私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~

春風一

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第7部 才能と現実の壁

4-4大事な人の昇級は自分のことのように嬉しい

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 水曜の午後、三時過ぎ。私は〈ホワイト・ウイング〉に来ていた。今日は、会社はお休みだけど、ある大事な用事があるからだ。私の他に、ナギサちゃんとフィニーちゃんも来ている。

 午前中は三人で、ホームセンターやスーパーなど、色んなお店を回って、たくさん買い物をしてきた。飾りつけや、料理の材料。お酒に、おつまみ、お菓子など。いわゆる、パーティー・グッズ一式だ。

 フィニーちゃんがいたせいか、食料品が異常に多い。スーパーでは、かごにポンポン突っ込んでたし。それ以外も、全体的に多目だった。

 でも、物凄く、特別なイベントなので、いいんじゃないかと思う。ナギサちゃんも、今回に限っては、あまり、うるさく言わなかったし。

 ちなみに、今日は『シルフィード・クイーン』の、昇進祝いパーティーを行う。これは、一生に一度の、極めて貴重なお祝いだ。

 何せ、上位階級になれるのは、全シルフィードの、1%以下だ。『大統領になるのと、同じぐらい難しい』とさえ、言われている。

 現状、シルフィード・クイーンは、最高位。シルフィード業界はもちろん、社会的にも、極めて高い地位だ。行政府の高官や大企業の社長ですら、クイーンには、最大限の敬意を払う。それぐらい、この世界では、特別な存在なのだ。

 なお、リリーシャさんの昇進が決まった、少しあとに、ツバサさんの昇進も決まった。さらに嬉しいことに、ツバサさんとほぼ同時に、メイリオさんも、昇進が決まったのだ。

 まさか、私たちの身近な人たちが、三人同時に昇進が決まるとは、思いもしなかった。滅茶苦茶、狭き門なので、奇跡にも近い確率だと言える。リリーシャさんは、もちろん、他の二人も知り合いなので、嬉しさも三倍だった。

 クイーンへの昇進は、シルフィードにとって、最高に、おめでたい出来事だ。しかも、三人の先輩には、とても、お世話になっている。なので『盛大にお祝いをしなければ』と、考えていた。

 でも、お互いに、繋がりもあるし。『どうせなら、バラバラにやるよりも、合同でお祝いをしたら?』と、私が提案したのだ。

 これに関しては、ナギサちゃんも、フィニーちゃんも、一発返事で了解してくれた。こんなに、すんなり決まるのって、実は、珍しいんだよね。三人とも、性格も価値観も、てんでバラバラなので。

 でも、自分の先輩たちを、心から祝福したい気持ちは、みんな同じだった。自分のことのように、凄く嬉しいし。無感情、無感動のフィニーちゃんですら、メイリオさんの昇進は、素直に喜んでいるようだった。

 もちろん、盛大にお祝いして、楽しみたいのもあるけど。三人の先輩には、今まで、散々お世話になっている。なので、日ごろの感謝を伝え、最高のおもてなしをするのが、メインの目的だ。

 そのため、事前に、何度も打ち合わせをして、細かく計画を練った。普段は、今一つやる気のない、フィニーちゃんですら、かなり真剣だった。ナギサちゃんは、例のごとく、詳細な資料まで作って、いつも以上に気合が入っている。

 最初は、どこかのパーティー会場を借りようか、という話も出ていた。でも、議論の末『シルフィードの昇進なので、シルフィード会社のほうが記念になるし、縁起もいいのでは』という結論に。

 そこで、伝説のシルフィードである、アリーシャさんが作った〈ホワイト・ウイング〉で、開催することになった。

『白』も『翼』も、この町では、とても縁起のいい物とされている。さらに、白い翼には『さらなる飛躍』の意味がある。とても縁起がいいし、クイーンの門出には、最高の場所だ。

 ただ、うちの会社のダイニングは、六人なら、かろうじて入れる程度の広さだった。でも、こじんまりしてるほうが、アットホームで、落ち着くと思う。元々、顔見知りだけの、内々のパーティーだもんね。

