261 / 363
第7部 才能と現実の壁
2-7ちょっと本気だしたらドリームチームが出来てしまった
しおりを挟む
会社が休みの水曜日。時間は、午前九時を、ちょっと回ったところ。私は〈西地区〉にある〈西地区第二球技場〉に来ていた。ここは、野球・サッカー・テニス・バレーボール・バスケットボールなど、様々な球技用のコートが揃っている。
『グリュンノア行政府』が運営しており、この町の住人は、予約を入れれば、格安で利用が可能だ。
滅茶苦茶、大きな敷地に、たくさんのコートが並んでいる。目的の場所に、移動するだけでも、一苦労するぐらいの広さだ。敷地の北には、大きな建物があり、室内用のコートも、しっかり完備されていた。
〈西地区〉は、空いている土地が多いせいか、スポーツ系の公共施設が多い。しかも、最新の設備が整っており、非常に本格的だ。
大きな公式競技会も、頻繁に行われ、最近は『スポーツ都市』としても、注目されていた。観光だけじゃなくて、様々な分野で、お客様の誘致に、力を入れている。町の活性化のための、施設への投資は、糸目をつけないようだ。
シルフィードの活躍も、一役、買ってるけど。お客様の増加は、行政府が、町への投資を、頑張ってるからなんだよね。
なお、今日は、野球の交流試合が行われる。開始は九時半からで、参加メンバーは、すでに全員そろっていた。今は、素振りや準備運動をして、体を温めている最中だ。私も、ユニフォームを着て、軽くキャッチボールをしていた。
相手チームを見ると、全員、男性で、若い人がメイン。しかも、結構、体格のいい人が多く、かなり本気で、強い人を集めている様子だった。
対して、うちのチームは、半分以上が女性で、年配の人たちも混じっていた。明らかに、相手のほうが強そうに見える。
しかし、私も頑張って、強力な助っ人を呼んで来た。といっても、声を掛けたのはシルフィードだから、全員、女性だ。でも、想像以上に、豪華なメンバーがそろっている。
まず、最初に声を掛けたのは、仲良しの二人。ただ、予想通り、ナギサちゃんは、あっさり拒否。やっぱり、運動系はダメみたい。スポーツの話を出すと、ことごとく、スルーされるんだよね。
しかし、フィニーちゃんは『食べ放題』を条件に、引き受けてくれた。意外にも、小さいころは、球技が得意だったんだって。
次に声を掛けたのは、最も期待していた、ツバサさんだ。忙しそうだから、断られるかと思ったけど。『面白そうだから』と、一発返事でOKしてくれた。運動神経が抜群なうえに、野球経験者なので、実に心強い。
そのあと、キラリスちゃんに声を掛けたら、これまた、すんなり引き受けてくれた。事情を話したら『クフフッ、因縁の対決とは燃えるじゃないか』と、何か嬉しそうだった。彼女も、体育会系なので、運動神経は申し分ない。
あと、以前、引越しの手伝いに行った〈シュガー・キャンディー〉の、カナリーゼさんにも、声を掛けてみた。彼女は、学生時代、ソフトボール部のキャプテンだったらしいので。こちらも『借りがあるから』と、あっさり承諾してくれた。
加えて、もう一人。とんでもない、助っ人がやって来た。『金剛の戦乙女』のミラージュさんだ。彼女は、キラリスちゃんが頼んでくれたら『トレーニングの一環』ということで、快く了解してくれた。流石にこれは、私も想定外だった。
そんなこんなで、女性が多いとはいえ、スポーツが得意なメンバーが、勢ぞろいした。しかも、現役の『シルフィード・クイーン』と『スカイ・プリンセス』までいる。実力的にも、見た目的にも、超豪華な、ドリームチームだ。
あと、リリーシャさんとナギサちゃんは、二人で一緒に作ったお弁当を持って、応援に来てくれた。二人はサポーターとして、ベンチに入っている。野球の試合なのに、シルフィードが八人もいるので、妙に華やかだ。
先ほどから、相手チーム選手たちが、チラチラと、視線を送ってきていた。敵意の視線ではなく、むしろ、好意的な感じがする。こんな間近で、上位階級のシルフィードを見れる機会なんて、滅多にないもんね。
そんな中、チームリーダーの二人だけは、険しい視線を送り合っていた。ちなみに〈東地区〉と〈西地区〉の町内会長さんは、若いころから、ライバル関係にあったらしい。学生時代は、同級生だったんだって。
試合開始の直前になると、二人は、ベンチを出て近づいて行く。グランド中央では、二人が仁王立ちになってにらみ合い、早くも険悪な雰囲気になっていた。
「ふんっ、逃げずに、よく来たな。まぁ、やる前から、結果は分かってるが」
「ずいぶん余裕だな? あまり舐めていると、痛い目を見るぞ」
