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第5部 厳しさにこめられた優しい想い
5-6夢を追い続ければいつか必ず手が届くと私は信じてる
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私たちは〈中央区〉にある〈デリッシュ・ベジタブル〉というお店に来ていた。ここは『野菜料理専門』のレストラン。私は、野菜料理の専門店なんて、初めてだ。どちらかというと、肉食派だからね。
テーブルの上には、ツバサさんが注文した、おすすめの野菜料理が、所狭しと並んでいた。『野菜なんかじゃ、お腹にたまらないよ』なんて思ってたけど、食べてみると、これがまた美味しい。肉や魚も使われているので、結構ボリュームもある。
それにしても、よくこんなお店を、知ってたよね。〈中央区〉なんて、滅多に来る場所じゃないのに。
でも、割と来慣れてるみたいで、ナギサさんは、手際よく料理を注文していた。私はメニュー見ても、料理の名前が、今一つ分からない。横文字とか、オシャレな名前のものは、全く縁がないので……。
エリーちゃんも、とても美味しそうに食べている。最初は、疲れていたみたいだけど、一口たべたら、次々と手が伸びていった。
どうやら、ツバサさんは、ちゃんとそこまで考えて、この店を選んだようだ。動き回って疲れていたら、肉や油っぽいものは、食べにくいもんね。その点、この店の野菜料理は、どれもサッパリして、とても食べやすい。
流石は、大人気シルフィード。今日は、あくまで、お手伝いとして参加しているから、普段の接客とは違う。それでも、ちゃんと細かな配慮までしているのは、凄いと思う。
ツバサさんって、大雑把そうで、とても気の周る人だ。単に、大雑把なだけの私とは、根本的に違う。私も、ちゃんと見習わないとね。
気付けば、しっかり全ての料理を食べたあと、デザートまで平らげていた。エリーちゃんも、とても満足げな表情を浮かべている。
「私、こんなに美味しい野菜料理、初めて食べました」
「それは良かった。これで、午後も頑張れそうだね」
ツバサさんは、爽やかな笑顔を浮かべながら答えた。
「はいっ! 体力がすっかり回復しました」
「私も、元気MAXになりましたよ!」
ヘルシーなメニューだったせいか、私も凄く元気になった気がする。いつもの、パンだけの食事に比べて、滅茶苦茶、栄養バランスがいい。
「風歌ちゃんは、いつでも元気MAXじゃない?」
「まぁ、そうなんですけど――」
ツバサさんの言葉に、みんなから笑顔がこぼれる。
食後、少し休憩したところで、私たちは再び出発した。リリーシャさんたちは、エア・カートに乗って、上空から。私は、エリーちゃんの横を歩きながら、観光ガイドをしたり、応援したりする。
エリーちゃんは、食事で元気を取り戻したのか、楽しそうな表情で、順調に進んでいた。時折り、建物の質問などをしてくる。その都度、私は日ごろの勉強の成果を試すべく、詳しく解説していった。
「ここら辺は、本当に大きな建物が多いですね。〈北地区〉とは大違いです」
「だよねぇ。行政府関連の施設が多いし、町の中心部だからね」
「それに、人も多くて。こんなに沢山の人を見るのは、初めてです」
「確かに人が多いよね。人混みは、大丈夫?」
広大な土地の割りに人が少ない、のんびりした〈北地区〉とは正反対だ。私は、賑やかなのは好きだけど、エリーちゃんは、疲れちゃうんじゃないだろうか?