 ナギサちゃんは、キッチンで、黙々と料理の準備をしていた。彼女は、このメンバーで唯一、料理ができるので、とても貴重な戦力だ。私とフィニーちゃんは、飾りつけや、パーティーグッズの準備をしている。

 私は、脚立を使って、天井にキラキラ光るモールを、とり付けて行った。何か、学園祭の飾りつけみたいで、凄く楽しい。

 フィニーちゃんは、買い出しで疲れたのか、机に突っ伏して伸びていた。食べ物を買う時は、滅茶苦茶、テンション高かったのに。食べ物が絡まないと、やる気が出ないのは、いつものことだ。

「ちょっと、フィニーツァ。真面目に、働きなさいよ! 今日が、どれだけ大事な日か、分かっているんでしょ? 新しいクイーンが、三人も来るのよ」
「買い物、超がんばった。もう無理」

「何言ってるのよ! まだ、色々準備が残ってるじゃない」
「何か食べたら、やる気出るかも。料理の味見する」
「味見なんて、いらないわよっ!」

 結局、二人の言い合いが始まる。ま、いつものことなので、気にしないけど。でも、お祝いの日ぐらい、仲良くしたほうがいいよねぇ……。

「まぁまぁ、二人とも。せっかくのお祝いなんだから、楽しくやろうよ。フィニーちゃんも、労働後に、お腹空かせた時の料理は、最高に美味しいよ」
 
 二人の間に入って、上手いことなだめる。

「おぉー、労働後の食べ放題!」
「別に、食べ放題じゃないわよ。今日の主役は、お姉さま方なのだから。ちゃんと、遠慮しなさいよね」

「私は、わき役だから、黙々と食べる」
「だから、それを遠慮しなさいって、言ってるのよ!」
「あははっ――」

 そんなこんなで、少しずつ、準備は進んで行くのだった……。


 ******


 時間は、午後四時半。料理もお酒も、全て準備は完了。流石はナギサちゃん、一人で、完璧に準備を終えてしまった。買ってきた物もあるけど、ナギサちゃんの手料理が、テーブルに、綺麗に並べられていた。

 まるで、一流のレストランかと思うぐらい、高級感あふれる、豪華な料理だった。見るからに美味しそうだし、盛りつけも完璧で、とても美しい。フォークやナイフ、グラスなども、寸分たがわず、等間隔に配置されている。

 長さを測って、何度も、配置を調整していた。料理だけでなく、美観へのこだわりが、半端ない。

 あと、キッチンには、巨大なケーキが置かれている。実はこれも、ナギサちゃんが作ったものだ。最初は『ケーキ屋で注文しよう』という話だった。しかし、一生の思い出だからと、ナギサちゃんが、手作りに、チャレンジしたのだ。

 わざわざ、行きつけの洋菓子店に頼み込んで、練習させてもらって作った、本格的なケーキだ。まるで、プロが作ったかのような完成度。一切の手抜きをせずに、完璧に仕上げるあたり、真面目で几帳面な、ナギサちゃんらしい。

 最初は、気楽なホーム・パーティーを、イメージしてたんだけど。ナギサちゃんが、こだわりまくった結果、超本格的になっちゃったんだよね。ここまでやる、計画力も凄いけど。相変わらず、何をやっても器用だし、女子力が半端なく高い。

 今回は、料理やケーキはもちろん、パーティーの段取りは、全て彼女が決めたものだ。文句なしに、一番の功労者は、ナギサちゃんだった。

 準備が終わったあと、私は、会社の屋根の上で、少しソワソワしながら、三人の到着を待っていた。耳を澄ませ、目を凝らして、空を監視する。待つこと、十数分。はるか彼方に、小さな点を発見した。

 目を細めて凝視すると、赤いオープンカーだった。間違いない、あの目立つ赤色は、ツバサさんの機体だ。

 ツバサさんは『二人を拾ってから向かう』と、言っていた。なので、三人とも一緒なはずだ。私は、はしごを急いで降りると、事務所に駆け込んだ。 

「ツバサさんたち、来たよー!! 急いで準備して!」
 私は、ダイニングで待機していた二人に、声を掛けた。

 ナギサちゃんは、少し緊張した面持ちで、静かに頷く。フィニーちゃんは、テーブルで、居眠りしていたらしく、ボーッとした表情で、大きく伸びをする。相変わらず、マイペース過ぎる――。