「あんな、女子供と老人のチームで、何ができるんだ? フッ、どれだけ人材不足なんだ〈東地区〉は?」
「くっ、デカい口を叩けるのも、今の内だけだ。覚悟しておけ」
二人は、ひとしきり言葉を交わしたあと、さっと踵を返し、自分のチームのベンチ戻っていく。想像していた以上に、こじれているようだ。
そんな重苦しい空気の中、東西対抗の交流試合が、始まるのだった……。
******
私たちは、守備からのスタートだった。ピッチャーは、ツバサさん。ファーストは、カナリーゼさん。二人とも、学生時代にやっていたポジションなので、ベストな配置だ。
セカンドは、キラリスちゃん。私は、ショート。俊足の二人で、内野を守る作戦だ。フィニーちゃんは、あまり動かないので、サードに立っている。
センターは、ミラージュさん。ライトが、牛乳屋のドナさん。レフトは、肉屋のハリスさん。三人とも、がっちりした体つきで剛腕なので、外野にはうってつけだ。特に、MMA世界チャンピオンの、ミラージュさんのパワーは、言うまでもない。
最後に、キャッチャーは、町内会長さん。最年長だけど、一番、野球経験が長く、うちのチームの司令塔だ。監督も兼ねており、作戦立案は、全て彼が行っている。
試合が始まると、ツバサさんの投げた球が『スパーン!』と、気持ちのいい音を立て、キャッチャーミットに収まった。かなりの球威で、何より、コントロールが素晴らしい。
ギリギリのコースを狙い、一人目は、見逃がしの三振。二人目は、空振りの三振。相手チームの打者は、全くスピードについて行けていない感じだ。
三人目は、かろうじてバットに当てるが、ショートに転がって来た玉を、私がサッと拾って、ファーストに送球。カナリーゼさんが、しっかりキャッチしてアウト。三者凡退で、あっさりチェンジになった。
もっと、荒れるかと思ってたけど、ツバサさんがいる限り、そうそう、打たれることは無さそうだ。それに、守備陣も、みんな結構レベルが高い。
攻守が変わって、一人目。私たちのチームの、トップバッターは、フィニーちゃんだ。彼女は、パワーはないけど、何と言っても、目がいいので、選球力がある。しかも、とても小さいので、ストライクゾーンが狭い。
なお、打順は、町内会長さんが決めたものだ。相手のピッチャーは、立ち上がりが苦手らしいので、四球を狙う作戦だ。案の定、玉は外れまくり、ファーボール。フィニーちゃんは、ゆっくり走って一塁に向かう。
二番手は、キラリスちゃん。バッターボックスに立った瞬間、物凄く真剣な表情になった。ピッチャーから放たれた、初球。彼女は、外角の玉を上手く引っ掛けた。ライナーになり、一二塁間を見事に打ち抜き、綺麗なヒットに。これで、一二塁。
流石に、格闘技をやっているだけあって、優れた動体視力と、反射神経を持っている。まぁ、ミラージュさんに『打たないとぶっ飛ばす』と、喝を入れられてたのも、あるかもだけど――。
三番手は、私だ。足には自信があるので、会長さんの指示通りに、セイフティーバントを狙う。初級、普通に構えたところから、バントの構えに切り替えた。三塁側に軽く転がしてから、全力疾走で駆け抜ける。
ファーストベースを踏むと同時に、ボールが飛んできたが、判定はセーフ。その間、二人とも塁を進め、ノーアウト満塁の状態に。ここまでは、物凄くいい流れだ。
この大チャンスの場面で出てきたのが、四番のミラージュさん。バッターボックス立った姿の、威風堂々さが凄い。流石は、シルフィード・クイーン&世界王者の貫禄。何より、眼力が半端ない。
彼女に睨みつけられたせいか、ピッチャーも、物凄く投げ辛そうだった。二球外して、ツーボール。完全に、委縮している様子だ。相手は、とんでもない大物なので、やっぱ緊張するよね。
続く三球目の、ど真ん中低めの球を、彼女は見逃さなかった。『スコーン!』と、気持ちのいい音を立て、ボールは大きく打ち上げられた。その後、グイグイ伸びて、観客スタンドをも越え、まさかの場外ホームラン。
私は、ボールの飛んでいった方向を眺めながら、ゆっくり走って、ホームーベースに向かう。横に視線を向けると、打たれたピッチャーも、相手のベンチも、皆、唖然とした表情で沈黙していた。
そりゃ、そうだよね。いきなり、あんな豪快なホームランを、打たれちゃったら。しかも、こっちは女性メンバーばかりで、格下に見ていただろうから……。
この会心の一撃で、相手のピッチャーは崩れたのか、その後の投球は、外しまくった。ドナさんとハリスさんは、二連続のファーボールで出塁。
