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ノーフィス~
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ノーフィスの街へ着いた次の日。
ムサシはフランを連れて、市場を見て回っていた。
ノーフィスから迷宮都市ボルデルまでは、ムサシは徒歩で行く予定だった。
平和なルッツからノーフィスまでは、Eランクの冒険者一人でも護衛依頼を受けれたが、ノーフィスからボルデルまでの行程では、護衛依頼はDランクの冒険者が三人以上必要となってくる。
仕方なくムサシは、歩いて行く事を決めた。
ルッツ村からの護衛依頼料の金貨二枚があるが、それでも乗り合い馬車に乗って行くだけの、お金の余裕がなかったせいもある。
移動だけなら金貨二枚でお釣りがくるが、ボルデルでの宿代が心許なくなる為、節約する事にした。
ムサシは何軒かの道具屋や魔導具屋を梯子して、ある物の性能と値段を確認して回った。
ムサシが探していたのは、ファンタジー世界お馴染みのマジックバッグと呼ばれる物だ。
見た目のサイズ以上に収納量があり、重さも変化しない、ラノベで定番のヤツだ。
それぞれの店で見たマジックバッグで、一番性能と値段のバランスが良い物を金貨一枚で購入した。
その後、着替えの服や下着を購入。保存食などの食料とポーション類を買うと、全てをマジックバッグに収納した。
マジックバッグを買うために、ノーフィス中の色々な店を見てまわったので、買い物が終わった時には、日が暮れ初めていた。
宿に戻り早めの夕食を食べると、体を拭いて今日はもう寝る事にする。
明日の朝早くにノーフィスを出発するためだ。
次の日の早朝、ノーフィスの街から少し離れた場所を、迷宮都市ボルデルへと歩く二人の人影があった。
一人はムサシ、もう一人はハイスケルトンのマーティンだった。
ムサシはノーフィスの冒険者ギルドには寄らずに街を出た。昨日の酒場からの剣呑な視線を思い出し、無用なトラブルを避けようと考えたのだ。
「いや~、旅日和ですね~」
マーティンの呑気な声が聞こえ、顎の骨をカタカタ鳴らしている。
「ボルデルまでは長い道のりだけど、フランもマーティンも頼むな」
『……マカ、セ、テ』
「ええ、お任せ下さい。マスターは私達がお護りしますので」
「頼りにしてるよ。取り敢えず、最初の目標はガザ村だな」
ムサシ達は、街道をボルデルへ向け歩き続ける。
早朝から歩き続けて、そろそろお昼という時、マーティンが手でムサシを止める。
「居ますね、多分ゴブリンでしょうか。三匹といったところでしょう」
マーティンがそう言いながら腰から二本のショートソードを抜く。
マーティンが持つ二本のショートソードと剣帯は、ルッツ村で購入した。
ショートソードを装備したまま送還すると、装備品ごと消え、また召喚するとちゃんとショートソードを装備していた。深く考えても分からないので、そう言うモノだとムサシは考えるのを放棄した。
斥候職のマーティンは、ショートソードの二刀流使いだった。スピードと手数が売りの戦闘スタイルだが、ハイスケルトンに成ったからこそ、このスタイルで戦えるが、動きの遅いスケルトンでは無理だっただろう。
「では、一匹づつでいいですね」
マーティンに言われ、ムサシもメイスを握りしめる。
「マスター、もう少し力を抜いて下さい。
一度脱力してから、インパクトの瞬間に一番力を込める様なイメージを持って下さい」
「わ、分かった」
ムサシはマーティンのアドバイスを聞いて、出来るだけ体の力を抜いてリラックスしようと意識する。
街道の外に広がる草原から、叫びながら近付いて来る緑色のゴブリンが確認出来た。
マーティンが走りだし、フランも跳ねながらマーティンを追う。ムサシもマーティンとフランを追い掛ける様に走りだす。
マーティンが一瞬の交差で、ゴブリンの首を斬り落としすのを視界の端に捉えながら、ムサシはメイスを脇構えにする。
ゴブリンが手に持つ棍棒を振りかぶるが、ムサシはかまわずにメイスを横薙ぎにフルスイングする。
