アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~

歩楽 (ホラ)

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中等部・合宿編

56話 ショック療法シッパイ

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 とある山の中にある、平屋の一軒家に朝日が舞い込む

その家のリビングのカーテンの隙間から、朝日に照らされた庭が見えていた

その広めのリビングに、不釣合いなベットが3台、コの字になる様に並べられている

その中央に、白色に薄く光る30cm程の球体が浮かんでいた

そのベットの1つ、そこに寝ていた人物がモゾモゾと動き出した。

 「んん~~~あぁぁ~  よし  リルおはよう」

 おおきく両腕を回し、あくびをして、光る球体に話かける
光る球体の中に、15cm程の妖精の様な少女がいた
それは、声をかけた来た男に、にっこりと微笑み返事をした

 「おはようございます、シオン様、お体の調子はどうですか?」

 「あぁ、おかげでかなり調子がいい」

その会話に気がついた、エプロン姿の眼鏡をかけた女性
近寄ってきて軽く会釈をしながら挨拶をした

 「おはようございます、シオンさん」

 「ティアも、おはよう、そろそろ朝飯か?」

 「はい、そろそろ朝食の準備が終わりますので
  レン様とミカを起こしてもらえますか」

そう、残りの2つのベットに寝ているのは、レンとミカである

 「リル、もういいだろう、十分回復した、今までありがとうな」
 
よほど、「ありがとう」の言葉が嬉しかったのだろう
リルは笑顔で答える

 「わかりました、それでは結界を解除いたします」

そう言うと、両手を拍手するように体の前で1回‘パン’と叩くと
周りにあった結界が消える。

 リルが、今まで展開していた魔法は、自然治癒力を高めるものだ
2日前の夜、港で行われた戦闘で、シオン・レン・ミカは傷つき疲労していた
その回復に、今まで約1日、24時間以上結界を張り
ずっと自然治癒力向上の範囲魔法を使っていたのである
回復系の魔法を得意とするリルにとって、雑作もないことである
そしてなぜ回復魔法を使わないのかは、理由がある

リルなら、瞬間的に全回復させる最上位回復魔法も使えるが
フォーや、この世界の人間の回復魔法だと、下位の回復魔法が限界であり
一部のスキル持ちですら、中位の回復魔法が限界であろう
下位の回復だと、回復魔法を、かけ続け時間をかけて、ゆっくりと回復すると言う物
それほどまでに、この世界の人間は光の精霊に愛されてはいないのだ。


 怪我や傷を直す回復魔法それは、怪我等を直す魔法ではあるが
場合によっては、その工程に重大な欠点が生じる。

 それは、怪我する以前の、怪我をしていない状態に戻すと言う事だ
直すと表現されるが、実際は戻すのである。

 簡単に言うと、筋肉をつけようと筋トレをした後で、この魔法を使うと
筋トレで酷使した筋肉までも、筋トレ以前の状態まで戻してしまうと言う事だ

だが、回復魔法には、それを補って有り余るほどの利点も、使い用もある

ただの怪我であったり、死に直面した状態なら躊躇なく使うが
それ以外なら、自然治癒したほうが、体の為にもなり
力や技術、経験が、身体に蓄積できるのだ。

 そのために
個人の自然治癒力を向上させて、身体を復活させていたのだ
また、他の魔法を幾つか併用することで
治癒の速度を上げることも出来るが
それはそれで負担や、弊害が起きるのだ
休みもまだ2日あったことから
話し合って、ゆっくり治そうと決めたのだ
完全治癒まで行かないにしろ、平常運転が出来るまで
丸一日かかった、いや、丸一日かけたのであった。

「それでは人型に戻ります」

 そう言うと、リルはその場から消え、1秒も掛からず
先程まで15cm程の妖精型のリルが居た空間に
一人の人間の少女が現れた
身長は150cmほどだろう
妖精型のリルがそのまま、大きくなった感じである
チィアやミカと同じように、仮初(かりそめ)の体である。

