召喚術士は魔物と踊る

小狐丸

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初心者迷宮2

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 二階層へと降りたムサシ達だが、二階層もあまり一階層と変わりはなかった。

「たしかこの階層からゴブリンが出て来るんだったな」

「ギルドの説明ならその筈よ」

 ムサシの確認に、アンナが肯定する。

「マスター、まだ二階層ですから、ゴブリンのレベルも低いので大丈夫ですよ」

『フランがいるから平気だよ~』

 少し緊張気味のムサシを、マーティンとフランが励ます。

「じゃあ行こうか!」

 ムサシが声をかけて初心者迷宮の二階層を探索し始める。

 マーティンが先頭に立ち探索する。

「マスター、魔物が近付いて来ます。おそらくゴブリンですね」

 マーティンはそう言うと確認に向かう。
 少ししてマーティンが戻って来た。

「ゴブリンが二体ですね。ミミ様とルル様の投石から仕掛けましょう」

 マーティンがそう言うと、ミミとルルが石を持って構える。


 やがて二体のゴブリンが姿を見せる。
 緑色で小さな角が生え、身長120センチ位の小鬼が現れた。

 ミミとルルが連続して石を投げる。

 ギャッギャッ!

 ゴブリンが怒りの声を上げ、棍棒を振り回して襲いかかる。

 ガンッ!マーティンが、二本のショートソードをクロスさせて受け止める。
 そこにムサシが上段からメイスを振り下ろす。

 グシャ!と頭が潰れる音がする。

 マーティンもショートソードを突き刺し追撃する。

 もう一体のゴブリンはショートソードを振り上げ、襲いかかろうとしていた。しかしゴブリンの足元からフランが纏わり付き、ゴブリンの動きを阻害する。
 そこにムサシとマーティンが襲いかかる。
 ムサシはメイスを横に振り抜き、ゴブリンの胴がくの字に曲がるが、フランが足元を固めている為に吹き飛ぶ事が出来ない。
 そこにマーティンがショートソードを振るい、ゴブリンの首をとばす。

 やがてゴブリンが光の粒となって消えた後に、小さな魔石と一本のショートソードが落ちていた。

「おや、ショートソードをドロップしましたね。質はイマイチですが、売れば食費の足しになるでしょう」

 ドロップアイテムを回収すると、二階層の探索を続ける。



 時折出て来るゴブリンを倒しながら、二階層を探索すること一時間、ムサシはルルが疲れてきているのに気付く。

「ルル、疲れたかい?」

「……うん、ルル疲れちゃった。
 ごめんない、お兄ちゃん」

 ムサシはルルを抱き上げる。

「帰りは僕がルルを抱っこしてあげるよ。
 アンナ、僕の代わりにサポートお願い。
 マーティンも頼めるかな」

「まかせて、今日はあまり活躍出来ていないから、帰りは頑張るわ」

「お任せ下さいマスター。
 大丈夫です、帰りはそれ程時間もかからないでしょう」

 アンナとマーティンが、ムサシの抜ける穴をカバーしてくれると言ってくれた。

「ミミももう少し頑張ってね」

「はい、お兄ちゃん!」

 ミミはまだ頑張れそうだった。



 ムサシはルルを抱いて、パーティーの真ん中を歩き、先頭をマーティンが警戒しながら進む。

 探索して来た道を戻る帰路は、魔物との遭遇率も高くなく、速いペースで迷宮の入り口までたどり着いた。

 初心者迷宮を出ると、外は既に日が暮れて暗くなっていた。

「帰ってからご飯作るのも面倒だから、買って帰ろうか」

「そうね、ルルも寝ちゃったみたいだし、屋台の食べ物を色々買って帰りましょう」

 ルルは余程疲れたのか、ムサシに抱かれながら眠っている。
 ムサシもアンナも初めての迷宮で、精神的に疲れていたので、食事は簡単に買って済ませる事にした。


 借りている家に戻り、ムサシはルルをソファーに寝かせるとお風呂の用意に向かう。

「お風呂の準備が出来たから、アンナとミミは先にサッパリしてきてよ」

 リビングに戻ってきたムサシが、アンナとミミにお風呂を勧める。

「うん、じゃあお先にいただくわ。
 行きましょう、ミミちゃん」

「はい!」


 アンナとミミがお風呂から上がると、入れ替わりにムサシは寝ていたルルを起こして、ルルとフランを連れてお風呂へ向かう。



「ふぅ~、サッパリした」

「さあ、ご飯にしましょう」

「おなかすいた~!」

『フランもおなか空いたー』

 ムサシ達がお風呂からあがると、アンナがダイニングテーブルに、屋台で買った食べ物を広げていた。
 ルルとフランも空腹の限界だったのか、夢中で目の前の食べ物をガッつく。


「ミミとルルのレベルを上げる意味でも、暫くは今日みたいに初心者迷宮を探索しようか」

「そうね、ミミちゃんとルルちゃんもレベルが上がれば体力もつくしね」

 ムサシとアンナは、暫くの間は、二日迷宮を探索して一日休みを取る事を決めた。

 その日は、全員が疲れていた事もあり、食事を済ませると、そのまま部屋に戻って就寝した。


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