「平気です。普段、家族以外の人と会う機会がないので、凄くワクワクします」
「あー、その気持ち、わかるわかる」
エリーちゃんは、意外とアクティブで、社交的な性格のようだ。普段は、ずっと家にいるので、家族や牛としか、会う機会がないんだって。その割には、前向きだし、人見知りもしない、とても明るい子だ。
観光案内と世間話をしながら進んでいる内に、大きな道路が見えて来た。あそこの道を渡ると、いよいよ〈西地区〉に入る。レストランを出発してから、すでに、四十分ほどが経過していた。
「あの道路の、向こう側が〈西地区〉だよ。あそこに、案内板が出でてるでしょ」
「本当だ。思ったよりも、早かったですね」
二人で、大通りの横断歩道の前に立つと、言葉を交わす。
「休憩のあと、割といいペースで進んでたからね。朝に比べると、だいぶ慣れて来たんじゃない?」
「そうでうすね。最初は、かなり緊張していましたし。まだ、体が温まっていなかったのかも。今は、だいぶ、体が楽に動くようになりました」
確かに、出発した時に比べ、格段に動きがよくなっている。表情も、とても自然になって来ていた。
普通の人なら、まだしも。体が不自由な人にとって、未知の世界に遠出するって、凄い勇気がいるもんね。おそらく、私が初めて、この世界に来た時のような、そんな心境なんだと思う。
でも『住めば都』なんて言葉があるけど、慣れちゃえば、なんてことないんだよね。エリーちゃんも、外の世界に、だいぶ慣れてきたんだと思う。
「おめでとう、エリーちゃん! いよいよ〈西地区〉に入ったよ」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです!」
横断歩道を渡り切ると、元気に声をかけた。私が拳を突きだすと、彼女も、コツンと拳を当てて来る。
「でも、あまり、変わった気がしませんね?」
「まぁ、境目の部分は、そんなに変わらないよね。でも、もう少し奥に行くと、雰囲気が変わって来るよ。特に、風が全く違うからね」
やはり〈中央区〉に接している場所は、大きな建物が多い。でも、奥に進んで行くと、普通の住宅街が広がっていく。でも〈北地区〉や〈東地区〉と違って、新しい建物が多いんだよね。いわゆる、新興住宅地というやつだ。
「風が、違うんですか?」
「うん。全ての地区の中で、最も風が強いんだよ」
「へぇー、地区によって、風まで違うんですね」
「風車が多いのは、そのためだね。気持ちいいから、体で風を感じてみて」
マナラインが多い場所は、風が強く吹く。最初は、私もしっくりこなかったけど、以前、一度だけ、マナラインが見えたことがある。だから、事実なんだと思う。
今はもう、マナラインは見えないけど、以前よりも、風がより気持ちよく、感じるようになった気がする。何ていうか、風がより身近になった感じかな?
〈西地区〉の奥に進むにつれて、風が強くなってきた。でも、今日は割りと風が穏やかで、ちょうどいい。まさに、お散歩日和だ。私たち二人は、全身に柔らかな風を浴びながら、ゆっくり前に進んで行くのだった……。
******
途中、何度も、広場や公園で休憩をとりながら、ゆっくりだけど、確実に西に進んで行った。最初の一時間ほどは、順調だったけど、さすがにエリーちゃんも、疲労の色が見えて来た。
白く細い腕で、全体重の乗った車いすを、ずっと動かしているのだから、無理もない。一応、今日に向けて、トレーニングは続けていたようだ。でも、体力は、そう簡単につくものではない。
それでも、彼女は『疲れた』とか『無理』とか、弱音は一切はかなかった。どんなに疲労を表情に浮かべても、どんなに息を切らせても、黙々と手を動かし続けた。
額には汗を浮かべ、きっと、かなり辛いはずだ。それでも、彼女の夢を達成する気持ちのほうが、大きく上回っているんだと思う。
何度も、後ろから、押してあげたい気持ちに駆られる。でも、それでは意味がない。彼女は自分の力で、これを成し遂げたいからだ。だから、私はじっと見守り、ひたすら応援に徹する。
小さな公園で、五回目の休憩をとっていた時、上空から、エンジン音が聞こえて来た。ツバサさんが運転していた、エア・カートだ。ゆっくり着陸すると、ツバサさんが、声をかけて来る。
