深呼吸して、意識を集中する。次の瞬間、ふわりと機体が浮き上がり、徐々に高度を上げていった。
前進はアクセルで操作できるが、上昇と下降は、搭乗者自身の、魔力で制御しなければならない。魔力を注ぎ込みながら、イメージで動かすのだ。
でも、このイメージが、難しいんだよねぇ。最初のころは、いくらやっても、ピクリとも動かなかった。十センチほど浮かすのに、二週間以上、掛かった記憶がある……。ただ、一度、慣れてしまえば、そう難しくはなかった。
十メートルほどの高さまで上昇すると、右手のアクセルを開く。直後、スーッと前進し始めた。全身で受ける風が、最高に気持ちいい。
「よーし、レッツゴー!」
少しずつ加速させながら〈西地区〉を目指して、突き進んで行った。
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