私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~

春風一

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第3部 笑顔の裏に隠された真実

4-3やらずに後悔するぐらいならやって失敗する方がいいと思う

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 私は、エア・ドルフィンに乗り〈東地区〉の上空を飛んでいた。すぐ横には、ナギサちゃんも並行して飛んでいる。合同での練習飛行だけど、いつもとは、ちょっと目的が違う。

 今日は〈東地区〉にある〈エメラルド・ビーチ〉から〈西地区〉の〈サファイア・ビーチ〉に向かっていた。

 普段なら〈中央区〉を横切る最短ルートで、一直線に目的地に向かっていく。でも、今日は遠回りして、海沿いを道路の上を飛行していた。なぜなら『ノア・マラソン』のコースを、下見しながら飛んでいるからだ。

 一応、スピで情報は集めたし、図書館に行って『映像アーカイブ』も見てきた。何となく、全体像は見えて来たんだけど、直接、見てみないと、分からない部分もある。道幅や路面の状態、勾配などは、映像では分かり辛いからだ。

 私は基本、頭で学ぶタイプではない。何事も実践して、体で覚えるタイプだ。あと、基本、ぶっつけ本番が多い。

 でも、何の下見もなしに、五十キロを走るのは、あまりに無謀すぎる。いくら体力に、自信があるとはいえ、いきなりこの距離は、さすがに無理だ。こっちに来てから、全然、走ってないので、この半分の距離でも厳しいと思う。

『ノア・マラソン』まで、約一ヶ月。本来なら、こんな短い期間で仕上げるのは、無理がある。しかも、一日中、走れるわけではなく、仕事の合間に、ちょこっとトレーニングする程度だ。

『サファイア・カップ』の時と同じで、かなりギリギリの状態といえる。なので、今は一刻も早く、ルートを把握し、練習を始めることが大切だった。

 そんなわけで、困った時のナギサちゃん。事情を説明して、コースの下見に、付き合ってもらったのだ。

 最初は『何を馬鹿なこと言ってるの?』と、呆れられた。でも、私が本気であることを熱く語ると、渋々協力を了解してくれた。相変わらず優しいよね、ナギサちゃんは。結局、何だかんだ言いながらも、付き合ってくれるんだから。

 私たちは、まず〈エメラルド・ビーチ〉の、守護女神像からスタートした。スタート地点が『大地の魔女』の像、ゴール地点が『旋風の魔女』の像だ。

 四人の守護女神像は、様々なイベントの、会場になることが多い。それだけ、この四人の魔女が、この町にとって大切で、皆に敬愛されるシンボルだからだ。

 それに『大地の魔女』は、多くのスポーツ選手たちに信仰されている『勝利の女神』でもある。だから、この像からスタートするのは、レースにはぴったりだと思う。

 ちなみに『スポーツ・フェスタ』の期間中は、沢山の選手たちが、この像に『戦勝祈願』にやって来る。もちろん私も『完走できますように』って、ちゃんとお願いしてきた。

 守護女神像から出発すると、しばらくは、海岸に沿って走って行く。景色は申し分なく、穏やかな海風が吹いている。道幅も広く、非常に走りやすそうだ。

 でも、この地点では、のんびり景色を見ている暇などない。なぜなら、参加者数が三万人を超え、周りには、沢山の選手たちが走っているからだ。

 全員、一斉のスタートは無理なので、複数のグループに分けられる。実績のある速い選手ほど、前のグループになっていた。理由は簡単で、遅い人が前を走ると、道がつまってしまうからだ。

 それぞれのグループごとに、時間差でスタートしていく。それでも、一つのグループに、数千人の選手たちがいる。

 実は、最も難関なのが、スタート地点だ。物凄い群衆の中で走るため、接触や転倒の事故が、かなり起きやすい。

 さらに、大勢の人に取り囲まれ、自分のペースが、非常に作り辛かった。ペースを守りつつも、隙をついて抜け出し、いかに先頭集団に向かうかが、ポイントだ。

 私は、群衆が走っている様子をイメージし、どこら辺で仕掛けるかを考える。また、周囲の建物を見て距離を測り、どれぐらいのペースで走って行くのか、組み立てて行く。

 普段から、練習飛行で、建物を観察したり覚えたりしているので、地形の把握は慣れていた。そういえば、昔に比べ、観察力や記憶力が増した気がする。

 私は、色々考えながら、ゆっくりと飛行していた。ナギサちゃんは、少し先のほうで、徐行運転しながら、じっと待ってくれている。私は、少しスピードを上げ、彼女に追いついた。

「ごめんね、ナギサちゃん。地形を覚えたり、ペース配分を考えたりで、進むの時間かかっちゃって」

「いいわよ。今日は、そのために来たのだから。それに、私は走ることに関しては素人だから。風歌の好きなように、やればいいわ」

 練習飛行をスタートしてからは、嫌な顔一つせずに、じっと私のペースに、合わせてくれていた。

「私も、マラソンは、そんなに詳しい訳じゃないんだよね。ハーフ・マラソンしか、走ったことないし」

 ハーフ・マラソンも、自分で市民マラソンに参加しただけだし。陸上部では、最高でも『1500メートル走』だったから、マラソンが専門ではない。一応、ハーフ・マラソンに出る時は、顧問の先生に、色々アドバイスは、もらったけどね。

