私と7人の龍たち

桜井 ミケ

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第10話 ファンタジー王国

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ファンタジー王国の関門には、人間の子供と同じサイズのウサギとクマのぬいぐるみらしきものが立っていた

「何のようでしょうか?」

ぬいぐるみに近くと、クマの方が、クルッと私たちの方に頭を向けて、口を開いた

「わっ!!?」

思わずビクッリして、悲鳴をあげてしまうと、クマのぬいぐるみは「またか。」と言い、ため息をついた

「私たちは、旅のものです。……この街にはとある用があってきたのですが。」

「あー、旅のもの…。最近たくさん来るんだよなぁ。まぁ、いいさ。入って。」

ユリエルさんが話かけると、クマさんは適当に応えて門を開けようとする


「変なヤツだったら、フェリーチェ様がメロメロにしてやっつけちゃうんだからね!」

声がして、そちらを見てみると、ウサギのぬいぐるみがクラウスさんの服の裾を掴み、頬を膨らませて威嚇していた

「……大丈夫。私たちは変な人ではないよ。」

固まっているクラウスを横目に見て、安心させるようにウサギのぬいぐるみの頭をなでる。もふもふしてて、気持ちいい。

「そぉ?それならいいよ!大歓迎!!」

ウサギのぬいぐるは、私の言葉を聞い後、そう言って、辺りをピョンピョン飛び始めた

「おい、お兄さんたち、門をあけるの手伝ってくれないか?自分一人の力じゃ無理だわ。」

ずっと一人で門を開けようとしていたクマさんがついに諦め、協力を呼びかけてきた。

確かにあの手じゃ無理だな。と思う。だって、多分中身は綿しか入っていない。

「あ、はい。もちろん」

ユリエルさんが門に触れるとすっと開いた

「え……?」

「おぉ、あいたあいた。どうやら、お兄さんたちはこの国に好かれたらしいな。」

クマさんはそういいながら、最後まで門を開き、私たちを中に通してくれた。

「楽しんでこいよー!」









中に入った途端、驚きで目をみひらいた

そこには見たことのない世界が広がっていたからだ

まず、目にはいってきたのは、可愛らしい大きなお城。ピンクいろの屋根に、白い壁。中から今にもお姫様が出てきそうだ。

そのお城を中心に街が広がっている。活気に溢れていて、住民が皆、楽しそうに笑っいるいい街だ。


住民は人間だけではなかった。先ほどのような、ぬいぐるみたち、本でみたことのある耳の尖った美しいエルフ、小さいドワーフ、言葉では表せないよくわからない生き物……。

とにかく様々な種が平和に共存して暮らしていた。

「すごいですね……」

「えぇ。この世界にこんな国があるとは……」

「おい、感動している暇があったら、早く仲間を探そうぜ。…こんな女々しい世界、早く出たい」

「素敵じゃないですか!可愛いものがたくさんあって!」

「俺にはわかんねぇな」

「よく見て見てくださいよ…!ほら、あのお家の屋根、小さい妖精さんがとまっていますよ!とっても綺麗です!」

「興味ない。…それにこの国、不気味だ」

「こんなところでケンカはよしてください…。…ところで王子、感じますか?」

「あ?…不気味なこと以外になにをっ ……あぁ、感じた。」

「…何ですか?」

「仲間の気配です。でも、人が多すぎて、どのお方なのかわかりかねますね…。王子はどうです?」

「俺にも分からない」

「ですよね…」

「それって、この国にお仲間がいるってことですよね。…あの!だったら、聞き込みしてみませんか?…ここらへんで強い力を持った人いませんか?…とか。」

私が提案すると、二人は私をじっと見て、

「あ、その手がありましたか。」

「……お前でもたまには役に立つんだな」


すぐに賛成してくれた。









近くの人や店に聞き込みをしてみたところ、フェリーチェ伯爵と言う人が、この国では一番人気があることが分かった

「フェリーチェ伯爵という方が…みなさんに人気だと言うことは分かりましたが、その方が我々の仲間なのでしょうか」

三人で近くのカフェに入り、メニューに書いてあった不思議な飲み物などをそれぞれ注文した後、私たちはさっそく作戦を考えていた

「まぁ、今一番の有力候補はそいつだな。次にこの国のお姫様か?」

「そうですね…。そういえば、フェリーチェって、さっきの門のところでもウサギのぬいぐるみが言ってましたよね?」

「はい、確かに。『変な人だったらフェリーチェ様がメロメロにしてやっつけちゃうんだから!』って言っていました。」

「ユリエル、真似しなくてもいい。きもい。」

「王子ひどい!」

「メロメロにして…の意味はよく分かりませんが、やっつけるというくらいなので、強いのかもしれませんよね」

「あぁ。……とりあえず、城に行ってみようぜ。…伯爵、今、城にいるらしいし。第二候補の姫様もいるだろうし」

「でも、行きなり城に行ったりしたら、色々大変なことになっちゃうんじゃないですか?」

「大丈夫でしょう。そこらへんは私がなんとかしてみせます!」

そんなこんなで、私たちは頼んだものを飲み終わった後に、城に向かうことにした。








城の門は何故かすんなりと入れた。それこそ、この国こんなに警備がなくて大丈夫かなと不安になるくらいに。

「あの、少しお時間いただけませんか?」

私が城内をキョロキョロと眺めまわしていると、ユリエルさんは、すぐにメイドさんの格好をした、歩く人形に話しかけた

「あら、何のご用でしょうか?」

可愛らしい人形はニコニコと愛想よくユリエルさんの話を聞いている。ここでは、旅のものとか、知らない人が来るのも普通らしい。

「あら、そうでしたの。ですがあいにく、今、フェリーチェ様も姫様も会議に出ていますの。…お待ちになられるようなら、そこを右に曲がってすぐの客室でお願いします。フェリーチェ様には、お客様が来たと伝えておきますので。」

「はい、ありがとうございます。それで…会議はどのくらいで終わるか知っていますか?」

「遅れなければ、後30分ほどで終了すると思いますわ。」

「そうですか。ありがとう」

「いえ、お役に立てたのなら、嬉しいですわ。では、仕事に
戻りますので。ごきげんよう」

人形はそう言い、丁寧にお辞儀
をすると、どこかに行ってしまった
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