次に登場したのが、七番のカナリーゼさんだ。数回、素振りしたあと、ゆっくりとバッターボックスに立った。
初球は、外にそれてボール。その後は、二球、続けてストライク。相手のピッチャーも、落ち着きを取り戻して来たのか、上手く決まるようになって来た。だが、そのあとは、二球続けてボールで、フルカウントになる。
カナリーゼさんは、じっとピッチャーを見つめたまま、全く動かなかった。まだ、一度もバットを振っていない。『久しぶりだから不安だなぁ』なんて言ってたけど、大丈夫だろうか? でも、見た感じ、とても落ちついている様子だ。
ピッチャーが振りかぶり、弾が放たれた直後『カーン!』と、甲高い音が鳴り響く。と同時に、弾が大きく飛び上って行っていった。ぐんぐん伸びて、外野の頭を越え、フェンスの少し手前に落下する。
外野が玉を追い掛けている間に、ドナさんとハリスさんが、ホームイン。ようやく拾った玉が、中継されて戻って来たころには、カナリーゼさんは、すでに三塁に到達していた。実に豪快な、スリーベースヒットだった。
「凄い! 流石は学生時代、ソフトボール部のキャプテンやってただけ有るよね」
「ふむ。なかなか、いい眼を持ってるようだな」
ベンチの隣にいたキラリスちゃんが、腕を組みながら答える。
「やっぱり、あれって、ちゃんと選球してたのかな?」
「彼女は、カウンター・タイプだな。思い切り粘って、相手の甘い球を叩く。フルカウントのプレッシャーは、ピッチャーだって同じだからな」
「なるほどねぇ。そんなやり方も、あるんだ」
「粘り強さや、強い精神力が必要だけどな」
私は、待つのが苦手なので、基本、初球から、バンバン攻めていく。なので、全く逆のタイプと言える。
その後も、一点を追加し、結局、一回の裏だけで、七点を獲得。想像以上に、いい滑り出しだった。そのお蔭で、私たちのチームは、一気に士気が上がった。
攻守の交代後も、ツバサさんの切れのある投球で、打者を完全に押さえ込む。守備の連携も抜群で、打たれても、すぐにキャッチからの、素早い送球。
途中、フィニーちゃんが、相手の強烈なサードライナーを、横跳びでダイレクトキャッチして、ダブルプレーが炸裂。普段は、のんびりしてるけど、本気を出すと、物凄く瞬発力が高い。何より、いい眼を持ってるからね。
その後、二回の裏で、二点を追加。三回の表は、ツバサさんの好投で、きっちり三人で押さえた。完全に、こちらのペースで試合が進む。
9-0で迎えた、三回の裏。勢い付いた私たちは、次々と打球を飛ばす。しかし、相手側も、いい選手を集めただけあって、なかなかに守備が堅い。士気は低そうだけど、ギリギリのラインで、踏みとどまっている。
二死満塁で、迎えたバッターは、先ほど満塁ホームランを打った、ミラージュさん。でも、満塁のこの状況では、嫌遠できない。それに、十点差がついた時点で、コールドゲームで即終了だ。
相手チームはタイムをとって、ピッチャーを交代。数球の投球練習が終わったあと、ミラージュさんが、バッターボックスに立つ。バットを構えると、鋭い目で、相手チームのピッチャーを睨みつける。相変わらず、物凄い威圧感だ。
ピッチャーは大きく振りかぶると、勢いよく玉を放つ。球威はあるが、狙いが外れたのか、かなり外目の球だった。完全にボール球なので、普通は見送るところだ。しかし、ミラージュさんは、豪快にバットを振り抜いた。
次の瞬間『カーン!!』と痛快な音と共に、球が吹っ飛んで行く。ぐんぐん伸び続け、観客スタンドも軽々と超えて、見えなくなった。本日、二度目の、満塁ホームラン。しかも、二回連続の、場外だ。
「ええっ?! 凄過ぎでしょっ!!」
一塁にいた私は、ボールが飛んでいった方向を、呆然と眺めながら、ゆっくりベースを回って行く。あまりに凄すぎて、鳥肌が立ってしまった。
打たれたピッチャーは、マウンドにくずおれ、相手のベンチでは、みんな、あんぐりと口を開けていた。
そりゃ、驚くよね。二打席、連続で満塁ホームランとか、普通は、あり得ないもん。何というかもう、反則的な強さだ。凄いとは思っていたけど、ここまでとは――。
とんでもない人を、呼んで来たことに、いまさらながら、気がついた。本来なら、町内の草野球なんかに、来るような人じゃないもんね。
私たちは、ベンチに戻ると、みんなで歓声を上げ、勝利の喜びを分かち合う。特に、勝利の立役者となったミラージュさんは、みんなから、称賛を浴びていた。
いいメンバーをそろえたので、ある程度、自信はあったけど。まさか、ここまで圧倒的だとは、正直、思っていなかった。