「でも、距離が違うだけで、走り方は基本、同じなのでしょ?」
「そうだね。群衆の中にいる間は、事故に気を付けて。一度、抜け出したら、あとは持久力とペース配分の勝負。ここら辺は、どのマラソンでも同じだね」

 やはり、最も気を遣うのは、序盤の走りだ。ここでケガでもしたら、元も子もない。とはいえ『ノア・マラソン』の場合、五十キロという、とんでもなく厚い壁がある。こっちをどう攻略するかのほうが、はるかに問題なんだけど……。

 ビーチに沿って、まっすぐ進んで行くが、この区間は非常に長かった。景色は、とてもいいんだけど、とにかく長い。それに、練習飛行では来ない、全く知らない場所だ。

 基本、人が多い中心部を回っているので、島の端っこにある海沿いには、まず来ない。たまに、食事で行くのも、海水浴エリアにある店だけだ。

〈エメラルド・ビーチ〉を過ぎると、周りには店もないし、人もいない。遊泳禁止区域なので、ポツポツと、釣りをしている人の姿が、見えるぐらいだ。右手のほうには、閑静な住宅街が見える。

 非常にのどかな風景だが、こういう何も変化のない場所は、かなり走り辛い。どこら辺を走っているのか、分かり辛いからだ。

 特に目印もなく、どこまでも真っ直ぐ続く道は、ペース配分を間違えたり、時には、心が折れる場合もある。同じ景色がずっと続くと、全く進んでいない錯覚に、陥ることもあるからだ。 

 延々と、真っ直ぐに続く道を進んで行くと、やがて道が右に曲がり始める。ここからが、第二の難所だ。ゆるい登り坂になっており、しかも、かなり長い。

 他の選手を抜くには、うってつけの場所だ。でも、まだ序盤のため、下手にスピードを出し過ぎると、間違いなく、後半ばててしまう。坂道の足にかかる負担は、思いのほか大きいからだ。

 緩やかに続く坂道を抜けると、しばらくは、平地の直線が続く。ここも、右手は住宅街で、左手は海。あまり変化のない景色の中を、ずっと進んで行くと、途中で川が見えてきた。川には橋が架かっており、この橋の向こう側は〈南地区〉だ。 

 橋を渡って〈南地区〉に入ると、急に雰囲気が変わって来た。古い建物や平屋が多い〈東地区〉と違い、ビルやマンションなど、近代的な建物が多い。右手の中心部には、高層ビル・高層ホテル・デパートなどの、大型商業施設も見える。

 さらに、前方のはるか先には、小さく観覧車が見えてきた。〈新南区〉の遊園地〈ドルフィン・ランド〉だ。

 少し進んだところで、右のほうに道がカーブしていき、少しずつ〈新南区〉の全貌が見えて来る。〈新南区〉は見えてはいるが、実際にはかなり遠い。エア・ドルフィンでも、かなり時間が掛かるので、走るとなると大変そうだ。

 ただ〈新南区〉を見ていれば、だいたいの場所や、距離感は把握できる。それに、ここら辺は、普段の練習飛行でも、よく飛んでいるので、全て覚えていた。

「ナギサちゃん、ここら辺は、だいたい覚えてるから。〈西地区〉の海岸通りまで、一気に抜けちゃおう」
「分かったわ。少し高度を上げてから、飛ばすわよ」

 私は、ナギサちゃんのすぐ後ろについて、高度を上げて行く。先ほどまでは、地上をよく観察するため、低空飛行していたからだ。それに、速度を出す時は、一定以上の高度をとることが、義務付けられている。

 高度計を見て『高速飛行域』まで上がると、アクセルを開いて、加速を始めた。海沿いの道路の真上を、一気に飛び抜けて行く。

 真っ直ぐ進んで行くと、左手のほうに、大きな橋が見えてきた。〈新南区〉と〈南地区〉は、長い橋でつながっている。全長一キロある〈ドリーム・ブリッジ〉だ。

〈新南区〉は、カジノや飲み屋などの、繁華街もあるので、町の中心部から、離れた場所に作られた。〈グリュンノア〉には『景観保護規制』という法律がある。これは、町の景観や騒音を、規制するものだ。

 カジノや居酒屋、ネオンが光るような、派手な店など。特定のレジャー施設は、住宅地・観光地・町の中心部に作ることが出来ない。この法律のお蔭で、町の景観が、美しく保たれている。

 その代り〈新南区〉だけは、この規制が適用されない『自由商業エリア』だ。そのため、レジャー施設が密集した、巨大な歓楽街になっている。橋を越えると、まるで別の町のような景観だ。特に夜は、ネオンが輝く、別世界になっている。

