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六話 旅立ち
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龍の墓場に荘厳な地面が震えるような声が響く。
『行くのかシグや、忘れ物はないかの』
「うん、大丈夫だよ。イグニートも元気でね」
『クックックッ、老い先短い墓守の儂に元気でとは愉快じゃ』
「だってイグニートの老い先短いって、まだ何百年もあるんだろ? 僕が寿命で死ぬ方が先だよ」
『人の時間は短いからのう。まるで瞬きの如き時間じゃ』
「古龍と比べられても困るよ」
僕が見上げるようにして話すのは、龍種の頂点に立つ古龍のイグニートだ。50メートルを超える巨体を横たえる古龍の、炎属性らしい深い赤色の鱗は、何者にも傷付けること叶わず、その爪は鋼鉄を飴のように切り裂き、吐き出す灼熱のブレスは岩をも溶かし蒸発させる。現在この世界に存在する龍族の頂点に立つのが至高龍イグニートだ。
悠久に近い時を生きる古龍でも、生ある限り滅びは避けられない。イグニートが自身の生の最後の時を、この龍の墓場で墓守をしながら余生を過ごす為に訪れたのは、僕が此処で暮らし始めて半年位経った頃だった。
余生とは言っても、古龍であるイグニートにとっての余生は、少なくともあと五百年はあると言うのだから、エルフやドワーフのような長寿種族以外にとっては、長い長い時間だ。
僕が、この龍の墓場に辿り着いて8年、凄く充実した幸せな日々だった。
イグニートは、人間以上に高い知性を持つ古龍の中でも穏やかな龍だからか、勝手に龍の墓場に住み着いた僕を排除する事なく、孫のように可愛がってくれ、アグニやヴァルナでも知らない様々な知識やものを与えてくれた。
それは人間の世界の常識や魔法の使い方、大陸の情勢にお金の価値まで多岐にわたる。
その中でも、僕がこの身に宿す二つの規格外の神印『ウロボロス』と『土蜘蛛』。これについてもイグニートから教わる事が出来た。
この様な神印は、幻獣の神印と呼ばれるモノらしい。
イグニートから教えてもらった、ウロボロスや土蜘蛛以外の幻獣の神印には、フェニックスやカーバンクル、ユニコーンなどがあると教えてくれた。どの神印も既存の神印に比べ、極めて強力なものだと教えてくれた。
ウロボロス以外の幻獣の神印に共通するのは、蟲や動物の神印の特徴である身体能力の強化に加え、その幻獣の特技や特定の属性に関する魔法を使用できる事らしい。
そんな森羅万象に通じているかのような物知りのイグニートでも、ウロボロスの神印には驚いていた。それは人がその身に宿すには過ぎた神印だと。
僕が成長する上で必要になった下着や服も、糸の紡ぎ方から機織り機の構造までイグニートから教わった。本当は、イグニートなら素材さえ有れば、創造魔法で創る事が出来るので、機織り機は必要ないんだけど、仕組みを知る事が大事なんだとか。仕組みを知る事で、創造魔法を使う時のイメージが補完されるらしい。
僕が今着ている下着や服に使用している布は、僕とヴァルナで糸から織られたものだ。
服のデザインはボーナム家に出入りしていた平民の服を参考に、動きやすさを重視している。
糸は、この森に棲む魔物、エビルキャタピラーとジャイアントスパイダーの糸を紡ぎ使用している。イグニート曰く、人の世界では高級品らしい。
布が織れたといっても服や下着が作れる訳じゃない。布までを僕とヴァルナが用意すると、あとはイグニートが龍言語魔法の創造魔法で創ってくれた。
このイグニートの創造魔法に近い事が、最近やっとウロボロスでも出来るようになった。
いつかイグニートに近付ければと思う。
イグニートと話していた僕に、太い声がかかる。