「では、私はティアの手伝いに行ってきます」

 魔力運用を行うのに、精霊型の方が良いらしく
先程までは妖精型であったが
よほどの事がない限り、普段は人型で暮らしているのだ

「あいよ、俺は2人を起こすよ」

 紫音は2人を蹴り起こし、キッチンの横に置かれているテーブルに付く
当然一波乱あったが、何時もの事だ。

紫音・リル・蓮・ミカ・ミーティア、計5人
大きめのテーブルを囲み朝食をとる、本日の朝食は
白いご飯と、味噌汁、ハムエッグと焼魚である
ティアが作ったものだ
ティアはこの世界に来て、まだ1年ほどしか立っていない
勉強はしてはいるが、未だ簡単な料理しかできないでいたが
簡単な、煮る、焼く、炒める程度なら、リルから及第点をもらっていた

どうでも良い事を話しながら朝食を取る5人
丸一日寝ていたお陰で、全員が完食した
蓮とミカはご飯をおかわりしたくらいである

そして、腹ごなしと、リハビリ
軽い運動の代わりにリビングを掃除をすることに
普段なら、ティアの役目だが、今はリビングに、ベットを出していたので
リビングの家具の配置は、めちゃくちゃなのである
リルが、ベット3台を異空間にしまうと
紫音、蓮、ミカで、部屋の掃除と模様替えを行う
ティアは、朝食の片付けと、おやつ作りをし
リルは、全員が動いているのを、ただ見ていた。

 模様替えも終わり
綺麗になったリビングで、おやつを食べながらくつろぐ5人
そして、思い出したように、ソファーに深く腰をかけた蓮が呟く

蓮「シオン、フォーはどうしたんだ?」

紫「あっ・・・・」

リ「チッ」

 紫音は舌打ちした、リルに振り向き見つめる
それを見た、蓮は鼻で笑い
すっかり忘れていた紫音に対して
リルは覚えていたみたいである

紫「で・・・・」

リ「あの、モブは隔離空間に入れたままです」

紫「まぁ、めんどくさくて、そのままでいいって、言ったのは俺だからな」

リ「どこかに、捨ててきますか?」

紫「あぁ~どうすっかな、とりあえず出してみる?」

リ「ここでですか?」

紫「ん?」

リ「レンさんがおられますが?よろしいですか?」

蓮「俺か?」

急に話を振られた、レンはその意味がすぐには理解できなかった

リ「はい、雷帝レイは
 あのモブにとってかなり恐ろしい存在らしいので」

蓮「そういやそだったか、俺ってそんなに怖いか?」



 「「「・・・・・・・・・・・・・」」」




 その言葉に、紫音・ティア・ミカは黙り込む
リルは、なにそれ?と、我関せずな感じである。

 答えのない静寂に、蓮は紫音に顔を向ける
そんな、蓮を無視して、話をすすめる紫音

「ん、、まぁ、あのままじゃあ、使えんだろ?ショック療法?」


 その言葉に、蓮の口元が、何かを企むように口角が上がり
ティアとミカに、自分の後ろに付くように、命令する。

 15cmほどの、妖精型に戻ったリルは、それを確認すると
隔離空間から、フォーをこの場に戻すのだった。


 2日前の夜、倉庫での戦闘中、【魔王・雷帝レイ】の出現により
心が壊れそうになった所を、リルが隔離空間に閉じ込めた、フォー
幾つかある隔離空間の中の一つ、時間停止の空間に入れられていた
よって、フォーの記憶は未だ2日前の戦闘中である。

 そう
上半身裸で、体中の刀傷から大量に血を流すシオンが目の前で倒れていた
シオンに近づき抱き上げた
それから・・・・
魔物の覚醒・・・・
その後・・・魔王・・・・・