 この〈ドリーム・ブリッジ〉の辺りが、ちょうど中間地点だ。橋の前は、大きな十字路になっており、右折すると〈南地区〉の中心部に向かう、大通りになっている。

 ここは、二つの地区を行き来する『ロード・カート』や『ロード・コンテナ』で、非常に交通量が多い。

 ちなみに『ロード・カート』が、この世界での、最も標準的な乗り物だ。空を飛ぶタイプの『エア・カート』もあるけど、操縦のライセンスが違う。一般の人は、価格も安く、ライセンスが取りやすい『ロード・カート』に乗る場合が多い。

『ロード・コンテナ』は、荷物運搬用の大型機体だ。こちらも『エア・コンテナ』という、空を飛ぶタイプもある。でも、一般的には『ロード・コンテナ』が、使われる場合が多い。積載量が多く、価格も安いからだ。

 十字路を抜けると、ここから先はまた、左手は海、右側には、店や商業ビルが立ち並ぶ風景が続く。ここら辺は、一通り覚えているので、大きな建物だけ確認しながら、一気に通りすぎる。

 しばらく進んで行くと、先のほうに、運河が見えてきた。昔は、沢山の運搬船が往来していたが、今は観光用の船が通るだけだ。その運河の橋を渡ると、ようやく〈西地区〉に到着する。〈西地区〉に入ると、急に雰囲気が変わった。

 商業ビルが多い〈南地区〉と違い、平屋の家が多い。〈西地区〉の海辺は、住宅街になっている。でも〈東地区〉とは、全く雰囲気が違う。

 新しい建物が多く、家の敷地がとても大きい。ここら辺は、別荘や豪邸が多いからだ。大きな庭付きの家や、プール付きの家もある。お金持ちの人が、多く住んでいることから『セレブタウン』とも言われていた。

 目の前の海には、ヨットやクルーザーが停まっている、小さな港もある。所々にある、レストランやスーパーなども、いかにも高級そうだ。私には、全く縁のない場所だけど、いつかこんな所に、住んでみたいかも――。

 高級住宅街を見ながら進んで行くと、やがて、見知った風景になってきた。左手には〈サファイア・ビーチ〉があり、右手には、普通の住宅や商店が見えてくる。もう少し進めば〈ウインド・ストリート〉だ。

 いつも見ている街並みになり、少しホッとした。やっぱり、普段、飛び慣れている、普通の住宅や商店街が、一番、落ち着くんだよね。

 やがて、ビーチの先のほうに『旋風の魔女』の像が見えてくる。ゴール地点は間もなくだ。

 守護女神像に到着すると、私たちは近くの駐車場に、ゆっくり着陸した。エア・ドルフィンから降りると、大きく伸びをする。

 時計を見ると、二時間以上、経過していた。やはり、外周沿いに移動すると、物凄く時間が掛かる。それに、道のチェックのため、かなりゆっくり飛んでいたので。

「ふぅー、お疲れ様、ナギサちゃん。思った以上に、時間が掛かるね」

 長時間、つき合ってくれたナギサちゃんに、お礼の声を掛ける。普段、ここまで長時間、空にいることは無いので、彼女も、ちょっとお疲れの様子だ。

「それはそうよ。五十キロの距離は、エア・ドルフィンで飛ばしても、一時間以上は、掛かるのだから」
「だよねぇ。いつもは、町の外周は飛ばないから、想像以上に距離があったよ」

 いつもは目的地まで、一直線に、ショートカットしている。なので、地区をまたいでいても、さほど時間は掛からない。でも『ノア・マラソン』は、最も距離のある、外周を走らなければならなかった。

「風歌は、本気で、これを走るつもりなの?『サファイア・カップ』はまだしも、これは、いくらなんでも、無謀すぎるわよ」

「自分でも、正直そう思う。でも、何事も実際にやって見ないと、気が済まない性格なんだよね」

 ナギサちゃんの、言いたいことも分かる。でも、走りたい気持ちが、抑えられないんだよね。

「風歌が無謀なのは、いつものことだけど。あなたは、シルフィードなのよ。これは、どう考えても、本分を越えてるわ。今でさえ、一杯一杯なのに。何故こんな大変なことを、やらなければならないのよ?」

「んー、大きな壁を越えた先にしか、見えないものが、あるからかな。達成感とか、新しい発見とか。辛くて大変なマラソンを走る人って、みんな、そうじゃないのかな?」

 苦労しないと、見えないものって、あるからね。

「……私には、よく分からないわ。自分の目指すこと意外に、力を注ぐなんて。何にせよ、怪我だけは、するんじゃないわよ」
「ナギサちゃん、心配してくれて、ありがとう。ケガに気を付けながら、頑張るよ」

 もちろん、ケガには、細心の注意を払うつもりだ。まぁ、元が頑丈なので、大丈夫だとは思うけど。

「別に、心配なんてしてないわよ」
 プイッと、そっぽを向くナギサちゃん。素直じゃないのは、いつも通りだ。

 でも、本当に、いつも心配してくれてありがとね、ナギサちゃん。やれるところまで、精一杯やってみるよ。もちろん、本業のシルフィードに影響が出ないように、気を付けながらね。

 よし、ノア・マラソンに向けて、仕事もトレーニングも頑張りまっしょい!


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次回――
『半年以上のブランクあるけど走るってやっぱり気持ちいい』

 ご心配なく ブランクは人生経験で埋めるから
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