私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~

春風一

文字の大きさ
312 / 363
第8部 分かたれる道

4-4助け合わないと人は前には進めないと思う

しおりを挟む
 水曜日。仕事はお休みだけど、私は、ビシッと制服を着て〈北地区〉に来ていた。今日は、特別なお客様の、観光案内があるからだ。本来なら、平日の営業時間に、対応するんだけど。じっくりと、案内がしたかったので、休日を選んだ。

 普段だと、朝から、びっしり予約が埋まっていて、息をつく間もない。それはそれで、充実してて、いいんだけど。心の底から、のんびり楽しく観光、という訳には行かない。次の案内があるから、常に、緊張の糸を、張っておく必要があるからだ。

 まぁ、本気で楽しめるのは、ユメちゃんの時ぐらいかな。彼女は、付き合いの長い親友なので、観光案内も、完全に素でやっている。

 ちなみに、今日、案内するのも、私の大事な友達の一人だ。彼女の名前は、エリー・キャンベル。私の一つ下の、大人しくて可愛い女の子。見習い時代、偶然〈北地区〉で出会った、車椅子の少女だ。

 彼女は『フリージング病』という、魔力異常が発生する症状を、患っていた。現在の医療では、治療が不可能で、しだいに体の自由が、利かなくなってくる。

 最後は、全身が動かなくなり、死に至る難病だった。『大地の魔女』も、この病で、命を落としたと言われている。

 私は今〈北地区〉にある、エリーちゃんの家に来ていた。大きな農場で、滅茶苦茶、敷地が広い。目の前では、車椅子のエリーちゃんが、家族と話している最中だった。私は、乗って来た、オープンタイプのエア・カートの前で、待機している。

 以前、彼女が車椅子で〈サファイア・ビーチ〉に向かう挑戦をした時以来。ちょこちょこ、連絡したり、お茶をしに行ったりしている。でも、それは、プライベートの話で、今日は、正式な観光案内の依頼だった。

 今回は、彼女の兄のルークさんが『エリーの誕生日祝いに、素敵な観光案内をプレゼントしてあげたい』と、私を指名してくれた。相変わらず、妹想いの、とても優しいお兄さんだ。

 もちろん、私は、その想いに全力で答えるべく、事前に計画を立て、じっくり準備を整えて来た。本来、上位階級が、丸一日、付き合うことは、あり得ない。でも、彼女は、大事な友達だし。リリーシャさんにも、了解を得てきた。

 休日の案内なら、自分の裁量で、プランや料金を、決めていいらしい。なので、格安の料金で、今日は丸一日、付きっ切りで案内することにした。友達だから、本当は、タダでもいいんだけど。仕事として受ける以上、そうもいかない。

 ルークさんが、エリーちゃんを抱え、助手席に乗せている間、私は、車椅子を折りたたんで、後部座席にしまいこんだ。

「それでは、妹をよろしくお願いします」
「はい、お任せください」
 私は、笑顔で答える。

 やっぱり、エリーちゃんを遠出させるのは、ご家族は、とても心配のようだ。難病で、体が不自由だし。普段は、家にこもっているからだ。

 そのせいか、彼女の家族は、必要以上に、過保護な気がする。とても大事にされていて、いいことなんだけど。エリーちゃんは、それを、重く感じているようだ。

 私は、運転席に乗り込むと、エリーちゃんの家族に見送られながら、ゆっくりと上昇して行った。温かな風が、優しく体を通り抜け、とても心地よい。

「観光日和で、よかったね。天気もいいし、風もちょうどいいし」
「はい。今日は、最高の一日に、なりそうな予感です」
「だねぇー」

 エリーちゃんは、期待に満ちた、キラキラした笑顔で答える。彼女は、重い病を抱えているが、とても明るく、前向きな性格だ。

「えーっと……こんな、普通のやり取りでいいのかな? ちゃんとした、観光案内がよければ、お仕事モードになるけど」

 一応、仕事としての案内なんだけど。普段通りのほうが、エリーちゃんも、気楽に楽しめるかなぁー、と思って、ゆるくやっている。ユメちゃんの案内の時も、こんなノリだし。

「いえ、普通でいいです。風歌さんは、私の大事なお友達ですから。今日は、友達同士で、遊びに行く感じでお願いします。あっ、でも『スカイ・プリンセス』に、友達だなんて、失礼でしょうか?」

「全然、そんなことないよ。プリンセスは、ただの肩書で、中身は、以前の私のまんまだから。私、見習い時代から、何も変わってないでしょ?」

「そんな事ないですよ。物凄く、素敵になりました。とても上品だし、大人な感じがするし。かなり、貫禄も出てきた気がします」

「えっ、本当に? だったら、嬉しいなぁ。私、前から、思ってたんだよね。他の上位階級の人に比べて、威厳や貫禄がないなぁー、って」

 上位階級になって、知名度も上がったし、かなり人気も出てきた。ただ、リリーシャさんたちに比べて『まだまだ、軽いなぁ』と、思うことが多い。何というか、特別に強い、存在感がないのだ。