そう、魔王・雷帝レイ、彼がシオンと一緒にいた男、レンがそうであった
フォーの居た世界では10人の魔王が存在していた
その第4席に位置する、雷帝レイ
悪魔の軍団を指揮下に置くその魔王は、その頂点に相応しく
悪魔をも超える、残虐性を持っていると言われていた
機嫌を損なう者がいれば、躊躇も慈悲もなく殺し
その気晴らしに都市をも破壊すると言われていた。

 事実、フォーも昔一度
魔王を怒らして、滅びた都市を見たことがある
1日で魔王1人に滅ぼされたと言われるその都市は、跡形も無かった
都市があった場所は、何か巨大な力で、えぐられた用に、地形が変わっていたのだ
大きな隕石が、幾つも落ちてきた用に陥没し
本当に1月前まで都市が有った事すら分からないくらいである
そして、それは、この雷帝レイが滅ぼしたと言われている
フォーにとって、もっとも怒らしてはいけないと心に決めた魔王でもあった。

そんな、頭と心のブレーキがかかり、あの部屋で
【レイ・マーティン】の名を聞いたときに
魔王の名を思い出せなかったのだろう
いや、もし思い出せたとしても、あの時のレンの魂からは
魔王の面影すらなかったのだから別人と理解していただろう

だが、ちがった、本物の魔王であった
そんな魔王に対し、私は無礼な態度をとり
あまつさえ、お前が格下と言わんばかりの態度をとり
名前すら、呼び捨てにしたのだ
そんな魔王が、私と我が主シオンに対し【死ね】といったのだ

数百年生きてきた、フォーは今までにない恐怖を感じていた

 魔王覇気を纏い発した言葉には、覇気がのるだ
その言葉で、直接死ねと言われて死なないだけでも
フォーが強者である証である

いや、すでに頭は何も考えられず
心は押しつぶされ、精神は壊れる寸前まできていた
そんな目の前が闇に閉ざされた・・・・
それは瞬く間に終わり、瞳に光が戻る。


 リビング中央にフォーは床に横たわる用に現れた
そして紫音は床に膝をつき、フォーの上半身を起こし頭を撫でる。

 暖かい体温を感じるフォー
すでにそれが我が主シオンだと言うことは、すでに分かっていた
モヤがかかっていた視界が少しずつ回復していく
そして、そのフォーの視線の先には、元気な紫音の顔があった

「シオン、何がありやんした?傷は?」

 ここが何処かなど、どうでもよかった
死にかけた紫音の姿だけが頭を巡る
両手で、その紫音の頬をさすり確認する

「あぁもう大丈夫だ、すこし記憶が飛んでるだろうが心配ない」

「シ・シオン、雷帝様は・・・」

その名がでた瞬間、レンが魔王・雷帝の魔力を解放する
そうといっても、ちょびっとだけである
すでに家の周りはリルにより結界が張られているので
魔力が漏れることはない

 フォーは、それに気づき振り向くと、その先には

魔王・雷帝レイが、どっしりとソファーに座っていた
そして、そのソファーの後ろ、雷帝の左右に立っている女性2人も
悪魔覇気をちょびっと解放していた

魔王・雷帝レイと、その側近、ミーティアとミカ

 紫音も、さすがに3人そろって魔力開放すると、エグイなと感じる
魔力を感知出来ない紫音ですら
そう感じるのだ、それがフォーなら

 「あ・・・ああ・・あああ・・・・・」

今まで他人に頭を下げたことがないのだろう
ひれ伏し方が変である
下半身は正座をしたまま、上半身は床に伏し
引付けを起こした用に、痙攣を起こし、涙を流しながら、何かを叫ぶ


「ンァッ! ハッハッハッハー! ンフンフンッハアアアアアアアアアアァン! アゥッアゥオゥウアアアアアアアアアアアアアアーゥアン! コノヒホンァゥァゥ……アー! ……ウッ……ガエダイ!」


泣き叫び、何かを訴えていたのだろう、それすらも聞き取れない発音であった


 
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