不完全燃焼を謳う

リベラリズムとリア充

リベラリズムが大切だよな、と言ってくる。俺はリベラリズムの意味がわからないため、喉から絞り出た「は？」だけしか反応出来なかった。
「あ、意味知らんやろ。」
「まぁ、ああ、哲学的なあれな」図星である。
「自由主義って意味な」と得意げに言った。なんだ。安心した。自由になりてぇとか言っているのと同じやつか。心なしか表情が緩まった、気がした。
「なんで大切なん？」と一応コミュニケーションを繋げる。無論、いつものやつなので頭の中ではめんどくさいな、としか思っていない。
「我ら学生には時間がないわけよ。部活、勉強、バイト、やらなきゃいけないことがたくさんあるわけよ」
「まぁ、そうだけど」
「だからさ、リベラリズム。これが大事なわけよ」そこで「なぁ」と、気になっていることをいってみる。
「リベラリズムは、自由主義って意味じゃん」
「せやな。」うんうんと首肯する。
「その自由主義ってさ、小さな政府とか、そういう感じの意味じゃねえの？」
刹那彼は固まった。なんだ知ったかぶりか。辞書でも引けよと思った。
「つか、誰に聞いたの？そのリベラリズムって言葉」
すると、まためちゃめちゃ固まった。そしてしばらく何かを悩みながら、覚悟(?)を決めたのか、顔を上げて、表情を緩ませながら、「凛ちゃん」と彼女の名前を口にした。
なんだ、とんだリア充やないかい。
俺は試合に勝って勝負に負けた気がした。