やっぱり、ツバサさんや、ミラージュさんが凄すぎた。シルフィードの能力だけじゃなく、それ以外でも、これほど凄いなんて。上位階級の人たちは、色々と格が違い過ぎる……。
みんなに、健闘をたたえる声を掛けられている、ミラージュさんのすぐ隣では、なぜか、キラリスちゃんが、どや顔で立っていた。尊敬する先輩が、大活躍したんだから、嬉しいのは分かるけどね。
私たちが、楽しく盛り上がっている中。マウンド上では、再び、二人の町内会長さんたちが、顔を付き合わせていた。
「フッ、どうだ?〈東地区商店街〉の底力を、思い知ったか?」
「ぐっ、貴様、卑怯だぞ! そもそも〈東地区〉の人間じゃないだろ?」
「そっちだって、色んな地区から、強いメンバーを集めてるじゃないか?」
「だが、MMAの世界チャンピオンを連れて来るのは、反則だろ!」
「最初は、女子供と馬鹿にしていたくせに!」
「お前が、そこまで、えげつない事するとは、思わなかったんだよ!」
「そもそも、最初に、他地区から助っ人を呼んだのは、そっちだろ?」
「ルールに、助っ人禁止はないから、いいんだよ!」
「だったら、私も、文句を言われる筋合いはないな!!」
「だから、やり過ぎだって、言ってるんだよ!!」
二人は、すっかり熱くなって、完全に口喧嘩になっていた。毎回、こんな感じだとしたら、溝が深まるのも、仕方がない。
これって、親交を深めるのが目的の『交流会』だよね? 私は〈東地区〉が大好きだけど〈西地区〉だって好きだし。どうにか、ならないものかなぁ――?
「やれやれ、二人とも、まだまだ、お若いねぇ」
「フンッ。あれは、若いんじゃなくて、単に子供なんだよ」
ツバサさんの言葉に、ミラージュさんが、不機嫌そうに答えた。
「まったく、子供の喧嘩だな、あれじゃ」
「あははっ、だねぇー」
呆れて見ていたキラリスちゃんの言葉に、私も同意する。
この町の人は、地元愛が強いから、自分の地区が一番だと思う気持ちは、よく分かる。でも、どの地区にも、いいところは有るんだから。同じ町の住人として、もっと仲良くすればいいのに……。
延々と言い合いを続けている二人に、ミラージュさんが、ゆっくり近づいて行った。
「おい、お前ら、いい加減にしろ! 試合で大事なのは、勝敗じゃない。勝っても負けても、相手を尊重し、健闘を称える。それが、スポーツマンシップだろうが?」
その言葉に、二人とも、ピタッと黙り込み、気まずそうな顔をする。
流石に、世界チャンピオンが言うと、言葉の重みが違う。それに、強いだけじゃなくて、スポーツマンシップの塊としても、有名な人だ。何事も正面から、常に正々堂々と。それが、彼女のポリシーだった。
「ほら、さっさと行くぞ」
彼女は、二人の背中を、バシッと力強く叩いた。
「行くって、どこに――?」
「決まってんだろ。交流試合なんだから、終わったら、親睦を深めるための、打ち上げだ」
二人の会長さんは、物凄く微妙な表情を浮かべる。
「おーい、みんな。これから、打ち上げに行くぞ!! お二人の会長さんたちが、おごってくれるそうだ。好きなだけ、飲んで、食って、騒げ!」
ミラージュさんの言葉を聴いて、両チームのメンバーから、大きな歓声が上がる。特に、フィニーちゃんは『食べ放題!』と、目をキラキラさせて、大喜びだった。
「って、何でワシらが?!」
「みみっちいこと、言うなよ、町内会長なんだから。それに、自分らの痴話げんかに、みんなを巻き込んだんだ。それぐらい、当然だろ? ほらっ、行くぞ」
二人は、何も言い返せずに、すっかり黙り込んでしまった。流石に、シルフィード・クイーン兼、世界チャンピオンには、反論できないよね。そもそも、滅茶苦茶、正論だし。
私たちは、着替えて荷物をまとめると、みんなでワラワラと、ピザ屋に向かうのだった。先ほどまでのピリピリした空気はなく、東西両チームとも、仲良く肩を並べて歩いて行く。
その中心には、ミラージュさんと、ツバサさんがいた。みんなから、健闘を称えられたり、質問攻めにあっている。
やっぱ、二人ともカッコイイから、目立つんだよねぇ。女性なのに、兄貴分って感じだし。早くも、ミラージュ姐さん、ツバサ姐さん、なんて呼ばれている。
そんなこんなで、交流試合は、無事に終了。十年以上、続いた因縁も、これで、終わるんじゃないかな。雨降って地固まるとは、このことだよね。
私も、いずれ、あんな風になれたらいいなぁ。後ろを歩きながら、二人の偉大なシルフィードの背中を、じっと見つめ続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『やっぱり年下は手が掛かるから苦手』
