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第三章
最終話『願いの先へ(前編)』
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朝露に濡れた草原を風が撫でる。
空には雲ひとつなく、まるで嵐の後のような、どこか穏やかで不気味な静けさが広がっていた。
「……ここが、“虚無の門”」
アリシアが立つのは、王都から遥か離れた最北の地、終焉の境域《フィン=エリダ》。
そこには古の封印が眠ると言われる、世界の果てが存在していた。
「この奥に、まだ“終わり”が隠れている気がする」
レオンが静かに剣を抜き、アリシアの横に並ぶ。
クロウとの戦いの後、彼の魔眼は沈静化したが、世界の“呪い”が終わったわけではなかった。
むしろ――それは、ようやく始まったばかりだった。
聖堂都市で得た神託の真意。
「この世界は、“始まりの魔眼”によって作られ、“終焉の魔眼”によって壊される」
「だが、もうひとつの可能性――“願い”が、世界を再構築する」
それが、彼女たちに託された最後の鍵だった。
アリシアとレオン、そしてシルヴィアは封印の結界を越え、《虚無の門》の内側へと足を踏み入れる。
そこは空間すら不安定な、異界そのものだった。
天と地の境界は曖昧で、重力も時間も狂っているかのようだった。
「気をつけて。ここには“世界の残響”が渦巻いてる」
三人の前に現れたのは、黒き影の軍勢――だがそれは、実体ではない。
かつての戦い、かつての痛み、かつての喪失――記憶の断片が実体化した“怨念”だ。
「私たちの記憶を喰らって、形になっている……!」
シルヴィアが警戒の声を上げる。
「ここでは、自分自身を見失えば終わりだ。だから――」
「だから、信じて進むしかない!」
アリシアは手を伸ばし、魔眼を開く。
その瞳が輝いた瞬間、世界が反応した。
光と影が交錯し、記憶の亡霊たちが悲鳴を上げて消えていく。
「君の魔眼……この世界の根幹に干渉している」
「“見る”だけじゃない。私は……“望む”。この世界を、終わらせないって」
《虚無の門》の最奥――そこに待っていたのは、黒い玉座に座る、一人の少女だった。
「……来たのね、アリシア」
その声は、彼女にとって最も忘れがたい声だった。
「リアナ……?」
世界の“最初の継承者”。そしてアリシアに魔眼を託した少女。
だが、彼女の瞳には感情がなかった。まるで、神の器のような空虚な光。
「あなたは、“選ばれし者”として、最後の選択を下さなければならない」
リアナの後ろに広がるのは、“虚無”そのもの。
「世界は今、均衡を失っている。破壊と再生、光と影の狭間で――“空白”が生まれた。その空白を埋めるのは、あなたの“願い”」
「願い……?」
「そう。あなたがこの世界に何を望むのか。それによって、“新しい世界”が創られる」
アリシアは思った。
戦いの日々。喪失。悲しみ。そして、仲間たちの笑顔。
そのすべてが、自分を形作ってきた。
「私の願いは――“誰もが、独りにならない世界”。絆を断たずに、生きていける世界よ!」
その瞬間、リアナの魔眼が開いた。
黒と白、相反する波動が空間を裂き、アリシアたちに襲いかかる。
空には雲ひとつなく、まるで嵐の後のような、どこか穏やかで不気味な静けさが広がっていた。
「……ここが、“虚無の門”」
アリシアが立つのは、王都から遥か離れた最北の地、終焉の境域《フィン=エリダ》。
そこには古の封印が眠ると言われる、世界の果てが存在していた。
「この奥に、まだ“終わり”が隠れている気がする」
レオンが静かに剣を抜き、アリシアの横に並ぶ。
クロウとの戦いの後、彼の魔眼は沈静化したが、世界の“呪い”が終わったわけではなかった。
むしろ――それは、ようやく始まったばかりだった。
聖堂都市で得た神託の真意。
「この世界は、“始まりの魔眼”によって作られ、“終焉の魔眼”によって壊される」
「だが、もうひとつの可能性――“願い”が、世界を再構築する」
それが、彼女たちに託された最後の鍵だった。
アリシアとレオン、そしてシルヴィアは封印の結界を越え、《虚無の門》の内側へと足を踏み入れる。
そこは空間すら不安定な、異界そのものだった。
天と地の境界は曖昧で、重力も時間も狂っているかのようだった。
「気をつけて。ここには“世界の残響”が渦巻いてる」
三人の前に現れたのは、黒き影の軍勢――だがそれは、実体ではない。
かつての戦い、かつての痛み、かつての喪失――記憶の断片が実体化した“怨念”だ。
「私たちの記憶を喰らって、形になっている……!」
シルヴィアが警戒の声を上げる。
「ここでは、自分自身を見失えば終わりだ。だから――」
「だから、信じて進むしかない!」
アリシアは手を伸ばし、魔眼を開く。
その瞳が輝いた瞬間、世界が反応した。
光と影が交錯し、記憶の亡霊たちが悲鳴を上げて消えていく。
「君の魔眼……この世界の根幹に干渉している」
「“見る”だけじゃない。私は……“望む”。この世界を、終わらせないって」
《虚無の門》の最奥――そこに待っていたのは、黒い玉座に座る、一人の少女だった。
「……来たのね、アリシア」
その声は、彼女にとって最も忘れがたい声だった。
「リアナ……?」
世界の“最初の継承者”。そしてアリシアに魔眼を託した少女。
だが、彼女の瞳には感情がなかった。まるで、神の器のような空虚な光。
「あなたは、“選ばれし者”として、最後の選択を下さなければならない」
リアナの後ろに広がるのは、“虚無”そのもの。
「世界は今、均衡を失っている。破壊と再生、光と影の狭間で――“空白”が生まれた。その空白を埋めるのは、あなたの“願い”」
「願い……?」
「そう。あなたがこの世界に何を望むのか。それによって、“新しい世界”が創られる」
アリシアは思った。
戦いの日々。喪失。悲しみ。そして、仲間たちの笑顔。
そのすべてが、自分を形作ってきた。
「私の願いは――“誰もが、独りにならない世界”。絆を断たずに、生きていける世界よ!」
その瞬間、リアナの魔眼が開いた。
黒と白、相反する波動が空間を裂き、アリシアたちに襲いかかる。
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