「十分に、貫禄はあると思いますよ。ただ、風歌さんの場合、物凄くフレンドリーで、話しやすいから、身近に感じるだけで。でも、みんな『天使の翼エンジェルウイング』ことは、心から尊敬してますし、憧れの的ですから」

 エリーちゃんは、とても嬉しそうに語る。

 その後も、色んな世間話をしながら、今日の目的地である〈新南区〉に向かった。今まで、一度も行ったことがないので、どうしても、見てみたかったそうだ。

〈新南区〉は、世界でも屈指の、巨大な繁華街で、人も滅茶苦茶、多い。普段、静かな生活をしている、エリーちゃんが、行くような場所じゃないもんね。私も、観光案内がなければ、自主的には来ないし。
 
 でも『新しい世界を見てみたい』という、彼女の気持ちも、よく分かる。人一倍、抑圧された生活をしているからこそ、かけ離れた世界に、行ってみたいのだと思う。田舎暮らしで、都会に憧れるのと、似たような感覚かな。

 駐機場にカートを停めると、彼女を車椅子に乗せ、メイン・ストリートに向かった。相変わらず、滅茶苦茶、混雑している。最初は彼女も、人の多さに驚いていたけど、目を輝かせ、とても楽しそうにしている。思った以上に、適応力が高い。

 ワイワイ話しながら、色んなお店を見て回ったり、出店で買い食いしたりする。完全に、友達どうしのお出掛けだ。私も、すっかり、素で楽しんでいた。

 途中、彼女の希望で〈ナチュラル〉という、巨大なホームセンターに立ち寄る。なんでも、世界最大級の大きさらしく、とんでもなく、広かった。何でもそろってるし、一番、凄いのは、家具売り場だ。

 エリーちゃんは、家具が大好きで、ずっと前から、ここに来たかったんだって。ふかふかのソファーに、座ってみたり。二人並んで、マッサージ・チェアーを試したり。体験しながら、見て回るだけでも、凄く楽しい。

「家具って、こんなに一杯あるんだねぇー。私、こんなにたくさんの家具、生まれて初めて見たよ」

「私も、こんなに沢山は、初めてです。ここには、世界中の家具が集まっていて。マイアから輸入した家具も、置いてあるんですよ」

「へぇー、どうりで、見覚えがある訳だ。座椅子なんて、久しぶりに見たよー。うちにも、一つ欲しいなぁ」

 畳なんかも売っていて、妙に懐かしい感じがした。私、どちらかというと、床に座ったり、ゴロゴロするのが好きなんで。畳の部屋とか、一室、欲しいかも。

 エリーちゃんは、枕とクッションを購入。私は、折りたためる、畳マットを購入した。他にも、欲しいものが色々あったけど。それは今度、改めて、見に来ることにしよう。

「これだけ沢山あると、欲しい物が一杯あって、切りがないね」
「ですよねぇ、どれも素敵だし。私、家にいる時間が長いから、インテリアには、かなり凝っているんです」

「あぁ、確かに。変化がないと、つまらないもんね」 
「毎日、自由に外に出られれば、色々新鮮で、いいんですけど。部屋にこもっていると、何も刺激がなくて――」

 エリーちゃんは、少し寂し気な笑みを浮かべる。

 自由に動けない辛さは、彼女にしか、分からないけど。私が、数日、家で謹慎していた時ですら、物凄い辛さだった。なので、きっと、想像を絶するものだと思う。家の中ですら、自由に、歩き回れないのだから……。

「なら、どんどん、外に出ようよ。私、いくらでも付き合うから。また、海にも行こう。一杯、色んなもの見て、刺激を受けて、楽しめばいいよ」
「でも、悪いですよ。いつも、ご迷惑を、お掛けしてばかりで」

「全然、迷惑じゃないって。どうせ、休みの日は、暇だから。私、昔っから、休日の過ごし方って、下手なんだよねぇ。必ず、時間が余っちゃうし」

 これといって、趣味はないし。結局、家事が終わると、何もやることがない。昔なら、ふらっと、散歩に行けたんだけど。最近は、注目を浴びてしまうので、気楽には外出できなくなった。結局、ゴロゴロするぐらいしか、やることがない。

「そうなんですか? 意外ですね」
「私って、無趣味だから。特に、インドアは、物凄く苦手で。だから、遊びに行くのは、いつでも大歓迎だよ。友達なんだから、気楽に声を掛けてね」