それはいけないわ。苦手ならなおさら ぶつかっていかなくちゃ
『グリュンノア行政府』が運営しており、この町の住人は、予約を入れれば、格安で利用が可能だ。
滅茶苦茶、大きな敷地に、たくさんのコートが並んでいる。目的の場所に、移動するだけでも、一苦労するぐらいの広さだ。敷地の北には、大きな建物があり、室内用のコートも、しっかり完備されていた。
〈西地区〉は、空いている土地が多いせいか、スポーツ系の公共施設が多い。しかも、最新の設備が整っており、非常に本格的だ。
大きな公式競技会も、頻繁に行われ、最近は『スポーツ都市』としても、注目されていた。観光だけじゃなくて、様々な分野で、お客様の誘致に、力を入れている。町の活性化のための、施設への投資は、糸目をつけないようだ。
シルフィードの活躍も、一役、買ってるけど。お客様の増加は、行政府が、町への投資を、頑張ってるからなんだよね。
なお、今日は、野球の交流試合が行われる。開始は九時半からで、参加メンバーは、すでに全員そろっていた。今は、素振りや準備運動をして、体を温めている最中だ。私も、ユニフォームを着て、軽くキャッチボールをしていた。
相手チームを見ると、全員、男性で、若い人がメイン。しかも、結構、体格のいい人が多く、かなり本気で、強い人を集めている様子だった。
対して、うちのチームは、半分以上が女性で、年配の人たちも混じっていた。明らかに、相手のほうが強そうに見える。
しかし、私も頑張って、強力な助っ人を呼んで来た。といっても、声を掛けたのはシルフィードだから、全員、女性だ。でも、想像以上に、豪華なメンバーがそろっている。
まず、最初に声を掛けたのは、仲良しの二人。ただ、予想通り、ナギサちゃんは、あっさり拒否。やっぱり、運動系はダメみたい。スポーツの話を出すと、ことごとく、スルーされるんだよね。
しかし、フィニーちゃんは『食べ放題』を条件に、引き受けてくれた。意外にも、小さいころは、球技が得意だったんだって。
次に声を掛けたのは、最も期待していた、ツバサさんだ。忙しそうだから、断られるかと思ったけど。『面白そうだから』と、一発返事でOKしてくれた。運動神経が抜群なうえに、野球経験者なので、実に心強い。
そのあと、キラリスちゃんに声を掛けたら、これまた、すんなり引き受けてくれた。事情を話したら『クフフッ、因縁の対決とは燃えるじゃないか』と、何か嬉しそうだった。彼女も、体育会系なので、運動神経は申し分ない。
あと、以前、引越しの手伝いに行った〈シュガー・キャンディー〉の、カナリーゼさんにも、声を掛けてみた。彼女は、学生時代、ソフトボール部のキャプテンだったらしいので。こちらも『借りがあるから』と、あっさり承諾してくれた。
加えて、もう一人。とんでもない、助っ人がやって来た。『金剛の戦乙女』のミラージュさんだ。彼女は、キラリスちゃんが頼んでくれたら『トレーニングの一環』ということで、快く了解してくれた。流石にこれは、私も想定外だった。
そんなこんなで、女性が多いとはいえ、スポーツが得意なメンバーが、勢ぞろいした。しかも、現役の『シルフィード・クイーン』と『スカイ・プリンセス』までいる。実力的にも、見た目的にも、超豪華な、ドリームチームだ。
あと、リリーシャさんとナギサちゃんは、二人で一緒に作ったお弁当を持って、応援に来てくれた。二人はサポーターとして、ベンチに入っている。野球の試合なのに、シルフィードが八人もいるので、妙に華やかだ。
先ほどから、相手チーム選手たちが、チラチラと、視線を送ってきていた。敵意の視線ではなく、むしろ、好意的な感じがする。こんな間近で、上位階級のシルフィードを見れる機会なんて、滅多にないもんね。
そんな中、チームリーダーの二人だけは、険しい視線を送り合っていた。ちなみに〈東地区〉と〈西地区〉の町内会長さんは、若いころから、ライバル関係にあったらしい。学生時代は、同級生だったんだって。
試合開始の直前になると、二人は、ベンチを出て近づいて行く。グランド中央では、二人が仁王立ちになってにらみ合い、早くも険悪な雰囲気になっていた。
「ふんっ、逃げずに、よく来たな。まぁ、やる前から、結果は分かってるが」
「ずいぶん余裕だな? あまり舐めていると、痛い目を見るぞ」
「あんな、女子供と老人のチームで、何ができるんだ? フッ、どれだけ人材不足なんだ〈東地区〉は?」
「くっ、デカい口を叩けるのも、今の内だけだ。覚悟しておけ」