ゴブリンの胴体部分にメイスが叩きつけられ、くの字に曲げられたゴブリンが横に吹っ飛ぶ。
ムサシは、3メートル程跳ばされたゴブリンを追い掛け、瀕死のゴブリンの頭を目掛けてメイスを振り下ろす。
ゴキッ、と骨の砕ける音が響き、ゴブリンが死んだのが分かった。
もう何度かゴブリンと戦っているが、やっと吐き気を催す事が無くなってきた。
それはそれで、大丈夫かと多少心配になるムサシだったが、この世界で生きていくには必要な事と割り切れるようになった。
そこでマーティンとフランの様子を確認すると、マーティンは首の無いゴブリンから魔石を取り出している。フランも危なげなく勝利した様で、ムサシの元に戻って来た。
最近、フランは美味しい食べ物を食べる様になって、ゴブリンを食べなくなった。ゴブリンは美味しくないらしい。
「フランもマーティンもお疲れ」
フランを抱き上げ、二人をねぎらう。
「今の戦いは、いい感じだったんじゃないでしょうか」
ゴブリンの身体から魔石を取り出しながら、先程のムサシを評価する。
「あゝ、力み過ぎは良くないって、何となく掴めたよ」
「何度か繰り返し戦えば、もっと上達するでしょうね。ひょっとすると棍術を取得出来るかもしれません」
「あゝ、さてゴブリンを埋めて少し移動しよう。
さすがにこの近くで、お昼ご飯は食べたくないからな」
マーティンと協力して、ゴブリンを埋めると、休憩できる場所へ移動する。
お昼ご飯は、宿に頼んで作って貰ったお弁当を食べる。
「私も食べたいですが、無理ですよね~」
「そりゃ、内臓がないしゃないか」
ムサシとフランが食事をしていると、マーティンが羨ましそうに見ていた。
マーティンに食事は必要ない。
スケルトンは、この世界に漂う魔力を取り込む事で、食事の代わりになっている。
「いえ、いつの日か食べれる身体に進化してみせます」
「いや、無理だろう」とは言わない。
ムサシも魔物の進化については、知らない事だらけなのだから。
昼食を済ませ、再び歩き始める一行。
ガザの村までは二日かかるだろう道をノンビリ歩き続ける。
ムサシはフランを連れて、市場を見て回っていた。
ノーフィスから迷宮都市ボルデルまでは、ムサシは徒歩で行く予定だった。
平和なルッツからノーフィスまでは、Eランクの冒険者一人でも護衛依頼を受けれたが、ノーフィスからボルデルまでの行程では、護衛依頼はDランクの冒険者が三人以上必要となってくる。
仕方なくムサシは、歩いて行く事を決めた。
ルッツ村からの護衛依頼料の金貨二枚があるが、それでも乗り合い馬車に乗って行くだけの、お金の余裕がなかったせいもある。
移動だけなら金貨二枚でお釣りがくるが、ボルデルでの宿代が心許なくなる為、節約する事にした。
ムサシは何軒かの道具屋や魔導具屋を梯子して、ある物の性能と値段を確認して回った。
ムサシが探していたのは、ファンタジー世界お馴染みのマジックバッグと呼ばれる物だ。
見た目のサイズ以上に収納量があり、重さも変化しない、ラノベで定番のヤツだ。
それぞれの店で見たマジックバッグで、一番性能と値段のバランスが良い物を金貨一枚で購入した。
その後、着替えの服や下着を購入。保存食などの食料とポーション類を買うと、全てをマジックバッグに収納した。
マジックバッグを買うために、ノーフィス中の色々な店を見てまわったので、買い物が終わった時には、日が暮れ初めていた。
宿に戻り早めの夕食を食べると、体を拭いて今日はもう寝る事にする。
明日の朝早くにノーフィスを出発するためだ。
次の日の早朝、ノーフィスの街から少し離れた場所を、迷宮都市ボルデルへと歩く二人の人影があった。
一人はムサシ、もう一人はハイスケルトンのマーティンだった。
ムサシはノーフィスの冒険者ギルドには寄らずに街を出た。昨日の酒場からの剣呑な視線を思い出し、無用なトラブルを避けようと考えたのだ。
「いや~、旅日和ですね~」
マーティンの呑気な声が聞こえ、顎の骨をカタカタ鳴らしている。
「ボルデルまでは長い道のりだけど、フランもマーティンも頼むな」
