始めのダンジョンをループし続けた俺が、いずれ世界最強へと至るまで~固有スキル「次元転移」のせいでレベルアップのインフレが止まらない~

Rough ranch

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異世界で新たな一歩目を!

第九話 『つくづく、才能の差ってやつを実感する』

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  俺は今、物凄く豪華な上にこの廊下の中で特筆して存在感を出す扉の前に立っている。
 そして、この扉の奥には国王や宰相のショウワールさんやその他大勢の大臣たちがいるらしい。
 地球ではほとんど人前に立ってこなかった俺は少し緊張していた。

「それでは扉を開けますので、くれぐれも無礼の無いようお願いします。」

 俺たちを案内したレベルのかなり高そうな騎士がそう言ってくる。
 釜瀬を殺したことがばれないか内心ヒヤヒヤしているので、俺は目立った抵抗は見せない。
 クラスメイト達も、さっきまではワイワイと自身の固有スキルの自慢大会をしていたが、国王という名を出されて若干の緊張が伝わってきた。

ゴゴゴゴゴゴゴ

 いかにも威厳のある音を出しながら、徐々に扉が開いていく。
 そして、扉が開くにつれて部屋の中の光が廊下に届くようになる。
 三秒ほど経つと扉が完全に開いく。
 部屋の右横には一矢乱れぬ整列をする騎士らしき服装の男たち。その光景だけで俺たちは少し圧倒される。
 左横には俺たちを召喚した魔術師たちと似たような恰好をした男たち。若干女性も含まれている。
 最後に、部屋の最奥に堂々と玉座に座る国王がいた。
 俺たちは案内した騎士が前に全身するのでそれに従って前に進む。
 そして、国王の十メートルほど前に来た時、騎士が高々と叫ぶ。

「異界より召喚されし勇者様ご一行をお連れしました。」
「うむ、ご苦労。」

 国王が返す。
 ちなみに、国王の隣には宰相としてショウワールさんが立っていた。

「これより、第五百八回ヴィルフェンス王国の定期集会を始める!」
「「「「「「「ハッ」」」」」」」

 ショウワールさんの宣言により、何十人もの騎士や魔術師が一斉に大音量の返事を返した。
 俺たちは、ただただその気迫に圧倒された。


「まずは、打倒魔族のためにこの国に召喚された勇者様方の紹介をする。」

 ショウワールさんの一声で、俺たちはようやく冷静になることが出来た。
 この国ってヴィルフェンス王国って名前だったんだな、みたいなどうでもいいことにも頭が回る。

「では、勇者様の代表として佐々木原慎吾殿に挨拶をしていただく。」

 俺はこんな展開を聞いていないが、佐々木原は堂々とクラスメイト達の輪から抜け出してショウワールさんの隣まで歩く。
 俺が寝ている間に説明がされていたのか、クラスメイトも驚いた様子はない。
 このクラスの中心にいる奴とクラスメイトに聞けば、佐々木原慎吾という男が八割の票を集めるだろう。
 顔、成績、身体能力、コミュ力等の陽キャに必要なスペックは一様に高水準に揃っており、俺の真逆を生きるような奴だ。
 オーラとでもいえばいいのだろうか、いかにも主人公のような雰囲気をまとっているので、クラスメイトの中で佐々木原が代表に選ばれたことも妥当な判断だなと思える。
 若干肩が上がっているので、流石の佐々木原も緊張していると見える。

「初めまして、僕の名前は佐々木原慎吾です。一応、僕ら勇者の代表としてここ来ました。」

 周りの騎士や魔術師はそこまで関心を持っている感じは無い。

「勇者である僕たちは、この国を魔族の侵攻から守るために召喚されたと聞いています。しかし、僕たちはまだそこまで強くはないし、この世界のことをよく知らない。なので、魔族の侵略を止めるには力不足です。」

 なんか話す内容が、魔族の侵攻止めることは当たり前みたいな雰囲気になっている気がする。
 俺の居ない間にこのクラスの方針とかも決められてしまったのだろうか?
 まあ、魔族の侵攻止めることには賛成だけれども。
 「次元転移」を持っていれば、そうそう死にそうにそうに無いからね。

「魔族に勝つためには、僕らとこの国が一丸となって戦う必要があります。協力して、魔族の侵攻を止めましょう!」

 日本の普通の学生として上出来ではないのだろうか。
 俺では素の能力であんな演説は出来ない。
 つくづく才能の差を感じる。

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