イケメンヤンキーな鬼塚君は幽霊なんて怖くない!

みずき

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 口を塞いでいた手がそのままの形でクタリと下に落ちる。



(今だ……!)



「は……、た、助けて!! さいほんひッ?!!」



 言いかけた途中で、すぐさま他の手がまとわりつく。



(くそっ、やっぱダメなのか……?!)




 その時、



「さいほんひではなく西園寺ですよ、鬼塚君」


「!!」



 何処からともなく現れた流風が、龍之介に絡み付いている指をはがす。



「……よく頑張りましたね」



 そして、女の子の幽霊がくっついたままの龍之介の腕を引っ張り、式の中に引き入れる。


 何処にそんな力があったんだろうか、と龍之介が考える間もなかった。


 式の中に入った途端、辺りが光で何も見えなくなる。



「うわっ!!」



 眩しさで目を瞑る。



「ぁあああぁあああ!!!!!」



 恐らく女の子の幽霊だろう。断末魔の様な声が聞こえて、不意に身体が軽くなった。


 何も見えないままの視界に不安になる。

 掴まれた腕の中にある物を無我夢中で抱きしめた。



 頭上で慈しむような、それでいて軽くて、ちょっと乾いた、今日何回も聞いた笑い声が、聞こえた気がした。


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