「はい。また、お願いします」
「よし、次行ってみよー!」 

 再び、広いフロアを移動しながら、ショッピングを満喫するのだった……。


 ******


 買い物後、レストランに行って、楽しく話しながら、軽く昼食を済ませた。そのあとは、女性に大人気のパーラーに向かった。

 お目当ては、五段重ねの、特大ホットケーキだ。間には、生クリームとフルーツも挟んであり、ボリュームが凄い。流石に、大きすぎるので、二人でシェアしたけど。きっと、フィニーちゃんなら、一人で軽々食べきったと思う――。

 で、このあとが、本日のメインイベントだ。そもそも〈新南区〉に来たのは、これが目的だった。エリーちゃんが、昔から憧れていた〈ドルフィン・ランド〉に、やって来た。 

 子供のころから、ずっと、行きたかったらしいんだけど。人が、滅茶苦茶、多いうえに、体が不自由なので、気楽に来られる場所ではない。アトラクションの乗り物に乗るのだって、一苦労だ。

 なので、今回は事前に、遊園地のほうに連絡しておいた。ダメ元だったんだけど『天使の翼に来ていただけるなら、喜んで協力します』と、遊園地側も、非常に好意的だった。

 それで、今回は、専属でスタッフが一名、付き添ってくれることに。園内のガイドに加え、車椅子の乗り降りも、全て手伝ってくれるそうだ。やはり、上位階級の発言力と待遇は、改めて凄いと思う。

 職権乱用的な使い方は、したくないんだけど。今回は、自分のためじゃないし。たまになら、いいよね。

 スタッフの人に、手伝って貰いながら、色んなアトラクションに乗って行く。近くにいたお客さんも、一緒に手伝ってくれたりと、みんな、とても協力的だった。やっぱり、この町は、優しい人が多いよね。
 
 ジェットコースター系は、流石に、体に負担が掛かって危ないので、避けたけど。それでも、遊園地が初体験のエリーちゃんは、まるで小さな子供のように、目を輝かせて、とても楽しんでいた。

 色んな乗り物を体験して、出店で買い食いして、二人で、休日の遊園地を、思いっきり満喫する。私も、こんなに楽しんだのは、久しぶりだ。ここ最近、仕事が忙しかったし。立場的に、羽を伸ばす機会が、なかったので。

 一通り回ったあとは、本日のメインイベントの『大観覧車』だ。エリーちゃんは、ずっと前から、観覧車に乗るのが、夢だったんだって。

 この観覧車は、地上からも上空からも、物凄く目立って見え〈新南区〉のシンボルにもなっている。世界最大級で、高さが、130メートル。シルフィード像よりも高く、高層ビル、40階以上の高さだ。

 毎日、空を飛んでいるので、しょっちゅう目にしている。でも、乗るのは初めてなので、私も、凄くワクワクしていた。

 二人で乗り込むと、扉が閉まり、ゆっくりと動き始める。少しずつ上昇するにつれ、地面が遠くなり、視界が大きく開けていく。地上が、どんどん小さくなり、遊園地の全景と、町の景色が、くっきりと見えた。

「今日は、本当に、ありがとうございました。まるで、夢の中にいるような気分で、まだ、信じられないです。まさか、こんな日が来るだなんて――」

 遊園地に来てからは、大人しいエリーちゃんにしては珍しく、物凄く、テンションが高かった。本当に、心から楽しみにしていたんだと思う。

「喜んでもらえたなら、凄く嬉しいな。でも、これは、まぎれもない、現実だし。来ようと思えば、いつでも来れるよ。これからも、いくらでも付き合うし」

「そうですね……。風歌さんが、いてくれれば、どこにでも行けますね。今までは、手を伸ばしても届かなかった場所が、一気に近くなった気がします」
 エリーちゃんは、眼下の美しい景色を眺めながら、嬉しそうに微笑む。

「でも、以前の私は、狭い部屋の中で、一生を終えるんだと、諦めていました。全ては、夢だけで、終わってしまうものだと――」

「普通の人なら、当たり前にできることも、全然できなくて。『私は、何のために、生まれて来たんだろう?』って。いつも、モヤモヤしながら、その全てを、諦めていました。私は、体だけじゃなく、心も凄く弱い人間なんです……」

 夕日を浴びたその表情は、とても、はかなげに見えた。

「そんなことないよ。エリーちゃんは、自力で〈サファイア・ビーチ〉に、たどり着いたじゃない。諦めなかったから、できたことでしょ?」

 あの時のエリーちゃんは、とても真剣で、物凄く一生懸命だった。それが伝わって来たから、私は、出会ったばかりの彼女に、協力しようと思ったのだ。

「でも、それは、風歌さんに出会ったからです。もし、会わなければ、未だに、実行には、移していなかったと思います。あのあと、あちこちに出かけたり、今日のことだって。全ては、風歌さんが、背中を押してくれたから――」