二人は、ひとしきり言葉を交わしたあと、さっと踵を返し、自分のチームのベンチ戻っていく。想像していた以上に、こじれているようだ。
そんな重苦しい空気の中、東西対抗の交流試合が、始まるのだった……。
******
私たちは、守備からのスタートだった。ピッチャーは、ツバサさん。ファーストは、カナリーゼさん。二人とも、学生時代にやっていたポジションなので、ベストな配置だ。
セカンドは、キラリスちゃん。私は、ショート。俊足の二人で、内野を守る作戦だ。フィニーちゃんは、あまり動かないので、サードに立っている。
センターは、ミラージュさん。ライトが、牛乳屋のドナさん。レフトは、肉屋のハリスさん。三人とも、がっちりした体つきで剛腕なので、外野にはうってつけだ。特に、MMA世界チャンピオンの、ミラージュさんのパワーは、言うまでもない。
最後に、キャッチャーは、町内会長さん。最年長だけど、一番、野球経験が長く、うちのチームの司令塔だ。監督も兼ねており、作戦立案は、全て彼が行っている。
試合が始まると、ツバサさんの投げた球が『スパーン!』と、気持ちのいい音を立て、キャッチャーミットに収まった。かなりの球威で、何より、コントロールが素晴らしい。
ギリギリのコースを狙い、一人目は、見逃がしの三振。二人目は、空振りの三振。相手チームの打者は、全くスピードについて行けていない感じだ。
三人目は、かろうじてバットに当てるが、ショートに転がって来た玉を、私がサッと拾って、ファーストに送球。カナリーゼさんが、しっかりキャッチしてアウト。三者凡退で、あっさりチェンジになった。
もっと、荒れるかと思ってたけど、ツバサさんがいる限り、そうそう、打たれることは無さそうだ。それに、守備陣も、みんな結構レベルが高い。
攻守が変わって、一人目。私たちのチームの、トップバッターは、フィニーちゃんだ。彼女は、パワーはないけど、何と言っても、目がいいので、選球力がある。しかも、とても小さいので、ストライクゾーンが狭い。
なお、打順は、町内会長さんが決めたものだ。相手のピッチャーは、立ち上がりが苦手らしいので、四球を狙う作戦だ。案の定、玉は外れまくり、ファーボール。フィニーちゃんは、ゆっくり走って一塁に向かう。
二番手は、キラリスちゃん。バッターボックスに立った瞬間、物凄く真剣な表情になった。ピッチャーから放たれた、初球。彼女は、外角の玉を上手く引っ掛けた。ライナーになり、一二塁間を見事に打ち抜き、綺麗なヒットに。これで、一二塁。
流石に、格闘技をやっているだけあって、優れた動体視力と、反射神経を持っている。まぁ、ミラージュさんに『打たないとぶっ飛ばす』と、喝を入れられてたのも、あるかもだけど――。
三番手は、私だ。足には自信があるので、会長さんの指示通りに、セイフティーバントを狙う。初級、普通に構えたところから、バントの構えに切り替えた。三塁側に軽く転がしてから、全力疾走で駆け抜ける。
ファーストベースを踏むと同時に、ボールが飛んできたが、判定はセーフ。その間、二人とも塁を進め、ノーアウト満塁の状態に。ここまでは、物凄くいい流れだ。
この大チャンスの場面で出てきたのが、四番のミラージュさん。バッターボックス立った姿の、威風堂々さが凄い。流石は、シルフィード・クイーン&世界王者の貫禄。何より、眼力が半端ない。
彼女に睨みつけられたせいか、ピッチャーも、物凄く投げ辛そうだった。二球外して、ツーボール。完全に、委縮している様子だ。相手は、とんでもない大物なので、やっぱ緊張するよね。
続く三球目の、ど真ん中低めの球を、彼女は見逃さなかった。『スコーン!』と、気持ちのいい音を立て、ボールは大きく打ち上げられた。その後、グイグイ伸びて、観客スタンドをも越え、まさかの場外ホームラン。
私は、ボールの飛んでいった方向を眺めながら、ゆっくり走って、ホームーベースに向かう。横に視線を向けると、打たれたピッチャーも、相手のベンチも、皆、唖然とした表情で沈黙していた。
そりゃ、そうだよね。いきなり、あんな豪快なホームランを、打たれちゃったら。しかも、こっちは女性メンバーばかりで、格下に見ていただろうから……。
この会心の一撃で、相手のピッチャーは崩れたのか、その後の投球は、外しまくった。ドナさんとハリスさんは、二連続のファーボールで出塁。
次に登場したのが、七番のカナリーゼさんだ。数回、素振りしたあと、ゆっくりとバッターボックスに立った。
初球は、外にそれてボール。その後は、二球、続けてストライク。相手のピッチャーも、落ち着きを取り戻して来たのか、上手く決まるようになって来た。だが、そのあとは、二球続けてボールで、フルカウントになる。