「坊、準備は出来たぜ!」
「ああ、直ぐ行くよ」
太い声が僕を呼ぶ。この8年で大きな変化はもう一つある。それはスパルトイが一人増えた事だ。
三人目のスパルトイは、雷龍の牙や骨から生まれた。その名はインドラ。
2メートルを超える身長に漆黒の鎧は、黄色い縁取りがされ、ロングソードを左腰に佩き、右手には凶悪な龍牙槍を持つ。
この世界で成人とされる15歳になった僕の身長は170センチを超え、まだまだ伸びるだろう。アグニ達との模擬戦や、龍の墓場周辺の強力な魔物を狩っていたお陰で引き締まり鍛えられた肉体となっている。騎士のくせに馬に乗れるか心配になる体型のバンガやワポルとは違う。
僕はイグニートが龍言語魔法で創ってくれた革鎧を付けブーツを履いて、腰にショートソードを佩き、背中にバスターソードを背負う。
革鎧には、アグニ達と狩ったワイバーンの皮と飛膜、補強として龍の鱗が創造魔法により合成されている。過保護なイグニートにより、強化の付与魔法がこれでもかという位掛けられているので、高価な魔法金属製のフルプレートの鎧よりも防御力が高いデタラメな革鎧だ。籠手やブーツも皮の素材からこだわり、さらにガチガチに補強されている。これらの防具には、サイズの自動調整と快適維持までエンチャントされている。
二振りの龍爪剣のショートソードと龍牙剣のバスターソードは、龍の墓場を目指した英雄達の遺した物をベースに、イグニート自身の龍の牙や爪を使い強化してくれた。鞘だけは火属性のイグニートの力を抑えるように、土属性の古龍の骨から創られている。
龍言語魔法って何でもありだ。
イグニートと知り合えた事で、僕は森の中に居ながら色んな事を学んだ。イグニートの龍眼で僕のことを鑑定して貰えたのも幸運だった。
名前 シグフリート
種族 人族
年齢 15歳
レベル 108
神印 土蜘蛛 Lv.6 ウロボロス Lv.3
スキル 剣術 Lv.7 槍術 Lv.6
体術 Lv.6
聖印にもレベルがある事を知れたし、アグニ達のレベルが250を超えている事も知れた。
龍の素材から召喚された特別なスパルトイは、生み出された瞬間からレベルは150を超えていた。強い筈だよ。
そして8年の期間で更にレベルを約100上げているアグニ達、それだけ龍の墓場周辺に棲む魔物が強いって事なんだ。レベルが100を超えた僕でも一人では危険な森だ。
「シグ様、換金出来そうな物を纏めました。収納をお願いします」
「ああ、分かった」
ヴァルナから人間の街で換金出来そうな素材や武具類を魔法ダークホールで収納するように頼まれる。
「主人よ、売るには危険だが、龍の素材も少し持っていった方がよくないか?」
『うむ、好きなだけ持って行くが良い。じゃが人間の街では売らん方が良いぞ。竜種ならまだしも、龍の素材など人間の国では流通した事などないからの。それにシグには闇魔法の収納空間があるじゃろう。邪魔になるものでもなし、遠慮なく持っていくがいい』
「分かった。僕達用に少し持っていくよ。もしかしたらスパルトイを増やすかもしれないからね」
僕の配下のアグニ達スパルトイだけど、無尽蔵に増やせるかといえはそうじゃない。これは僕の階位を上げないとダメなんだ。現状、五体までなら増やせるんだけど、アグニ、ヴァルナ、インドラの三人でも過剰戦力だから、今の所増やす予定はない。普通のスケルトン辺りなら数百体は生み出せると思うけど、雑魚を数揃えるのもね……
「じゃあ、もう行くね」
『ふむ、何時でも帰って来ると良い。儂の助けが必要なら直ぐにでも助けに行くからの』
「イグニートが人の街の近くに来れば、大陸中がパニックになるよ。じゃあ、行ってきます」
本当はもう一人別れを言いたい友達と呼べる奴が居たんだけど、どうやらタイミングが合わなかったようだ。残念だけど仕方ない。出発はこの日に決めていたから。