「エリーちゃん、もう直ぐだよ。空からはもう、すぐ前に、海が見えてるから」
「えっ、本当ですか?!」
「うん。あと、ひと踏ん張りだから、頑張って」
「はい、ありがとうございます!」
疲労の表情を浮かべていた、エリーちゃんの顔に、光が差した。急に眼が輝き、やる気の色が見えて来る。
「行きましょう、風歌さん」
「うん。そういえば、潮の香がするね。確かに、もう直ぐかも」
「あぁ、これって、海の香りだったんですね……」
彼女は目を閉じ、潮の香りを吸い込んだ。
ずっと、エリーちゃんに意識を向けていたから、すっかり忘れてた。普段、空を飛ぶ時は、風の向きだけじゃなくて、音や匂いでも、場所の判断をしているんだよね。潮の匂いがするということは、すぐそこまで来ている証拠だ。
私たちは、公園を出ると、再び西に向かって進み始めた。前進するにつれ、より風が強くなってくる。このほんのり生暖かいのは、間違いなく海風だ。
そっと、マップナビを立ち上げると、海までは、あと1.2キロだった。私は、あえて残りの距離は、言わないことにした。常人なら、普通に行ける距離だけど、車いすだと、結構きつい距離だからだ。
「あと少し。もう、目の前まで来てるから、ファイト!」
私は、ただひたすらに、彼女の動きに注視し、全力で応援を続けた。
彼女は、何も言わずに、黙々と手を動かし続ける。でも、かなり息を切らせていた。朝からずっと、車いすで移動しっぱなしなので、もう、体力的には、限界に近いと思う。それでも彼女は、真剣な表情で、必死に前に進み続ける。
私も『ノア・マラソン』の時は、こんな感じだったのかな。体力の限界を超えて、どんなに辛くても、ゴールだけを目指していた。ゴールしか見えないと、その他のことは、どうでも良くなってくる。
どんなに辛そうに見えても、本人は、そんなことは気にしていない。他の何を捨ててでも、ゴールを目指す時、人は限界を超えるんだと思う。
今のエリーちゃんが、まさに、それだった。呼吸が荒く、額から汗が流れ落ちる。でも、彼女の瞳は、前の一点しか見ていなかった。だから、私はただひたすら、見守り続けた。
ゆるい坂道を越えると、ついには、海が見えてきた。残りは、300メートルぐらい。もう、ゴールまでは、あとわずかだ。
「海が見えて来たよ! もう、目の前が〈サファイア・ビーチ〉だよ!!」
私は、元気いっぱいに、彼女に声を掛ける。
でも、彼女は息を荒げて、何も返してこなかった。きっと、最後の力を振り絞った、ラストスパート中なんだろう。彼女の手は動き続け、どんどん前に進んで行く。
やがて、ビーチの前の、大きな道路に到着した。ここを渡れば、いよいよ〈サファイア・ビーチ〉に到着だ。
私は手を挙げると、エリーちゃんと一緒に、ゆっくり横断歩道を渡った。道を渡りきると、目の前には、青く大きな海が広がっていた。シーズンオフなので、空いているけど、ちらほら、砂浜を歩いている人たちが見える。
「これが――本物の海……」
彼女は、目を大きく見開いて、その雄大な光景に見入っていた。
「エリーちゃん、おめでとう。ちゃんと、夢がかなったね」
「はい――まだ、信じられません。本当に、来られるなんて」
「紛れもなく、エリーちゃんの力で。自分の力で、夢を達成したんだよ」
「私の……力で――?」
彼女は、ボーッとした表情をしていた。まだ、実感がわかないのかもしれない。普通の人には、当たり前のことでも、彼女にとっては、大変な偉業だから。
二人で海を眺めていると、砂浜のほうから、ツバサさんがやって来た。
「やぁ、凄いねエリーちゃん。目標達成、おめでとう。そして、お疲れ様」
「あの……本当に、ありがとうございました」
「でも、これで終わりじゃないよ。ちょっと失礼」
「えぇっ?!」
ツバサさんは、ひょいっと、エリーちゃんを抱え上げた。うーむ、流石は、ツバサさん。お姫様だっこする姿が、とても絵になっている。にしても、あんなに軽々抱えるなんて、結構、力あるよね。それに、手慣れた感じがする。
ツバサさんは、彼女を抱えたまま、砂浜に進んで行く。すると、向かった先には、ビーチ・パラソルがあり、その下には、椅子が用意してあった。
「さぁ、どうぞ、お姫様」
ツバサさんは、エリーちゃんを、椅子にそっと座らせる。