 灯りを消すと、三人で『マナ・クラッカー』を手にして、ダイニングの入り口付近で、息をひそめて待機した。これは、マナの光が、空中で花火のように炸裂する、定番のパーティーグッズ。私が試験に受かった時にも、やって貰ったやつだ。 

 待つこと数分。外から、ツバサさんたちの声が聞こえてきた。

「おや、時間を間違えたかな?」
「たぶん、奥で準備しているんじゃないかしら?」
「お邪魔します」

 足音が、徐々に近づいてくる。私が、目で合図を送ると、二人とも静かに頷いた。次の瞬間『パーン!』という、派手な音と共に、クラッカーが炸裂する。薄暗い部屋に、色とりどりの光が、派手にはじけ飛んだ。

 部屋に入って来た三人とも、とても驚いた表情を浮かべ、棒立ちになっていた。サプライズ、大成功だ。

「いやー、まさか、風歌ちゃんの時と、同じことをされるとはね」
「ウフフッ。やられる側になると、結構、驚くわね」
「いきなりなので、凄くビックリしました」

 反応は、三者三葉だけど、笑顔を浮かべ、物凄く嬉しそうだ。

「本日は、お忙しいところ、ご足労いただき、大変ありがとうございます。シルフィード・クイーンを、三人もお招きでき、身に余る光栄です」

 ナギサちゃんが、丁寧なあいさつをすると、

「昇進、おめでとうございます!」
「おめでとう……ございます」

 私とフィニーちゃんも、祝福の言葉を送る。

「おぉ、ありがとう! こんな素敵な後輩を持てるなんて、僕は何て幸せ者なんだ」
 ナギサさんは、私とフィニーちゃんに、軽くハグしたあと、最後にナギサちゃんを、ギュッと抱きしめた。

「ちょっ、ツバサお姉様! 皆が見ている前で――」
「いいじゃない。僕たち姉妹の、仲のいいところを、みんなに見せつけたって」 
「何言ってるんですか! おふざけは、いい加減にして下さい」

 ナギサちゃんは、ツバサさんを無理矢理、引きはがすと、少し頬を赤らめながら、服装を正した。相変わらず、照れ屋さんだ。

 三人が席に着くと、私たちは、シャンパンを注いでいく。私は、リリーシャさん。ナギサちゃんは、ツバサさん。フィニーちゃんは、メイリオさんに。

 ちなみに、このシャンパンは、ナギサちゃんが、家から持って来たものだ。何でも、秘蔵の逸品で、一本で百万ベル以上するらしい。でも『特別なお祝いだから』と、お母さんが、三本も持たせてくれたんだって。

 私たち三人は、全員、ノン・アルコールの、安いシャンパンだ。この町の法律では、十六歳から飲酒可能なので、全員、お酒を飲むことができる。

 でも、私とフィニーちゃんは、お酒が飲めないんだよね。ナギサちゃんは、飲めるけど、今日は、接待に徹するので、お酒を控えている。

 全員に、グラスが行きわたると、私は、スッと立ち上がった。乾杯の音頭は、このパーティーを企画した、私の役目だ。

「本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、本当に、ありがとうございます。新しいクイーンが三人も誕生し、その全員が一堂に会するという、素敵な奇跡に立ち会うことが出来、人生で最高の幸せです」

「皆様が、これから、ますますご活躍することを、心より願っております。偉大な、三人のシルフィード・クイーンに、永遠の風の祝福と、シルフィードのご加護を。乾杯っ!」

「乾杯!」

 グラスを掲げたあと、一気に飲み干した。乾杯のあとは、みんなで談笑しながら、和やかにディナーを楽しむ。フィニーちゃん一人だけは、黙々と食べてるけど、これはいつも通りだ。