アグニ達に護られるように、僕は森へと進む。8年間暮らした龍の墓場を後にして。
『行くのかシグや、忘れ物はないかの』
「うん、大丈夫だよ。イグニートも元気でね」
『クックックッ、老い先短い墓守の儂に元気でとは愉快じゃ』
「だってイグニートの老い先短いって、まだ何百年もあるんだろ? 僕が寿命で死ぬ方が先だよ」
『人の時間は短いからのう。まるで瞬きの如き時間じゃ』
「古龍と比べられても困るよ」
僕が見上げるようにして話すのは、龍種の頂点に立つ古龍のイグニートだ。50メートルを超える巨体を横たえる古龍の、炎属性らしい深い赤色の鱗は、何者にも傷付けること叶わず、その爪は鋼鉄を飴のように切り裂き、吐き出す灼熱のブレスは岩をも溶かし蒸発させる。現在この世界に存在する龍族の頂点に立つのが至高龍イグニートだ。
悠久に近い時を生きる古龍でも、生ある限り滅びは避けられない。イグニートが自身の生の最後の時を、この龍の墓場で墓守をしながら余生を過ごす為に訪れたのは、僕が此処で暮らし始めて半年位経った頃だった。
余生とは言っても、古龍であるイグニートにとっての余生は、少なくともあと五百年はあると言うのだから、エルフやドワーフのような長寿種族以外にとっては、長い長い時間だ。
僕が、この龍の墓場に辿り着いて8年、凄く充実した幸せな日々だった。
イグニートは、人間以上に高い知性を持つ古龍の中でも穏やかな龍だからか、勝手に龍の墓場に住み着いた僕を排除する事なく、孫のように可愛がってくれ、アグニやヴァルナでも知らない様々な知識やものを与えてくれた。
それは人間の世界の常識や魔法の使い方、大陸の情勢にお金の価値まで多岐にわたる。
その中でも、僕がこの身に宿す二つの規格外の神印『ウロボロス』と『土蜘蛛』。これについてもイグニートから教わる事が出来た。
この様な神印は、幻獣の神印と呼ばれるモノらしい。
イグニートから教えてもらった、ウロボロスや土蜘蛛以外の幻獣の神印には、フェニックスやカーバンクル、ユニコーンなどがあると教えてくれた。どの神印も既存の神印に比べ、極めて強力なものだと教えてくれた。
ウロボロス以外の幻獣の神印に共通するのは、蟲や動物の神印の特徴である身体能力の強化に加え、その幻獣の特技や特定の属性に関する魔法を使用できる事らしい。
そんな森羅万象に通じているかのような物知りのイグニートでも、ウロボロスの神印には驚いていた。それは人がその身に宿すには過ぎた神印だと。
僕が成長する上で必要になった下着や服も、糸の紡ぎ方から機織り機の構造までイグニートから教わった。本当は、イグニートなら素材さえ有れば、創造魔法で創る事が出来るので、機織り機は必要ないんだけど、仕組みを知る事が大事なんだとか。仕組みを知る事で、創造魔法を使う時のイメージが補完されるらしい。
僕が今着ている下着や服に使用している布は、僕とヴァルナで糸から織られたものだ。
服のデザインはボーナム家に出入りしていた平民の服を参考に、動きやすさを重視している。
糸は、この森に棲む魔物、エビルキャタピラーとジャイアントスパイダーの糸を紡ぎ使用している。イグニート曰く、人の世界では高級品らしい。
布が織れたといっても服や下着が作れる訳じゃない。布までを僕とヴァルナが用意すると、あとはイグニートが龍言語魔法の創造魔法で創ってくれた。
このイグニートの創造魔法に近い事が、最近やっとウロボロスでも出来るようになった。
いつかイグニートに近付ければと思う。
イグニートと話していた僕に、太い声がかかる。
「坊、準備は出来たぜ!」
「ああ、直ぐ行くよ」
太い声が僕を呼ぶ。この8年で大きな変化はもう一つある。それはスパルトイが一人増えた事だ。