「流石ですね。こんな物まで、準備していたなんて」
「車輪タイプだと、砂浜は移動できないからね。でも、砂浜も体験してみたいかなぁー、と思って」
「あぁ、そういえば、そうですね。そこまでは、考えていませんでした」
「ほら、風歌ちゃんも座って。何か飲み物でも、買ってくるから」
私は、隣に用意してあった、もう一つの椅子に座る。海風がとても心地よい。隣を見ると、エリーちゃんは、気持ちよさそうに、じっと海を眺めていた。私も、しばらく無言のまま、海を眺めることにする。
「私、何か、異世界に来た気分です。そんなに遠くないのに、おかしいですよね?」
「そんなことないよ。初めて行く場所は、全部、異世界みたいなものだもん」
彼女の言葉に、私は静かに答えた。
「風歌さんも、行ったことない場所、あるんですか? どこでも行けますよね?」
「行ったことない場所なんて、まだまだ、一杯あるよ。知らないことだらけだし」
「そうなんですか?」
エリーちゃんは、不思議そうな表情を浮かべた。彼女から見れば、健康な人は、どこにでも行けるように、見えるのかもしれない。でも、人の行動範囲って、割と限られてるんだよね。自分の、テリトリーみたいのがあって。
「うん。でも、行こうと思う気持ちがあれば、どこにでも行けると思うよ。私が向こうの世界から、こっちに来たこととか。今日の、エリーちゃんみたいにね」
「そう……でうすね。ずっと、行ったことのない場所に、自分の知らない世界に、行ってみたいと思ってました。でも、なかなか実行できなくて――」
そうだよね。新しいことに挑戦する時は、いつだって勇気や準備が必要だ。私だって、新しいことをやる時、全く怖くない訳じゃない。でも、その恐怖や不安以上に、新しい世界にある、夢や希望に対するワクワクが、上まっているからだ。
「誰もが、同じだよ。やりたいと思っても、できるとは限らないもん。でもね、一歩目を踏み出さないと、何も変わらないからね。私の場合、とりあえず、一歩目を踏み出しちゃうんだ。そのあとで、焦ったり、考えたり、必死になるんだけど」
常に、問題が山済みなうえに、ロクに準備をしないで進めるから、とんでもなく大変だ。トラブルもよく起こすし、失敗ばかりだし。それでも、やってみれば、最終的には、何とかなるもんなんだよね。
「風歌さんは、強いですね。そんなに、勇気があるなんて」
「強くはないよ。それに、勇気は誰もが持ってるから。それを、使うかどうかかな。エリーちゃんは、ちゃんと今回、勇気を使ったでしょ?」
「はい、風歌さんたちが、協力してくれたから。何とか、勇気を振り絞れました」
「それは違うよ。私たちは、ほんのちょっと、背中を押してあげただけ。結局、夢をかなえるには、最後は、自分の力で進まなきゃだから」
どんなに協力してもらっても、どんなに応援してもらっても、最後は、自分の足で進み続けるしかない。それは、私自身が、痛いほどよく知っていた。
再び、長い静寂が訪れる。彼女は、じっと海を眺めながら、何やら考えている様子だった。しばらくしてから、ぽつりと呟く。
「今日は来れて、本当によかったです。次は、いつ来れるか、分からないから……」
「えっ――また、いつでも来ればいいじゃない? 私も、付き合うから」
彼女は再び沈黙する。すると、いつの間にか、表情が曇っていた。
「……フリージング病は、魔力異常の病気なのは、知っていますよね?」
「うん、何となくだけど――」
つい先日、知ったばかりで、あまり詳しくは知らなかった。何でも、かなり特殊な病気で、滅多に掛かる人は、いないようだ。
「しだいに、体の機能が低下して、体の各部が動くなくなるんです。その内、上半身や腕も動かなくなって、寝たきりになってしまうんです。症状が進行すると、内蔵機能も停止して、最後は心臓も……」
「えっ――?!」
私は、彼女の話を聴いて、目の前が真っ白になった。『不治の病』とは聴いていたけど、そんなに重い病気だったなんて……。どうりで、ご家族が、物凄く心配していたわけだ。本来なら、こんな遠出が、できるような体じゃない。
でも、こんなに健気で、一生懸命で、とてもいい子が、何でこんな病気に――? 私は、彼女に、何がしてあげられるのだろうか?
