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第四章~リアル~
感覚
しおりを挟むゲームの世界へ意識を飛ばした俺は、いつも以上にざわざわした街をあるいていた。
「それにしても、ログアウトボタンが無いだけで、他は変わんねーのな。」
お馴染みの景色の中で、見慣れたアバターがあった。
「おっ、ナミたち。おーい!」
ボイチャを繋げていないのに叫ぶ俺って……。
「ん?あっ!スノ!あれ?ボイチャ繋げてないのに聞こえるよ?」
「本当ですね。なんだか体もバーチャルだと思えないと言いますか。」
「ホントだね!リアルにとても近いね!」
リアルか。
「な、なぁ。握手してくれないか?」
「ん?なんで?」
「いや、バーチャルなら感覚がないはずだろ?だから、感覚があったらバーチャルがリアルになっている。と考えるしかなくなるだろ?」
一瞬驚いた顔をしたナミだが、快く了承していた。
俺は右手を差し出し、ナミの左手を握る。
「感覚が、ある。」
「ほんとなの?ナミ?」
少しの沈黙の後、
「本当。」
とナミが言う。
また4人の間に街のざわめきが通る。
「リアルになったという事ですね。身体は思い通りに動きますし、プログラム以上の技ができるかもですね。特にナミとトワは。」
張り詰めた糸を解いたヒマノの言葉に、そうだねー。とか、楽しみ!とか。前向きな声が出始めてた。
「取り敢えず酒場に行ってなんか食うか。空腹まで来るみたいだぞ?」
「そうだね!行こー!」
ナミが走っていく。
それを俺とトワとヒマノが追いかける。
いつも通りのゲームの様子だ。
いつも通りの俺達だ。
大丈夫。
選択は間違っていない。
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