カナリーゼさんは、じっとピッチャーを見つめたまま、全く動かなかった。まだ、一度もバットを振っていない。『久しぶりだから不安だなぁ』なんて言ってたけど、大丈夫だろうか? でも、見た感じ、とても落ちついている様子だ。
ピッチャーが振りかぶり、弾が放たれた直後『カーン!』と、甲高い音が鳴り響く。と同時に、弾が大きく飛び上って行っていった。ぐんぐん伸びて、外野の頭を越え、フェンスの少し手前に落下する。
外野が玉を追い掛けている間に、ドナさんとハリスさんが、ホームイン。ようやく拾った玉が、中継されて戻って来たころには、カナリーゼさんは、すでに三塁に到達していた。実に豪快な、スリーベースヒットだった。
「凄い! 流石は学生時代、ソフトボール部のキャプテンやってただけ有るよね」
「ふむ。なかなか、いい眼を持ってるようだな」
ベンチの隣にいたキラリスちゃんが、腕を組みながら答える。
「やっぱり、あれって、ちゃんと選球してたのかな?」
「彼女は、カウンター・タイプだな。思い切り粘って、相手の甘い球を叩く。フルカウントのプレッシャーは、ピッチャーだって同じだからな」
「なるほどねぇ。そんなやり方も、あるんだ」
「粘り強さや、強い精神力が必要だけどな」
私は、待つのが苦手なので、基本、初球から、バンバン攻めていく。なので、全く逆のタイプと言える。
その後も、一点を追加し、結局、一回の裏だけで、七点を獲得。想像以上に、いい滑り出しだった。そのお蔭で、私たちのチームは、一気に士気が上がった。
攻守の交代後も、ツバサさんの切れのある投球で、打者を完全に押さえ込む。守備の連携も抜群で、打たれても、すぐにキャッチからの、素早い送球。
途中、フィニーちゃんが、相手の強烈なサードライナーを、横跳びでダイレクトキャッチして、ダブルプレーが炸裂。普段は、のんびりしてるけど、本気を出すと、物凄く瞬発力が高い。何より、いい眼を持ってるからね。
その後、二回の裏で、二点を追加。三回の表は、ツバサさんの好投で、きっちり三人で押さえた。完全に、こちらのペースで試合が進む。
9-0で迎えた、三回の裏。勢い付いた私たちは、次々と打球を飛ばす。しかし、相手側も、いい選手を集めただけあって、なかなかに守備が堅い。士気は低そうだけど、ギリギリのラインで、踏みとどまっている。
二死満塁で、迎えたバッターは、先ほど満塁ホームランを打った、ミラージュさん。でも、満塁のこの状況では、嫌遠できない。それに、十点差がついた時点で、コールドゲームで即終了だ。
相手チームはタイムをとって、ピッチャーを交代。数球の投球練習が終わったあと、ミラージュさんが、バッターボックスに立つ。バットを構えると、鋭い目で、相手チームのピッチャーを睨みつける。相変わらず、物凄い威圧感だ。
ピッチャーは大きく振りかぶると、勢いよく玉を放つ。球威はあるが、狙いが外れたのか、かなり外目の球だった。完全にボール球なので、普通は見送るところだ。しかし、ミラージュさんは、豪快にバットを振り抜いた。
次の瞬間『カーン!!』と痛快な音と共に、球が吹っ飛んで行く。ぐんぐん伸び続け、観客スタンドも軽々と超えて、見えなくなった。本日、二度目の、満塁ホームラン。しかも、二回連続の、場外だ。
「ええっ?! 凄過ぎでしょっ!!」
一塁にいた私は、ボールが飛んでいった方向を、呆然と眺めながら、ゆっくりベースを回って行く。あまりに凄すぎて、鳥肌が立ってしまった。
打たれたピッチャーは、マウンドにくずおれ、相手のベンチでは、みんな、あんぐりと口を開けていた。
そりゃ、驚くよね。二打席、連続で満塁ホームランとか、普通は、あり得ないもん。何というかもう、反則的な強さだ。凄いとは思っていたけど、ここまでとは――。
とんでもない人を、呼んで来たことに、いまさらながら、気がついた。本来なら、町内の草野球なんかに、来るような人じゃないもんね。
私たちは、ベンチに戻ると、みんなで歓声を上げ、勝利の喜びを分かち合う。特に、勝利の立役者となったミラージュさんは、みんなから、称賛を浴びていた。
いいメンバーをそろえたので、ある程度、自信はあったけど。まさか、ここまで圧倒的だとは、正直、思っていなかった。
やっぱり、ツバサさんや、ミラージュさんが凄すぎた。シルフィードの能力だけじゃなく、それ以外でも、これほど凄いなんて。上位階級の人たちは、色々と格が違い過ぎる……。
