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四十四話 Uターン
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ガースさんに移住を勧めた僕は、一度ローグさん達の住む場所を見学してもらった方がいいと思った。
そこでガースさんに代表者を選抜してもらい、ローグさん達の住む場所を案内することになった。
僕的には、別れを済ませたばかりのなので微妙な気分だ。
レイラさんも、ローグさんやマーサさん達から盛大に見送られた事もあって、その表情を見るに気分は複雑みたいだ。
「盛大に見送って貰ったのに……」
「まあまあ、レイラさんもローグさんと再会出来るし良しとしようよ」
「お姉ちゃんどうしたの?」
レイラさんを慰めるも表情は冴えない。僕でも早過ぎる再会だと思わなくもないからね。
ルカはレイラさんが、どんよりとしている理由が分からないのか、首を傾げて聞いている。
「ああ、お姉ちゃんはお家に帰るのが早すぎて恥ずかしがっているんだよ」
「ふーん、変なの。お家に帰るのは嬉しいよ」
微妙な表情のレイラさんはさて置き、ガースさんは空白地帯に入ってから、警戒しつつもその肥沃な土地に目を奪われていた。
「蛮族も暫くは大人しくしてるでしょう。だからそれ程警戒しなくても大丈夫ですよ」
「確かに人の視線や気配は感じないな」
やがて遠目にも空白地帯にはあり得なかった、小高い丘を中心とした巨大な城塞都市が見えて来ると、ガースさんは驚きを通り越して呆然としていた。
門に近付いて来るとヴァルナが門の向こうの気配に気が付いた。
「シグ様、ローグ殿が出迎えてくれるようです」
「本当だ。ローグさんの気配だね」
暫くそのまま走って近付いて来ると、大きな鉄の門が開き、中からローグさん率いる騎馬の兵士達が出迎えてくれた。
「シグ殿、どうかされましたか? 物見の兵士からシグ殿の馬車が近付いて来ると連絡を受け、慌ててお迎えに出ましたが」
「は、ははっ、盛大に送り出して貰って直ぐに戻るのも恥ずかしかったのですが、少し相談したい事がありまして」
「そうですか。兎に角中へどうぞ。レイラも元気そうでなによりだ」
「……もう、恥ずかしいから話しかけないでよ兄さん」
第一外壁を抜けて内側の第二外壁に向かう中ガースさんの驚きは大きくなる。遠くからでも二重の外壁は見えていたと思うんだけどね。
「おじちゃんどうしたの?」
ルカが口をポカンと開けて驚くガースさんの表情を見て、不思議に思ったんだろう。首を傾げて聞いてきた。
「立派な街だから驚いているんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。おじちゃん、この壁はシグお兄ちゃんが造ったんだよ」
「!? ほ、本当なのですか?」
「うん! ほんとうだよ! シグお兄ちゃん、凄いでしょ!」
「は、ははっ」
ルカが自分の事のように胸を張って自慢するのが微笑ましくて可愛くて、表情のわからない筈のヴァルナも微笑んでいる気がする。
「これ程の街が造れるなら砂漠のオアシスでも……いや、無理ですな」
「そうですね。外との交流がないと、待っているのは衰退していく未来だと思います」
隔離された環境で、外から人を攫って来るような乱暴な手段を取らない限り、砂漠のオアシスでは将来がないのは変わらない。
ガースさん達がそこまでするとも思えないし、そうなら今の現状はなかったしね。だからこそこの街に誘ったんだけど。
ガースさんの先導で族長の家、ようはローグさんの家に着いた。他の兵士達は内側の門を抜けた時点で解散している。
レイラさんがマーサさんに抱きしめられ恥ずかしがっているのをスルーして、ローグさんにガースさんの住むオアシスの現状と部族の将来について説明し、この集落……じゃなくて街か、街に合流出来ないか聞いてみた。
「ここはシグ殿のお陰で出来た街です。我等氏族だけのものではありません。それに我等の氏族とマーサの居た氏族の生き残りだけでなく、この街に合流したい友好的な小さな氏族も合流しました。人手は足りていないので我等は歓迎致します」
「有難い。感謝致すローグ殿。我等ローグ殿を族長と仰ぎ、手足となって働きましょう」
「いや、お待ち下さい。一応元は私の氏族だけだったので、私が族長を務めていますが、ガース殿が私の下となる必要はありません。お互い協力して街を守っていきましょう」
ローグさんとガースさんでは、年齢もガースさんの方が上だし、多分、ガースさんの方が強いとローグさんは感じているんだろう。ガースさんを部下として使うのはやり難いかもしれないな。
「ならガースさんがローグさんの相談役として補佐すればいいと思いますよ。大きな国なら王と宰相の関係かな」
「そうですね。私としては、自分が族長なのは力不足を感じますが……」
「いや、ローグ殿が族長でないと纏まりませんぞ。他所から来た我等がいきなり大きな顔をすれば、反発も大きいでしょうからな。我等は少しずつこの地に溶け込めるよう努力致します」
「共に手を取りこの街を守っていきましょう」
「はっ、精一杯努めますぞ」
ローグさんとガースさんが手を固く握り締め、話はまとまった。
その後、砂漠の民の移住のための打ち合わせを行い、そのまま宴が始まった。
そこでガースさんに代表者を選抜してもらい、ローグさん達の住む場所を案内することになった。
僕的には、別れを済ませたばかりのなので微妙な気分だ。
レイラさんも、ローグさんやマーサさん達から盛大に見送られた事もあって、その表情を見るに気分は複雑みたいだ。
「盛大に見送って貰ったのに……」
「まあまあ、レイラさんもローグさんと再会出来るし良しとしようよ」
「お姉ちゃんどうしたの?」
レイラさんを慰めるも表情は冴えない。僕でも早過ぎる再会だと思わなくもないからね。
ルカはレイラさんが、どんよりとしている理由が分からないのか、首を傾げて聞いている。
「ああ、お姉ちゃんはお家に帰るのが早すぎて恥ずかしがっているんだよ」
「ふーん、変なの。お家に帰るのは嬉しいよ」
微妙な表情のレイラさんはさて置き、ガースさんは空白地帯に入ってから、警戒しつつもその肥沃な土地に目を奪われていた。
「蛮族も暫くは大人しくしてるでしょう。だからそれ程警戒しなくても大丈夫ですよ」
「確かに人の視線や気配は感じないな」
やがて遠目にも空白地帯にはあり得なかった、小高い丘を中心とした巨大な城塞都市が見えて来ると、ガースさんは驚きを通り越して呆然としていた。
門に近付いて来るとヴァルナが門の向こうの気配に気が付いた。
「シグ様、ローグ殿が出迎えてくれるようです」
「本当だ。ローグさんの気配だね」
暫くそのまま走って近付いて来ると、大きな鉄の門が開き、中からローグさん率いる騎馬の兵士達が出迎えてくれた。
「シグ殿、どうかされましたか? 物見の兵士からシグ殿の馬車が近付いて来ると連絡を受け、慌ててお迎えに出ましたが」
「は、ははっ、盛大に送り出して貰って直ぐに戻るのも恥ずかしかったのですが、少し相談したい事がありまして」
「そうですか。兎に角中へどうぞ。レイラも元気そうでなによりだ」
「……もう、恥ずかしいから話しかけないでよ兄さん」
第一外壁を抜けて内側の第二外壁に向かう中ガースさんの驚きは大きくなる。遠くからでも二重の外壁は見えていたと思うんだけどね。
「おじちゃんどうしたの?」
ルカが口をポカンと開けて驚くガースさんの表情を見て、不思議に思ったんだろう。首を傾げて聞いてきた。
「立派な街だから驚いているんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。おじちゃん、この壁はシグお兄ちゃんが造ったんだよ」
「!? ほ、本当なのですか?」
「うん! ほんとうだよ! シグお兄ちゃん、凄いでしょ!」
「は、ははっ」
ルカが自分の事のように胸を張って自慢するのが微笑ましくて可愛くて、表情のわからない筈のヴァルナも微笑んでいる気がする。
「これ程の街が造れるなら砂漠のオアシスでも……いや、無理ですな」
「そうですね。外との交流がないと、待っているのは衰退していく未来だと思います」
隔離された環境で、外から人を攫って来るような乱暴な手段を取らない限り、砂漠のオアシスでは将来がないのは変わらない。
ガースさん達がそこまでするとも思えないし、そうなら今の現状はなかったしね。だからこそこの街に誘ったんだけど。
ガースさんの先導で族長の家、ようはローグさんの家に着いた。他の兵士達は内側の門を抜けた時点で解散している。
レイラさんがマーサさんに抱きしめられ恥ずかしがっているのをスルーして、ローグさんにガースさんの住むオアシスの現状と部族の将来について説明し、この集落……じゃなくて街か、街に合流出来ないか聞いてみた。
「ここはシグ殿のお陰で出来た街です。我等氏族だけのものではありません。それに我等の氏族とマーサの居た氏族の生き残りだけでなく、この街に合流したい友好的な小さな氏族も合流しました。人手は足りていないので我等は歓迎致します」
「有難い。感謝致すローグ殿。我等ローグ殿を族長と仰ぎ、手足となって働きましょう」
「いや、お待ち下さい。一応元は私の氏族だけだったので、私が族長を務めていますが、ガース殿が私の下となる必要はありません。お互い協力して街を守っていきましょう」
ローグさんとガースさんでは、年齢もガースさんの方が上だし、多分、ガースさんの方が強いとローグさんは感じているんだろう。ガースさんを部下として使うのはやり難いかもしれないな。
「ならガースさんがローグさんの相談役として補佐すればいいと思いますよ。大きな国なら王と宰相の関係かな」
「そうですね。私としては、自分が族長なのは力不足を感じますが……」
「いや、ローグ殿が族長でないと纏まりませんぞ。他所から来た我等がいきなり大きな顔をすれば、反発も大きいでしょうからな。我等は少しずつこの地に溶け込めるよう努力致します」
「共に手を取りこの街を守っていきましょう」
「はっ、精一杯努めますぞ」
ローグさんとガースさんが手を固く握り締め、話はまとまった。
その後、砂漠の民の移住のための打ち合わせを行い、そのまま宴が始まった。
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