「私は、誰かに背中を押して貰わないと、誰かに協力して貰わないと、何もできない人間なんです。もし、普通の人と同じで、五体満足だったとしても、何も出来なかったかもしれません……」

 彼女は、少し不安げな目で、遠くに視線を向けた。

 その気持ちは、何となくだけど分かる。私が、見習い時代に、ずっと感じていたことだ。助けて貰ってばかり、与えて貰ってばかりで、自力で、何一つできなかったから。それを、いつも、気に病んでいた。

「私も同じだよ。いつも、人に背中を押してもらってばかりで。私、不器用だし、頭もよくないから。この世界に来てから、ずっと、助けられてばかりだったんだ。本当に、何も知らず、何もできない人間だったから……」

「えっ?! 風歌さんがですか? 私から見れば、とても物知りで、頼り甲斐があって、凄く大人だし。だから『スカイ・プリンセス』に、なれたんですよね?」

 エリーちゃんは、驚きの表情を浮かべる。

「まぁ、エリーちゃんの前では、一生懸命、そうしてただけで。私のほうが、年上だし。シルフィードだから、観光の知識も、完璧じゃなきゃダメだし。誰の前でも、常に背伸びして、プロっぽく振る舞ってたんだ」

「でも、普段は、先輩にも同期にも、年下の子にも。あらゆる人に、助けてもらいながら、何とか前に進んできたんだよね。今の私があるのは、九割以上が、他の人たちに、助けられたお蔭なんだ」

「結局、命一杯、背伸びして。たくさんの人に、助けてもらって。少しずつ、前に進んでたら、いつの間にか、昇進しちゃった――みたいな感じかな」

 今だからこそ、つくづく思う。たくさんの人の協力がなければ、何もできなかったんだと。もちろん、自分自身も頑張ったけど。一人で出来ることには、限界がある。

「そう……だったんですか? 私はてっきり、風歌さんは、何でも一人で出来る、器用な人だと思ってました」

「ないない、それは絶対にない。私は、器用さの欠片もない人間だよ。結局、私もエリーちゃんも。それに、全ての人たちが、同じなんだよ。助けられたり、背中を押してもらわないと、何も上手く行かないのは」

 もし、器用に見えたのだとしたら、私が器用な人の真似をして、そう振る舞っていたからだ。特に、エリーちゃんの前では、安心してもらうために、必要以上に、しっかりした自分を、演じていた気がする。

「エリーちゃんは、自分の境遇を気にして、人の力を借りないと、何もできないと、思っているようだけど。それは、違うよ。普通の人だって、人の力を借りなきゃ、何もできないんだから」

「上位階級になった今だって、いっぱい助けてもらってるし。たぶん、これからも、ずっとそう。でも、世間体があるから、自分より凄い人の真似をして、出来るシルフィードを、演じてるけどね」

 そう、いつだって私は、自分より凄い人の、真似をしているに過ぎない。相変わらず、リリーシャさんの背中は、はるか先にあるし。でも、だからこそ、一歩でも近づくために、必死に演じているのだ。

「そういうものですか――?」
「そんなもんだよ。あとは、気持ちの、持ちようだけだね。助けてもらうことを、ネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか」

 偉そうに言っても、今でも助けてもらうと、心苦しく思うことがある。

「なるほど……。じゃあ、私、たくさんの人に、助けられているのを、素直に受け入れて、いいんでしょうか?」

「もちろんだよ。そもそも、みんな好きで、手伝ってるんだし。その人たちだって、普段は、誰かに助けられてるんだから。そうやって、世界は回ってるんじゃないかな?」

「確かに、そうですね。なら、私も、誰かに力に、なれるでしょうか?」
「なれるよ。私が、エリーちゃんに、助けを求めることだって、あると思うし」

「その時は、喜んで、力にならせてください!」
「うん、頼りにしてるね」
  
 二人で目を合わせると、クスクスと笑う。

 結局、立場や境遇に関係なく、人は助け合って、生きているのだと思う。大事なのは、その優しさに感謝すること。また、その優しさを、リレーのバトンのように、別の人に伝えてあげること。

 きっと、世界中の人が、そんな気持ちになれたら、もっともっと、平和で素敵な世の中になるはずだ。

 だから、私は、これからも、伝え続けて行こうと思う。私の持てる全ての、勇気や希望、優しさを。それが、シルフィードとしての、私の生き様だから……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回――
『三年越しの想いをのせたレースが今始まる』

 道筋は曲げられても人の本当の想いは決して変えられない
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...