『……マカ、セ、テ』
「ええ、お任せ下さい。マスターは私達がお護りしますので」
「頼りにしてるよ。取り敢えず、最初の目標はガザ村だな」
ムサシ達は、街道をボルデルへ向け歩き続ける。
早朝から歩き続けて、そろそろお昼という時、マーティンが手でムサシを止める。
「居ますね、多分ゴブリンでしょうか。三匹といったところでしょう」
マーティンがそう言いながら腰から二本のショートソードを抜く。
マーティンが持つ二本のショートソードと剣帯は、ルッツ村で購入した。
ショートソードを装備したまま送還すると、装備品ごと消え、また召喚するとちゃんとショートソードを装備していた。深く考えても分からないので、そう言うモノだとムサシは考えるのを放棄した。
斥候職のマーティンは、ショートソードの二刀流使いだった。スピードと手数が売りの戦闘スタイルだが、ハイスケルトンに成ったからこそ、このスタイルで戦えるが、動きの遅いスケルトンでは無理だっただろう。
「では、一匹づつでいいですね」
マーティンに言われ、ムサシもメイスを握りしめる。
「マスター、もう少し力を抜いて下さい。
一度脱力してから、インパクトの瞬間に一番力を込める様なイメージを持って下さい」
「わ、分かった」
ムサシはマーティンのアドバイスを聞いて、出来るだけ体の力を抜いてリラックスしようと意識する。
街道の外に広がる草原から、叫びながら近付いて来る緑色のゴブリンが確認出来た。
マーティンが走りだし、フランも跳ねながらマーティンを追う。ムサシもマーティンとフランを追い掛ける様に走りだす。
マーティンが一瞬の交差で、ゴブリンの首を斬り落としすのを視界の端に捉えながら、ムサシはメイスを脇構えにする。
ゴブリンが手に持つ棍棒を振りかぶるが、ムサシはかまわずにメイスを横薙ぎにフルスイングする。
ゴブリンの胴体部分にメイスが叩きつけられ、くの字に曲げられたゴブリンが横に吹っ飛ぶ。
ムサシは、3メートル程跳ばされたゴブリンを追い掛け、瀕死のゴブリンの頭を目掛けてメイスを振り下ろす。
ゴキッ、と骨の砕ける音が響き、ゴブリンが死んだのが分かった。
もう何度かゴブリンと戦っているが、やっと吐き気を催す事が無くなってきた。
それはそれで、大丈夫かと多少心配になるムサシだったが、この世界で生きていくには必要な事と割り切れるようになった。
そこでマーティンとフランの様子を確認すると、マーティンは首の無いゴブリンから魔石を取り出している。フランも危なげなく勝利した様で、ムサシの元に戻って来た。
最近、フランは美味しい食べ物を食べる様になって、ゴブリンを食べなくなった。ゴブリンは美味しくないらしい。
「フランもマーティンもお疲れ」
フランを抱き上げ、二人をねぎらう。
「今の戦いは、いい感じだったんじゃないでしょうか」
ゴブリンの身体から魔石を取り出しながら、先程のムサシを評価する。
「あゝ、力み過ぎは良くないって、何となく掴めたよ」
「何度か繰り返し戦えば、もっと上達するでしょうね。ひょっとすると棍術を取得出来るかもしれません」
「あゝ、さてゴブリンを埋めて少し移動しよう。
さすがにこの近くで、お昼ご飯は食べたくないからな」
マーティンと協力して、ゴブリンを埋めると、休憩できる場所へ移動する。
お昼ご飯は、宿に頼んで作って貰ったお弁当を食べる。
「私も食べたいですが、無理ですよね~」
「そりゃ、内臓がないしゃないか」
ムサシとフランが食事をしていると、マーティンが羨ましそうに見ていた。
マーティンに食事は必要ない。
スケルトンは、この世界に漂う魔力を取り込む事で、食事の代わりになっている。
「いえ、いつの日か食べれる身体に進化してみせます」
「いや、無理だろう」とは言わない。
ムサシも魔物の進化については、知らない事だらけなのだから。
昼食を済ませ、再び歩き始める一行。
ガザの村までは二日かかるだろう道をノンビリ歩き続ける。
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