『平気だよ』なんて、無責任な言葉は言えない。それに『頑張って』も、何か違う気がする。リリーシャさんの時も、そうだったけど。私って、本当に無力だ……。困っている人が、目の前にいるのに、何の力にもなれないなんて――。
「また来よう! 必ず、また来ようよ。私、何回だって、付き合うから!」
私の口からは、自然に言葉が出ていた。
「え……? でも、ご迷惑じゃないですか?」
彼女は、とても驚いた表情を浮かべる。
「私とエリーちゃんって、友達でしょ? 友達と、海に遊びに来るは、普通だから。私が、エリーちゃんと、一緒に来たいだけだから」
私は、そっと小指を出した。
「約束だよ。必ず、また一緒に来ようね」
「はい、必ずまた――約束します」
彼女の白くて細い指が、私の小指にそっと絡まった。
彼女が難病で、難しい状況にあるのは分かる。でも、誰にだって、夢を持つことも、追い掛ける権利も、持っている。だから、私は、彼女が夢を追い掛け続ける限り、ずっとお手伝いを、してあげたいと思う。
そして、夢を追いかけ続けていれば。いつか必ず、その夢に届く日が来ると、私は信じているから……。
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次回――
『年越しイベントに向けて幸運の玉を作ってみた』
待ってるだけじゃダメだよ。幸運は自分の力で引き寄せなきゃ
テーブルの上には、ツバサさんが注文した、おすすめの野菜料理が、所狭しと並んでいた。『野菜なんかじゃ、お腹にたまらないよ』なんて思ってたけど、食べてみると、これがまた美味しい。肉や魚も使われているので、結構ボリュームもある。
それにしても、よくこんなお店を、知ってたよね。〈中央区〉なんて、滅多に来る場所じゃないのに。
でも、割と来慣れてるみたいで、ナギサさんは、手際よく料理を注文していた。私はメニュー見ても、料理の名前が、今一つ分からない。横文字とか、オシャレな名前のものは、全く縁がないので……。
エリーちゃんも、とても美味しそうに食べている。最初は、疲れていたみたいだけど、一口たべたら、次々と手が伸びていった。
どうやら、ツバサさんは、ちゃんとそこまで考えて、この店を選んだようだ。動き回って疲れていたら、肉や油っぽいものは、食べにくいもんね。その点、この店の野菜料理は、どれもサッパリして、とても食べやすい。
流石は、大人気シルフィード。今日は、あくまで、お手伝いとして参加しているから、普段の接客とは違う。それでも、ちゃんと細かな配慮までしているのは、凄いと思う。
ツバサさんって、大雑把そうで、とても気の周る人だ。単に、大雑把なだけの私とは、根本的に違う。私も、ちゃんと見習わないとね。
気付けば、しっかり全ての料理を食べたあと、デザートまで平らげていた。エリーちゃんも、とても満足げな表情を浮かべている。
「私、こんなに美味しい野菜料理、初めて食べました」
「それは良かった。これで、午後も頑張れそうだね」
ツバサさんは、爽やかな笑顔を浮かべながら答えた。
「はいっ! 体力がすっかり回復しました」
「私も、元気MAXになりましたよ!」
ヘルシーなメニューだったせいか、私も凄く元気になった気がする。いつもの、パンだけの食事に比べて、滅茶苦茶、栄養バランスがいい。
「風歌ちゃんは、いつでも元気MAXじゃない?」
「まぁ、そうなんですけど――」
ツバサさんの言葉に、みんなから笑顔がこぼれる。
食後、少し休憩したところで、私たちは再び出発した。リリーシャさんたちは、エア・カートに乗って、上空から。私は、エリーちゃんの横を歩きながら、観光ガイドをしたり、応援したりする。
エリーちゃんは、食事で元気を取り戻したのか、楽しそうな表情で、順調に進んでいた。時折り、建物の質問などをしてくる。その都度、私は日ごろの勉強の成果を試すべく、詳しく解説していった。
「ここら辺は、本当に大きな建物が多いですね。〈北地区〉とは大違いです」
「だよねぇ。行政府関連の施設が多いし、町の中心部だからね」
「それに、人も多くて。こんなに沢山の人を見るのは、初めてです」
「確かに人が多いよね。人混みは、大丈夫?」
広大な土地の割りに人が少ない、のんびりした〈北地区〉とは正反対だ。私は、賑やかなのは好きだけど、エリーちゃんは、疲れちゃうんじゃないだろうか?