みんなに、健闘をたたえる声を掛けられている、ミラージュさんのすぐ隣では、なぜか、キラリスちゃんが、どや顔で立っていた。尊敬する先輩が、大活躍したんだから、嬉しいのは分かるけどね。
私たちが、楽しく盛り上がっている中。マウンド上では、再び、二人の町内会長さんたちが、顔を付き合わせていた。
「フッ、どうだ?〈東地区商店街〉の底力を、思い知ったか?」
「ぐっ、貴様、卑怯だぞ! そもそも〈東地区〉の人間じゃないだろ?」
「そっちだって、色んな地区から、強いメンバーを集めてるじゃないか?」
「だが、MMAの世界チャンピオンを連れて来るのは、反則だろ!」
「最初は、女子供と馬鹿にしていたくせに!」
「お前が、そこまで、えげつない事するとは、思わなかったんだよ!」
「そもそも、最初に、他地区から助っ人を呼んだのは、そっちだろ?」
「ルールに、助っ人禁止はないから、いいんだよ!」
「だったら、私も、文句を言われる筋合いはないな!!」
「だから、やり過ぎだって、言ってるんだよ!!」
二人は、すっかり熱くなって、完全に口喧嘩になっていた。毎回、こんな感じだとしたら、溝が深まるのも、仕方がない。
これって、親交を深めるのが目的の『交流会』だよね? 私は〈東地区〉が大好きだけど〈西地区〉だって好きだし。どうにか、ならないものかなぁ――?
「やれやれ、二人とも、まだまだ、お若いねぇ」
「フンッ。あれは、若いんじゃなくて、単に子供なんだよ」
ツバサさんの言葉に、ミラージュさんが、不機嫌そうに答えた。
「まったく、子供の喧嘩だな、あれじゃ」
「あははっ、だねぇー」
呆れて見ていたキラリスちゃんの言葉に、私も同意する。
この町の人は、地元愛が強いから、自分の地区が一番だと思う気持ちは、よく分かる。でも、どの地区にも、いいところは有るんだから。同じ町の住人として、もっと仲良くすればいいのに……。
延々と言い合いを続けている二人に、ミラージュさんが、ゆっくり近づいて行った。
「おい、お前ら、いい加減にしろ! 試合で大事なのは、勝敗じゃない。勝っても負けても、相手を尊重し、健闘を称える。それが、スポーツマンシップだろうが?」
その言葉に、二人とも、ピタッと黙り込み、気まずそうな顔をする。
流石に、世界チャンピオンが言うと、言葉の重みが違う。それに、強いだけじゃなくて、スポーツマンシップの塊としても、有名な人だ。何事も正面から、常に正々堂々と。それが、彼女のポリシーだった。
「ほら、さっさと行くぞ」
彼女は、二人の背中を、バシッと力強く叩いた。
「行くって、どこに――?」
「決まってんだろ。交流試合なんだから、終わったら、親睦を深めるための、打ち上げだ」
二人の会長さんは、物凄く微妙な表情を浮かべる。
「おーい、みんな。これから、打ち上げに行くぞ!! お二人の会長さんたちが、おごってくれるそうだ。好きなだけ、飲んで、食って、騒げ!」
ミラージュさんの言葉を聴いて、両チームのメンバーから、大きな歓声が上がる。特に、フィニーちゃんは『食べ放題!』と、目をキラキラさせて、大喜びだった。
「って、何でワシらが?!」
「みみっちいこと、言うなよ、町内会長なんだから。それに、自分らの痴話げんかに、みんなを巻き込んだんだ。それぐらい、当然だろ? ほらっ、行くぞ」
二人は、何も言い返せずに、すっかり黙り込んでしまった。流石に、シルフィード・クイーン兼、世界チャンピオンには、反論できないよね。そもそも、滅茶苦茶、正論だし。
私たちは、着替えて荷物をまとめると、みんなでワラワラと、ピザ屋に向かうのだった。先ほどまでのピリピリした空気はなく、東西両チームとも、仲良く肩を並べて歩いて行く。
その中心には、ミラージュさんと、ツバサさんがいた。みんなから、健闘を称えられたり、質問攻めにあっている。
やっぱ、二人ともカッコイイから、目立つんだよねぇ。女性なのに、兄貴分って感じだし。早くも、ミラージュ姐さん、ツバサ姐さん、なんて呼ばれている。
そんなこんなで、交流試合は、無事に終了。十年以上、続いた因縁も、これで、終わるんじゃないかな。雨降って地固まるとは、このことだよね。
私も、いずれ、あんな風になれたらいいなぁ。後ろを歩きながら、二人の偉大なシルフィードの背中を、じっと見つめ続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『やっぱり年下は手が掛かるから苦手』
それはいけないわ。苦手ならなおさら ぶつかっていかなくちゃ
0
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる