召喚術士は魔物と踊る

小狐丸

文字の大きさ
6 / 29

フランが特殊個体に

しおりを挟む
 朝起きて、朝食の時に宿泊の延長をマーサに告げ、取り敢えず6日分の銀貨3枚を払う。

 朝一で冒険者ギルドに出かけ、昨日と同じ薬草採取依頼を受けて村を出る。


「やっぱり群生地があると採取がはかどるな」

 南の森の手前から、少し森に入った辺りまでを探索して薬草の採取に励む。
 フランは、ムサシが薬草の採取をする間、警戒しながら時折、薬草を食べている。

「薬草って美味しいの?」

 ムサシも薬草を千切って食べてみる。

「……あ~っ、苦げぇ~。よく平気で食べれるな」

 薬草はそのままでは、とても苦かった。

 昨日よりも早く、薬草を確保出来たので、スライムでも狩に行く事にした。
 この世界に降り立った日、スライムがたくさん居た湿地帯へ向かう。



 フランがスライムに襲い掛かる。
 既にこの付近のスライムではフランの相手ではない。ムサシが手伝う事なくフランだけでスライムを狩って行く。
 倒したスライムのスライムコアを纏めてムサシの元に運んで来る。
 ムサシも投石でスライムを狩ながら、薬草が見つかれば採取して行く。

 スライムを狩っていると、フランの様子が少し変だと気付く。
 ムサシは、慌ててフランを鑑定する。



 NAME フラン(スライムG)
 AGE  0
 Lv   8→10
 HP   55/55→55
 MP   24/24→24
 STR  19→23
 AGR  19→23
 DEX  19→23
 INT  19→23
 MEN  19→23

 SKILL  溶解 吸収

 召喚者 ムサシ


 フランのレベルが、10に上がっているのを確認したムサシがフランをジッと見ていると、フランが光に包まれる。
 やがて光が収まった後に、少し白っぽくなったフランがその場に居た。
 ムサシはもう一度フランを鑑定する。


 NAME フラン(ヒールスライムF)
 AGE  0
 Lv   1
 HP   55/55
 MP   24/24
 STR  23
 AGR  23
 DEX  23
 INT  23
 MEN  23

 SKILL  溶解 吸収 回復魔法Lv.1

 召喚者 ムサシ


「ヒールスライム?」

 これが存在進化だと、召喚術士の感覚で理解するムサシだが、ヒールスライムがどういうスライムかは分からない。
 一般的によく見るスライムなのか、それとも特殊な個体なのか、ムサシはステータスの中のヒールスライムを鑑定してみる。

 ・ヒールスライム
  回復魔法を使うスライム。自然界にはほとんど存在しないレア個体。

 やっぱりムサシの感じた通りに、レアな個体だった。これはバレると不味いと感じるムサシだった。

 何故なら、この世界で回復魔法は大変貴重なスキルだ。教会関係者の中にも回復魔法を使える人材は少ない。

「うん、内緒にしておこう」

 そう結論づけた。



 その後もスライムを狩りながら、スライムコアを集めて行く。

 そろそろ村に帰ろうとした時、湿地帯を抜けた辺りで一角ウサギを見つける。

「フラン、あの一角ウサギは、俺に任せてくれないか?」

『……イ、イ、ヨ……』

 フランがムサシに譲ってあげると伝わって来たのだが、ボンヤリとした意思じゃなく、言葉を使いムサシとコミュニケーションをとり始めた。
 驚いたムサシだが、今は一角ウサギを狩る方が先だと自分に言い聞かせる。

 ゆっくりと慎重に一角ウサギとの距離を詰める。

 ムサシの右手にはナイフが握られている。

 ムサシは振りかぶり、ナイフを一角ウサギに向け投擲する。投擲スキルを取得してから、投石やナイフの投擲のコントロールと威力が上がったのを感じていたムサシは、一撃で仕留める自信があった。

 ナイフはムサシが思い描いた軌道で、一角ウサギの首に突き刺さり、声を上げる事を許さず絶命する。

 一角ウサギの首筋を切り、フランに血抜きを頼み、ムサシは自分のステータスを確認する。



 NAME ムサシ
 JOB  召喚術士
 AGE  15
 Lv   3→6
 HP   30/30→45(+11)
 MP   30/30→45(+5)
 STR  16→25(+5)
 AGR  16→25(+5)
 DEX  16→25(+5)
 INT  16→25(+5)
 MEN  16→25(+5)

 SKILL  投擲Lv.1→2 回復魔法Lv.1
      魔物との絆 鑑定Lv.1→2


 初日にスライムを倒して、その時ステータスを確認してから、一度も確認していなかったが、ムサシのレベルも3上がっていた。
 フランに比べてレベルアップのスピードが遅いのは、ムサシの職業が召喚術士というレア職業だからだ。

「回復魔法も覚えてる。これもフランのお陰か」

 ムサシは自分の指をナイフで傷つける。

「痛っ!」するとフランが何かをしたのを感じた。

「あっ!フランが治してくれたのか」

 ナイフで傷つけた痕が消え、完全に治っていた。

「フラン、ありがとうな。次は俺も魔法を練習したいから、俺に任せて」

 フランにそう言って、もう一度指をナイフで傷つける。
 回復魔法を使おうと意識すると、回復魔法レベル1のヒールが使える事を理解する。

「ヒール!」

 魔法が発動すると、ナイフで傷つけた傷口がキレイになくなる。

「うほぉ、魔法スゲェ」

 召喚も魔法なのだが、ムサシにとって魔法とはこちらのイメージなのだろう。

「俺もフランも回復魔法はたくさん使ってスキルレベルを上げないとな」

『……ウ、ン、……』

 魔法の実験も出来たし、一角ウサギも狩れたので、今日はもう村へ帰る事にしたムサシとフラン。
 薬草採取、スライムコア、一角ウサギと予想以上の稼ぎに、ムサシとフランは上機嫌で村への帰路についた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

異世界なんて救ってやらねぇ

千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部) 想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。 結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。 色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部) 期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。 平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。 果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。 その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部) 【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】 【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

処理中です...