「平気です。普段、家族以外の人と会う機会がないので、凄くワクワクします」
「あー、その気持ち、わかるわかる」
エリーちゃんは、意外とアクティブで、社交的な性格のようだ。普段は、ずっと家にいるので、家族や牛としか、会う機会がないんだって。その割には、前向きだし、人見知りもしない、とても明るい子だ。
観光案内と世間話をしながら進んでいる内に、大きな道路が見えて来た。あそこの道を渡ると、いよいよ〈西地区〉に入る。レストランを出発してから、すでに、四十分ほどが経過していた。
「あの道路の、向こう側が〈西地区〉だよ。あそこに、案内板が出でてるでしょ」
「本当だ。思ったよりも、早かったですね」
二人で、大通りの横断歩道の前に立つと、言葉を交わす。
「休憩のあと、割といいペースで進んでたからね。朝に比べると、だいぶ慣れて来たんじゃない?」
「そうでうすね。最初は、かなり緊張していましたし。まだ、体が温まっていなかったのかも。今は、だいぶ、体が楽に動くようになりました」
確かに、出発した時に比べ、格段に動きがよくなっている。表情も、とても自然になって来ていた。
普通の人なら、まだしも。体が不自由な人にとって、未知の世界に遠出するって、凄い勇気がいるもんね。おそらく、私が初めて、この世界に来た時のような、そんな心境なんだと思う。
でも『住めば都』なんて言葉があるけど、慣れちゃえば、なんてことないんだよね。エリーちゃんも、外の世界に、だいぶ慣れてきたんだと思う。
「おめでとう、エリーちゃん! いよいよ〈西地区〉に入ったよ」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです!」
横断歩道を渡り切ると、元気に声をかけた。私が拳を突きだすと、彼女も、コツンと拳を当てて来る。
「でも、あまり、変わった気がしませんね?」
「まぁ、境目の部分は、そんなに変わらないよね。でも、もう少し奥に行くと、雰囲気が変わって来るよ。特に、風が全く違うからね」
やはり〈中央区〉に接している場所は、大きな建物が多い。でも、奥に進んで行くと、普通の住宅街が広がっていく。でも〈北地区〉や〈東地区〉と違って、新しい建物が多いんだよね。いわゆる、新興住宅地というやつだ。
「風が、違うんですか?」
「うん。全ての地区の中で、最も風が強いんだよ」
「へぇー、地区によって、風まで違うんですね」
「風車が多いのは、そのためだね。気持ちいいから、体で風を感じてみて」
マナラインが多い場所は、風が強く吹く。最初は、私もしっくりこなかったけど、以前、一度だけ、マナラインが見えたことがある。だから、事実なんだと思う。
今はもう、マナラインは見えないけど、以前よりも、風がより気持ちよく、感じるようになった気がする。何ていうか、風がより身近になった感じかな?
〈西地区〉の奥に進むにつれて、風が強くなってきた。でも、今日は割りと風が穏やかで、ちょうどいい。まさに、お散歩日和だ。私たち二人は、全身に柔らかな風を浴びながら、ゆっくり前に進んで行くのだった……。
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途中、何度も、広場や公園で休憩をとりながら、ゆっくりだけど、確実に西に進んで行った。最初の一時間ほどは、順調だったけど、さすがにエリーちゃんも、疲労の色が見えて来た。
白く細い腕で、全体重の乗った車いすを、ずっと動かしているのだから、無理もない。一応、今日に向けて、トレーニングは続けていたようだ。でも、体力は、そう簡単につくものではない。
それでも、彼女は『疲れた』とか『無理』とか、弱音は一切はかなかった。どんなに疲労を表情に浮かべても、どんなに息を切らせても、黙々と手を動かし続けた。
額には汗を浮かべ、きっと、かなり辛いはずだ。それでも、彼女の夢を達成する気持ちのほうが、大きく上回っているんだと思う。
何度も、後ろから、押してあげたい気持ちに駆られる。でも、それでは意味がない。彼女は自分の力で、これを成し遂げたいからだ。だから、私はじっと見守り、ひたすら応援に徹する。
小さな公園で、五回目の休憩をとっていた時、上空から、エンジン音が聞こえて来た。ツバサさんが運転していた、エア・カートだ。ゆっくり着陸すると、ツバサさんが、声をかけて来る。
「エリーちゃん、もう直ぐだよ。空からはもう、すぐ前に、海が見えてるから」
「えっ、本当ですか?!」
「うん。あと、ひと踏ん張りだから、頑張って」
「はい、ありがとうございます!」
疲労の表情を浮かべていた、エリーちゃんの顔に、光が差した。急に眼が輝き、やる気の色が見えて来る。
「行きましょう、風歌さん」
「うん。そういえば、潮の香がするね。確かに、もう直ぐかも」
