始めのダンジョンをループし続けた俺が、いずれ世界最強へと至るまで~固有スキル「次元転移」のせいでレベルアップのインフレが止まらない~

Rough ranch

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異世界で新たな一歩目を!

第五十五話 『まるで漫画みたいな光景』

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 名前だけでも、何となく能力は分かる。
 「浮遊」は文字通りものを浮遊させられる能力、「変形」はものを自由自在に変形させられる能力だろう。
 効果範囲はどの程度なのか、有機物は対象なのかとかは気になるな。

「おっとおっとおっとおっとぉ~~、何暴露してくれてんだよ。」
「まあ、能力がばれたって問題ないでしょうナギサ。」
「そうだよな。どの道あんたらを潰すことには変わりないんだしな。」

 そう言うと、ナギサと呼ばれた男は俺達に手のひらを向けてから叫んだ。

「ぶっ飛び落ちろ!」

 その瞬間、俺達は急に宙に浮いた。

「え、え、どうなってるの!?」
「俺たちにも「浮遊」を使えるのか!」

 いや違う。
 この感覚は、俺というよりも俺の衣類が引っ張られているという感じだ。
 そして、地上から二、三十メートルくらい持ち上げられてから気が付いた。

「というかこれ、もしかしなくても、」

 俺がそう言ったと同時に、俺達は物凄い速度で地上に落下して行った。

「おおおおぉぉぉー-、じ、「次元転移」っ!」

《次元転移を発動します》

 いつもと変わらない口調で、天の声がスキルの発動を伝える。
 葉山とリトライラは地上に転移させた。
 ちなみに、落下のエネルギーは完全に殺し切れてはいないから体を反転させて転移させた。
 こうすれば、さっきまで地上に向かって落下していた肉体は、転移した後は上空に向かってその落下エネルギーのまま飛んで行くことになる。
 つまり、二人の着地が可能な速度で落下を再開することになる。
 そして、俺はというと、

「ぐへぼっっっと!!」

 俺は足をナギサの方に向けて転移をしたことで、落下エネルギーをそのままナギサの鳩尾にぶつけた。
 するとナギサは、面白い様にこの町の外まで飛んで行った。
 漫画みたいな光景だ。

「な、ナギサぁぁー-!」
「リトライラ、葉山、俺はあのナギサって男をぶっ飛ばしてくるから、二人はそいつをお願い。」
「任せて、清原君!」
「了解兄さん!」

 俺は「次元転移」を連続で駆使して、ナギサが飛んで行った方向へと飛んで行ったのだった。
《次元転移を発動します》

「よっと、ここら辺かな?」

 俺は、ナギサが墜落したっぽい場所に転移した。
 周りにはまだ墜落の衝撃によって出来た小さなクレーターがある。
 つまり、このクレーターの中で一番深いところにナギサが居るはずだが。

「痛てて、全く何てことしてくれたんだ。ツカサ姉ちゃんからもらった服が傷だらけになっちゃったじゃないか。」

 ナギサは服の汚れをパンッ、パンッと叩いて落としながら、歩いてきた。

「なんだ、探すまでもなかったな。」
「それは俺のセリフだよ。」

 そう言って、ナギサはまた空中に浮かび出した。

「僕のスキルの対象は、視界に移るもの全てだ。つまり、こんなことも出来る。」
「っわ、と。」

 俺は「危機感知」の警鐘に従い、突然後ろから飛んできた数十もの小石を避ける。

「って、マジかよ。」

 俺の目の前、というか全方位には、今にも飛んできそうな大量の小石が浮かんでいる。
 これが飛んで来たらヤバい。

《次元転移を発動します》

 俺は「次元転移」でナギサの後ろに転移し、背後から首筋に短刀を押し込もうとした。
 しかし、

「あんたの行動は浅はか過ぎるぞ、二度も俺が同じ手を食らうと思ったのか!」

 気付いた時には、俺の腹には直径五センチ程の穴が開いていた。
 その穴を覗けば、ちょうどヴィルフェンス王国の街並みが見える。

「グハッ、こ、この傷はヤバいな。」

 俺は咄嗟に「次元転移」を発動しようした。
 しかし、

「痛っ、」
「これで、あんたは俺から逃げられなくなったな。」
「な、何を。」

 俺は、ナギサの方を振り向く。
 すると、何故か俺とナギサが握手をしていた。
 いや、これは握手じゃない。
 俺の右手とナギサの左手がくっついてる。

「な、なんだこれはぁぁー--!!?」
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