 ツバサさんを中心に、楽しく会話が進んで行く。物凄く陽気で、話題も豊富なので、場を盛り上げることでは、右に出る者はいない。次から次へと、面白い話をしてくれた。

 リリーシャさんは、対照的に、聴き上手なタイプなので、ニコニコして話を聴いている。でも、そばに居るだけで、ホッとする安心感があった。

 メイリオさんも、リリーシャさんと似たタイプだ。でも、特定の話題になると、物凄く饒舌になった。ハーブとワインの話になると、熱く語り出す。『ハーブ・マスター』と言われるだけあって、ハーブの知識が半端ない。

 ワインの話では、リリーシャさんと意気投合し、マニアックな話で、盛り上がっていた。流石は、癒し系のツートップ。二人が並んでいると、マイナスイオンが半端ない。柔らかな笑顔と、優しい声を聴いているだけで、心が浄化されていく。

 内々なので、割と静かなパーティーを、イメージしてた。でも、想像以上に、盛り上がっている。そのせいか、大量に買った、お酒や食材も、あらかた消費された。

 食材は主に、フィニーちゃんが。お酒は、リリーシャさんと、メイリオさんが。この二人は、見た目に反して、滅茶苦茶、お酒が強かった。まるで、ざるのように、飲み干して行く。

 ツバサさんは、だいぶ酔っている様子だ。でも、リリーシャさんたちは、頬をほんのり赤くする程度で、普段と、ほとんど変わらない。

 結局、パーティーは、五時間ほど続いた。時間は長かったけど、とても楽しく、あっという間の、最高に素敵なひと時だった。

 ナギサちゃんは、追加の料理を作ったり、お酒を注いだりと、常に接待に徹していた。でも、私は、普通に楽しんでしまった。最初は、私も、接待のつもりだったんだけど。いつの間にか、ノリノリになって、忘れてた……。

 パーティー終了後。主役の三人は、お酒を飲んでいたので、ナギサちゃんが運転して、メイリオさんとツバサさんを、送って行くことに。メイリオさんの背中には、途中で寝てしまった、フィニーちゃんが、おんぶされていた。

 私は、リリーシャさんと一緒に庭に出て、みんなを、お見送りをする。

「皆さん、今日は、お疲れ様でした」
「道中、気をつけて帰ってね」

「今日はありがとー。風歌ちゃん、リリー、超愛してるよ!」
「本日は、お招き、ありがとうございました。今後とも、フィニーちゃんを、よろしくお願いします」

 ツバサさんは、ちょっと、酔っぱらいながら。メイリオさんは、最初と変わらず、穏やかな表情で。

 エア・カートは、ゆっくりと、夜空に舞上がって行った。私とリリーシャさんは、機体が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。

 柔らかな風を、全身に浴びながら、しばしの間、余韻を楽しむ。すると、リリーシャさんが、静かに声を掛けてきた。

「今日は、本当にありがとう。私の人生の中で、一番、幸せな日だったわ」
「本当ですか? だったら、私も最高に嬉しいです」

「風歌ちゃんが来てから、幸せだらけで、困ってしまうわ。次々に、人生で一番の幸せが、更新されてしまうから」

「私も、同じですよ。リリーシャさんと出会ってから、毎日、幸せが一杯で。でも、私も、今までで、今日が一番、幸せです。リリーシャさんが、クイーンになってくれて。本当に、本当に、心の底から嬉しいんです」

 私は、両手を胸に当てながら、想いを込めて答えた。心の奥底から、幸せな感情が、湧き上がって来る。自分のことですら、ここまで嬉しく感じたことは、今までなかったと思う。

「ありがとう。でも、今度は、風歌ちゃんの番ね」
「えっ、私ですか?」

「そのために、日々頑張っているのでしょ?」 
「――はい。私も、いつか必ず、リリーシャさんのいる場所に、たどり着きたいです」

「じゃあ、楽しみに、待っているわね」
「はいっ!!」

 上位階級は『1%の壁』の先にあり、一般階級とは、天と地ほどの差がある。見えてはいるのに、手が届かない。まるで、夜空の星のような存在だ。

 でも、いつか必ず、掴んで見せる。自分の夢を、果たすためもあるけど。私は、これからもずっと、リリーシャさんの、一番、近くにいたいから……。


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次回――
『ちょっと寄り道したらヤバイことに巻き込まれた……』

 寄り道、脇道、回り道。道とは様々だ
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