「あぁ、これって、海の香りだったんですね……」
彼女は目を閉じ、潮の香りを吸い込んだ。
ずっと、エリーちゃんに意識を向けていたから、すっかり忘れてた。普段、空を飛ぶ時は、風の向きだけじゃなくて、音や匂いでも、場所の判断をしているんだよね。潮の匂いがするということは、すぐそこまで来ている証拠だ。
私たちは、公園を出ると、再び西に向かって進み始めた。前進するにつれ、より風が強くなってくる。このほんのり生暖かいのは、間違いなく海風だ。
そっと、マップナビを立ち上げると、海までは、あと1.2キロだった。私は、あえて残りの距離は、言わないことにした。常人なら、普通に行ける距離だけど、車いすだと、結構きつい距離だからだ。
「あと少し。もう、目の前まで来てるから、ファイト!」
私は、ただひたすらに、彼女の動きに注視し、全力で応援を続けた。
彼女は、何も言わずに、黙々と手を動かし続ける。でも、かなり息を切らせていた。朝からずっと、車いすで移動しっぱなしなので、もう、体力的には、限界に近いと思う。それでも彼女は、真剣な表情で、必死に前に進み続ける。
私も『ノア・マラソン』の時は、こんな感じだったのかな。体力の限界を超えて、どんなに辛くても、ゴールだけを目指していた。ゴールしか見えないと、その他のことは、どうでも良くなってくる。
どんなに辛そうに見えても、本人は、そんなことは気にしていない。他の何を捨ててでも、ゴールを目指す時、人は限界を超えるんだと思う。
今のエリーちゃんが、まさに、それだった。呼吸が荒く、額から汗が流れ落ちる。でも、彼女の瞳は、前の一点しか見ていなかった。だから、私はただひたすら、見守り続けた。
ゆるい坂道を越えると、ついには、海が見えてきた。残りは、300メートルぐらい。もう、ゴールまでは、あとわずかだ。
「海が見えて来たよ! もう、目の前が〈サファイア・ビーチ〉だよ!!」
私は、元気いっぱいに、彼女に声を掛ける。
でも、彼女は息を荒げて、何も返してこなかった。きっと、最後の力を振り絞った、ラストスパート中なんだろう。彼女の手は動き続け、どんどん前に進んで行く。
やがて、ビーチの前の、大きな道路に到着した。ここを渡れば、いよいよ〈サファイア・ビーチ〉に到着だ。
私は手を挙げると、エリーちゃんと一緒に、ゆっくり横断歩道を渡った。道を渡りきると、目の前には、青く大きな海が広がっていた。シーズンオフなので、空いているけど、ちらほら、砂浜を歩いている人たちが見える。
「これが――本物の海……」
彼女は、目を大きく見開いて、その雄大な光景に見入っていた。
「エリーちゃん、おめでとう。ちゃんと、夢がかなったね」
「はい――まだ、信じられません。本当に、来られるなんて」
「紛れもなく、エリーちゃんの力で。自分の力で、夢を達成したんだよ」
「私の……力で――?」
彼女は、ボーッとした表情をしていた。まだ、実感がわかないのかもしれない。普通の人には、当たり前のことでも、彼女にとっては、大変な偉業だから。
二人で海を眺めていると、砂浜のほうから、ツバサさんがやって来た。
「やぁ、凄いねエリーちゃん。目標達成、おめでとう。そして、お疲れ様」
「あの……本当に、ありがとうございました」
「でも、これで終わりじゃないよ。ちょっと失礼」
「えぇっ?!」
ツバサさんは、ひょいっと、エリーちゃんを抱え上げた。うーむ、流石は、ツバサさん。お姫様だっこする姿が、とても絵になっている。にしても、あんなに軽々抱えるなんて、結構、力あるよね。それに、手慣れた感じがする。
ツバサさんは、彼女を抱えたまま、砂浜に進んで行く。すると、向かった先には、ビーチ・パラソルがあり、その下には、椅子が用意してあった。
「さぁ、どうぞ、お姫様」
ツバサさんは、エリーちゃんを、椅子にそっと座らせる。
「流石ですね。こんな物まで、準備していたなんて」
「車輪タイプだと、砂浜は移動できないからね。でも、砂浜も体験してみたいかなぁー、と思って」
「あぁ、そういえば、そうですね。そこまでは、考えていませんでした」
「ほら、風歌ちゃんも座って。何か飲み物でも、買ってくるから」
私は、隣に用意してあった、もう一つの椅子に座る。海風がとても心地よい。隣を見ると、エリーちゃんは、気持ちよさそうに、じっと海を眺めていた。私も、しばらく無言のまま、海を眺めることにする。
「私、何か、異世界に来た気分です。そんなに遠くないのに、おかしいですよね?」
「そんなことないよ。初めて行く場所は、全部、異世界みたいなものだもん」
彼女の言葉に、私は静かに答えた。
「風歌さんも、行ったことない場所、あるんですか? どこでも行けますよね?」
「行ったことない場所なんて、まだまだ、一杯あるよ。知らないことだらけだし」
「そうなんですか?」
エリーちゃんは、不思議そうな表情を浮かべた。彼女から見れば、健康な人は、どこにでも行けるように、見えるのかもしれない。でも、人の行動範囲って、割と限られてるんだよね。自分の、テリトリーみたいのがあって。
「うん。でも、行こうと思う気持ちがあれば、どこにでも行けると思うよ。私が向こうの世界から、こっちに来たこととか。今日の、エリーちゃんみたいにね」
「そう……でうすね。ずっと、行ったことのない場所に、自分の知らない世界に、行ってみたいと思ってました。でも、なかなか実行できなくて――」
そうだよね。新しいことに挑戦する時は、いつだって勇気や準備が必要だ。私だって、新しいことをやる時、全く怖くない訳じゃない。でも、その恐怖や不安以上に、新しい世界にある、夢や希望に対するワクワクが、上まっているからだ。
「誰もが、同じだよ。やりたいと思っても、できるとは限らないもん。でもね、一歩目を踏み出さないと、何も変わらないからね。私の場合、とりあえず、一歩目を踏み出しちゃうんだ。そのあとで、焦ったり、考えたり、必死になるんだけど」
常に、問題が山済みなうえに、ロクに準備をしないで進めるから、とんでもなく大変だ。トラブルもよく起こすし、失敗ばかりだし。それでも、やってみれば、最終的には、何とかなるもんなんだよね。
「風歌さんは、強いですね。そんなに、勇気があるなんて」
「強くはないよ。それに、勇気は誰もが持ってるから。それを、使うかどうかかな。エリーちゃんは、ちゃんと今回、勇気を使ったでしょ?」
「はい、風歌さんたちが、協力してくれたから。何とか、勇気を振り絞れました」
「それは違うよ。私たちは、ほんのちょっと、背中を押してあげただけ。結局、夢をかなえるには、最後は、自分の力で進まなきゃだから」
どんなに協力してもらっても、どんなに応援してもらっても、最後は、自分の足で進み続けるしかない。それは、私自身が、痛いほどよく知っていた。
再び、長い静寂が訪れる。彼女は、じっと海を眺めながら、何やら考えている様子だった。しばらくしてから、ぽつりと呟く。
「今日は来れて、本当によかったです。次は、いつ来れるか、分からないから……」
「えっ――また、いつでも来ればいいじゃない? 私も、付き合うから」
彼女は再び沈黙する。すると、いつの間にか、表情が曇っていた。
「……フリージング病は、魔力異常の病気なのは、知っていますよね?」
「うん、何となくだけど――」
つい先日、知ったばかりで、あまり詳しくは知らなかった。何でも、かなり特殊な病気で、滅多に掛かる人は、いないようだ。
「しだいに、体の機能が低下して、体の各部が動くなくなるんです。その内、上半身や腕も動かなくなって、寝たきりになってしまうんです。症状が進行すると、内蔵機能も停止して、最後は心臓も……」
「えっ――?!」
私は、彼女の話を聴いて、目の前が真っ白になった。『不治の病』とは聴いていたけど、そんなに重い病気だったなんて……。どうりで、ご家族が、物凄く心配していたわけだ。本来なら、こんな遠出が、できるような体じゃない。
でも、こんなに健気で、一生懸命で、とてもいい子が、何でこんな病気に――? 私は、彼女に、何がしてあげられるのだろうか?
『平気だよ』なんて、無責任な言葉は言えない。それに『頑張って』も、何か違う気がする。リリーシャさんの時も、そうだったけど。私って、本当に無力だ……。困っている人が、目の前にいるのに、何の力にもなれないなんて――。
「また来よう! 必ず、また来ようよ。私、何回だって、付き合うから!」
私の口からは、自然に言葉が出ていた。
「え……? でも、ご迷惑じゃないですか?」
彼女は、とても驚いた表情を浮かべる。
「私とエリーちゃんって、友達でしょ? 友達と、海に遊びに来るは、普通だから。私が、エリーちゃんと、一緒に来たいだけだから」
私は、そっと小指を出した。
「約束だよ。必ず、また一緒に来ようね」
「はい、必ずまた――約束します」
彼女の白くて細い指が、私の小指にそっと絡まった。
彼女が難病で、難しい状況にあるのは分かる。でも、誰にだって、夢を持つことも、追い掛ける権利も、持っている。だから、私は、彼女が夢を追い掛け続ける限り、ずっとお手伝いを、してあげたいと思う。
そして、夢を追いかけ続けていれば。いつか必ず、その夢に届く日が来ると、私は信じているから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『年越しイベントに向けて幸運の玉を作ってみた』
待ってるだけじゃダメだよ。幸運は自分の力で引き寄せなきゃ
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