イケメンヤンキーな鬼塚君は幽霊なんて怖くない!

みずき

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「……りゅうのすけ君? って人気あるんですね?」


 それまで我関せずと自席で本を読んでいた男子生徒、西園寺流風が前の席の女子に尋ねる。


「あ、そっか。流風君転校してきたばっかで知らないよね」

「近寄り難いから、隠れ好きな子が多いって感じかな」

「キレイめの流風君とは違ったタイプのイケメンだよね~」


 話してるうちに集まって来た女子達が流風を囲む。


「あはは、恐縮です」


 流風がサラリと返す。


「喧嘩強いとか昭和かよって思ったけど、いざ見ちゃうとカッコ良いっていうかね」

「喧嘩ですか?」

「ほら、この辺田舎特有の長閑ってよりは、ヤンキー的治安の悪さあるじゃない?」

「で、ナンパとかカツアゲとか、たまにあるんだけど、龍之介に助けてもらった子多いんだよ」

「ウチも前絡まれてるの助けてもらったー! で、龍の事狙ってんだけどさ、遊び誘ってもいっつもバイト忙しいって断られちゃうんだよね」

「そうなの? こないだB組の女子が他校のキモ男にストーカーされてるとかで送り迎えしてもらってんの見たけど」

「うぞ!! 先週も誘ったのに! ズルくない?! でもそこが良い!」


 テンションMAXな女子が流風の机をバンバンと叩く。


「……なるほど、随分頼もしい方なんですね。察するに彼は一匹狼っぽいですが……逆恨みとかは大丈夫なんでしょうか」

「うーん、龍之介なら大丈夫じゃない? 頼りがいあるし」

「だね。なんていうか何でも平気そう」

「怖いものとか無さそうだよね」

「怖いもの、ですか……」


 5限授業の始まりの鐘が鳴る。

 生徒がそそくさと席に着く中、流風は龍之介の席に座る。


「流風君? 授業始まっちゃうよ?」


 龍之介の席から窓の外を眺める。

 ちょうど件の廃校・旧南小学校が見えた。
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