三人目のスパルトイは、雷龍の牙や骨から生まれた。その名はインドラ。
2メートルを超える身長に漆黒の鎧は、黄色い縁取りがされ、ロングソードを左腰に佩き、右手には凶悪な龍牙槍を持つ。
この世界で成人とされる15歳になった僕の身長は170センチを超え、まだまだ伸びるだろう。アグニ達との模擬戦や、龍の墓場周辺の強力な魔物を狩っていたお陰で引き締まり鍛えられた肉体となっている。騎士のくせに馬に乗れるか心配になる体型のバンガやワポルとは違う。
僕はイグニートが龍言語魔法で創ってくれた革鎧を付けブーツを履いて、腰にショートソードを佩き、背中にバスターソードを背負う。
革鎧には、アグニ達と狩ったワイバーンの皮と飛膜、補強として龍の鱗が創造魔法により合成されている。過保護なイグニートにより、強化の付与魔法がこれでもかという位掛けられているので、高価な魔法金属製のフルプレートの鎧よりも防御力が高いデタラメな革鎧だ。籠手やブーツも皮の素材からこだわり、さらにガチガチに補強されている。これらの防具には、サイズの自動調整と快適維持までエンチャントされている。
二振りの龍爪剣のショートソードと龍牙剣のバスターソードは、龍の墓場を目指した英雄達の遺した物をベースに、イグニート自身の龍の牙や爪を使い強化してくれた。鞘だけは火属性のイグニートの力を抑えるように、土属性の古龍の骨から創られている。
龍言語魔法って何でもありだ。
イグニートと知り合えた事で、僕は森の中に居ながら色んな事を学んだ。イグニートの龍眼で僕のことを鑑定して貰えたのも幸運だった。
名前 シグフリート
種族 人族
年齢 15歳
レベル 108
神印 土蜘蛛 Lv.6 ウロボロス Lv.3
スキル 剣術 Lv.7 槍術 Lv.6
体術 Lv.6
聖印にもレベルがある事を知れたし、アグニ達のレベルが250を超えている事も知れた。
龍の素材から召喚された特別なスパルトイは、生み出された瞬間からレベルは150を超えていた。強い筈だよ。
そして8年の期間で更にレベルを約100上げているアグニ達、それだけ龍の墓場周辺に棲む魔物が強いって事なんだ。レベルが100を超えた僕でも一人では危険な森だ。
「シグ様、換金出来そうな物を纏めました。収納をお願いします」
「ああ、分かった」
ヴァルナから人間の街で換金出来そうな素材や武具類を魔法ダークホールで収納するように頼まれる。
「主人よ、売るには危険だが、龍の素材も少し持っていった方がよくないか?」
『うむ、好きなだけ持って行くが良い。じゃが人間の街では売らん方が良いぞ。竜種ならまだしも、龍の素材など人間の国では流通した事などないからの。それにシグには闇魔法の収納空間があるじゃろう。邪魔になるものでもなし、遠慮なく持っていくがいい』
「分かった。僕達用に少し持っていくよ。もしかしたらスパルトイを増やすかもしれないからね」
僕の配下のアグニ達スパルトイだけど、無尽蔵に増やせるかといえはそうじゃない。これは僕の階位を上げないとダメなんだ。現状、五体までなら増やせるんだけど、アグニ、ヴァルナ、インドラの三人でも過剰戦力だから、今の所増やす予定はない。普通のスケルトン辺りなら数百体は生み出せると思うけど、雑魚を数揃えるのもね……
「じゃあ、もう行くね」
『ふむ、何時でも帰って来ると良い。儂の助けが必要なら直ぐにでも助けに行くからの』
「イグニートが人の街の近くに来れば、大陸中がパニックになるよ。じゃあ、行ってきます」
本当はもう一人別れを言いたい友達と呼べる奴が居たんだけど、どうやらタイミングが合わなかったようだ。残念だけど仕方ない。出発はこの日に決めていたから。
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