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覚醒編
44話 それからの 紫音
しおりを挟む鈴は、ご飯の買い物に行くため、部屋を出ていった
数年前まで、住んでいた場所であって
近場のスーパーや、お店は未だ把握しているだろう
そして、良い素材を探すために、かなりの時間を要する事は
蘭も紫音も理解していた
蘭といえば、腕を組んで目をつぶり、何かを考え巡らしていた
それは、先程、紫音からの告白の事柄だろう
今の紫音は、前世での人格も有しているが
蘭にとって、紫音は紫音である、しかし、そんな事はどうでもいい
それより、紫音から聞いた、紫音の前世が居た場所での
魔法原理に頭を悩ませていた
その原理を、どう現代の科学魔法に組み込めるかをだ
紫音も、難しい事を考え出した蘭の顔をみて
どうせ、何時ものように、仕事の事か魔法の事を考えているのだろうと
ほっておく事にして、台所に顔を向ける
そこには、長いこと使われていないシンクがあった
たまに蘭の実家の使用人が掃除に来ているので
それほど、汚れてはいないのだが
前回の掃除が何時だったかは紫音は知らないし
どこまで綺麗になっているかは想像の域をでない
なら、少し掃除でもしておこうかと
その場から立ち上がり、一歩ふみだす
そして・・・いきなり、その場に膝から崩れ落ち
両腕を床に付けて、うなだれる
蘭は紫音が崩れ落ちた音に気づき
何事かと、紫音を見つめ
「紫音どうした?大丈夫か?身体に異変がおきたか?」
「ぁ・・・・あぁ・・いや・・・だ、大丈夫」
紫音の返事に、焦る蘭は聞き返す
「本当に大丈夫なのか?お前、さっき体がボロボロになって死んでたんだぞ
それの後遺症か?それか、まだ身体の何処か痛いのか?」
「いや、身体は大丈夫なんだけど・・」
「だけど?なんだ?」
「・・・・・・・俺・・・・
前世では、メイドが・・リルとか、マリアがいてさ・・・・
掃除なんか、シナカッタノニ・・・・・・
それなのに・・・
紫音の記憶が、10年に渡る習慣が・・・
身体に染み付いた、感覚が・・・
うらめしい・・」
両方を落として、うなだれる紫音の姿をみて
蘭は、笑いながら
「ハハハ、紫音?お前、金持ちだったのか?」
「・・・街を1個、納めてました・・・
それなりの豪邸にも住んでもいました
好き勝手、気ままな、バカな領主でした・・・・・
なのに、なのに、なぜだ!俺が掃除だと!なんでだ?」
地べたに座り、上半身を起こし、両手を震し叫ぶ紫音
そんな姿の紫音に現実を突きつける蘭である
「すまんな、家 (うち)の家政婦は、お前だ紫音
前世が、なんであろうとな
と、言うか?紫音、お前掃除好きじゃなかったのか?」
蘭の言葉に、ガクッと首を倒し
大きく、ため息をはき、首を傾け蘭を見て
「はぁ~~・・・・・いや、掃除が好きなんじゃなくて
汚いのが嫌いなだけなんだけどね
だけど前世では、掃除なんか、まともにした覚えがないよ・・
まぁ、鈴の美味しいご飯を食べるために掃除はするんだけどね」
ため息を付きながら、紫音は立ち上がり、笑いながら台所に向かう
「紫音、あの、ちっちゃいのは、お前のメイドじゃないのか?
あれにやらせれば、いいでないのか?」
「・・・ああ、蘭さん、先に1ついいか?」
「なんだ?」
「リルは、ああ見えて、前世では、普通の女の子でな (本当はハーフエルフだが)
今のあの小さな姿に、コンプレックスが、多少あるらしいんだ
できれば、名前で、【リル】と呼んでやってくれ」
「そうなのか?ちっちゃくて可愛いのにな
わかった、【リル】だな」
『やっぱり、殺してもよろしいでしょうか?』
『・・・・・・・』
頭の中に、リルの念話が届くが、完全無視の紫音
「うん、ありがとう
後、リルは、あれだ
不器用なんだ、色々あって、水回りの仕事はできなかったんだよ
俺と同じで、料理もできないしな
皿なんか洗わそうなんて思うと
落として割るの覚悟で頼まないとダメなレベルだからね
まぁ、その分、普通の掃除や
ど・・ (奴隷はマズイな)街の子供達の世話がメインだからね
ああみえて、世話焼きで、優しいからな
街のみんなや、子供達には、けっこう頼りにされてたんだよ」
「そうなのか?今の姿からは、想像できんな」
「俺もそうおもうわって事で、台所掃除するよ」
「あぁ、後、風呂掃除もな」
「はぁ~いって、風呂もかよ」
「どうせ、するつもりだったんだろ?」
「まぁ、そうだったんだけど
って、だから、なんで俺が、掃除をしないといけないんだ!」
ぶつぶつと、文句を言う紫音だが
すでに、その手は、布巾を掴みシンク周りを綺麗にしていたし
そして気分よさそうに、リズムを取りながら身体を揺らす
そう、紫音はすでに鈴の作る料理を先読みし
鈴が使うであろう、包丁や、フライパンを、綺麗にしていく
蘭は、自分のノートPCを取り出し
頭の中でまとめた事を、記録していた
そんな中、紫音が台所を掃除しながら、声を掛ける
「そうだ、蘭さん、聞いていい?」
「なんだ?」
「あの、井門圭人って?なんで蘭さん狙ったの?」
蘭は、キーボードを叩く指を一瞬止めるが
引き続き、キーボードを操作しながら、紫音に応える
「紫音には難しい話・・・・ではないか
それなりの知識は、有るんだったよな・・・・
なら、紫音、クローンに関してどう思う?」
「クローン?あまり興味はないね」
「前世の世界には、クローンは無かったのか?」
「その必要性がなかったし
この世界ほど、化学は発展してないから
クローンと言う概念が元々ないんだよ
でも、この世界で言うクローンって
どう考えても、医療目的って言うより
やっぱり戦争目的の方が強い?」
「まぁ、そうだな、戦争目的だ
そして、どっかの組織が、クローンを成功させたんだ」
「おぉ それはすごいね」
「あぁ事実、国際法で禁止されてなければ、ノーベル賞ものなんだが
いかんせん、裏組織だからな、そしてな紫音
クローンの大量精製できれば、軍隊ができあがる
現代の戦争に置いて、一番お金が掛かるのは、人件費だ
人員徴兵、訓練、戦争に置いて死ねば、見舞金
怪我をしたり、もし通常生活に戻れないほどの、肉体破損
精神崩壊があれば、その後の保証金にいくら掛かるかは解らない
それが、国家戦争なら、掛かる費用は軽く兆を超え、京に届くだろう
だが、クローンには人権がないからな、使い捨ての安上がりな兵器
精製までの時間しだいだが
国家師団に匹敵するであろう十士族に対抗できる力を手に入れる事ができるんだ
だがな、その組織は、クローン人間は作れた・・・が
そのクローンに、意思、記憶、感情、知識、脳にかんする機能が全てなかったとしたら?
そう、動かないんだよ、クローン人間はできても
そのクローンは、動くことがないんだよ
それは、使い道のない動かない、デク人形だ
いや、発想の転換、もし頭の良いやついれば
医療に使える、新鮮な肉体が手に入るんだ
引手あまただろうが、だ
クローンは禁止されている
まぁ、そのへんは、緯度経度みたいな交渉人が活躍する現場だ
私には、解らない世界だな」
「そうか、それで、蘭さんの研究【記憶の移植】が必要なのか
もし医療に転換できても、闇組織が喜ぶだけか」
「さすが、物分りがいいな
私が大学時代書いた【記憶の移植】
当時の大学のボロい器具での成功率は、数%だったが
あれから10年以上たった今の最先端技術なら
その成功率は50%は軽く超えるだろう
私の頭の中では、人間への移植も成功の目処はできているからな
だが、今はその研究も国際法で禁止されたけど
その研究を欲しがった研究所や、組織は、アホなほど居るってわけだ
その1つの闇組織の、交渉人が、あの緯度経度だ
奴の会社は、小さな会社だが、ああいう交渉人を数人抱えてるらしい
まぁ、奴も奴の会社も末端の存在だから
その、クローンを作った研究所や、その組織の存在すら良くは知らないんだろうがな
今回の事から、その組織も切羽詰ってるって感じだよな」
蘭は、言葉を止めると、険しい顔をして考え込む
「そういうことか、大体の仕組みわかったよ
だが、大元の組織が分からない事には・・・」
そして、紫音も、何かを考え込むように言葉は尻窄みになっていくが
何かを切り替えるように
「よし、風呂掃除してくる」
「あぁいってらっしゃい」
風呂場に足を向ける紫音
先程まで、台所のカウンターで、紫音を見ていた、使い魔のギンは
行きよい良く飛ぶと、シオンの右肩に飛び乗った
「お!ギンも来るか」
「コン」
そして、紫音は風呂掃除を開始する
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