幸運の歌姫

歩楽 (ホラ)

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第1章・聖騎士

歌姫

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 僕はどれだけ泣いただろうか・・・。

 シャルに包まれ、その胸から見上げた空は、変わらず明るい
満月に近い月と、満天の星空だった。

 僕は、静かにシャルの胸から顔をあげると
「シャルありがとう」伝えた。

 何にたいしてとか

 何かは分からないが
 
 そう伝えたかったんだ。


 その言葉に、シャルは夜空にも似た満天の笑みで

「ん~~~許さない」

「え?」

 そして、笑うように

「許して欲しかったら、一曲歌って」

「いいの?変かも知れないよ・・」

「私の国の歌を、変て言わないの!」

 僕の頭を撫でるシャル。

 なぜか僕は心が温かくなっていくのだった。


「さっきの歌以外は何が歌えるの?」


  その言葉に、僕は腰のアイテムボックスに手を入れ5冊の本を取り出す。

 それは、何年も使い古されているが、僕の大切な宝物でもあった。

それを、シャルに渡し

「異国の文字だけど、もしかしてシャルは読めるかも
 これに載ってる歌は全部歌えるよ」

 一冊を手に取るシャルは、軽く中を見ると、驚くのだった。

 そこに書いてある文字は日本語、漢字もある、とこどろころ英語も・・
最初のページには、目次に近い物があり
1ページに2曲ていど、歌の歌詞と音楽的な記号が細かく書いてあった。

 その全てが手書きである
だいたい、1冊500曲前後、5冊で2500曲
その全てを覚えている?

 そして、あ3は日本語を理解できる事に驚くシャルだった。


そして、シャルは、さらさらっと、目次を見ていくと。

「これがいい」

 英語で書かれた歌詞を指差す。

「わかった、ハイ・ジュードね」

 「あ3は、この歌の意味を知ってる?」

 「僕は、この英語って文字は読めても、意味は分からないんだけど
 元気を出せって言う優しい歌だって聞いた」


 「うん、そうなんだけどね
 この歌はね
 貴方なら出来る、諦めるなって
 悪い事もあるだろう、苦しい事もあるだろう
 全てを1人で背負い込むなんて、愚かな事はするなと
 自分の狭い世界を破って、進めって
 貴方次第で、世界は変わる、貴方にしか出来ない事がある
 貴方になら出来るはず、悲しい歌も、どんな歌だって
 貴方なら素敵な歌が歌えるはず
 って歌なの、今の、あ3にピッタリの歌だよ
 私が教えてあげるよ
 あ3・・
 貴方の歌は
 素晴らしい
 美しい
 綺麗
 きっと
 諦める事なければ
 この世界の歌姫になれる
 絶対に・・・・・・」

 そう言って、僕はまた、シャルに強く抱きしめられた。

「さぁ歌って、私の為に、そして、あ3の為に」

 僕は頷くいた
でも、気になる言葉を口にした、シャルに
その意味を聞きたくなった・・・・・。

「ねぇシャル・・歌姫って何?」

 顎に手を当てるように、考え込むシャル
そして、導きだされた言葉は。

 「歌姫?かぁ・・・・
 歌が認知されていない、この世界では説明は難しけど・・・
 世界に認められた、歌の上手な女性歌手?かな?」

 「・・・・・・・」

僕は、メニューを開き、自分のステータスを出し、観覧可能にする
そして、ステータス画面の一部を指差し、シャルに見せるのだ。

 本来はダメである
自身のステータスを見せることは
自身の弱点をさらけ出す事と同意であるが
レベル1の、あ3にとって、それは関係ない事だった。


 そして、それを見た、シャルは驚くのだった。


「あ3・・・これって・・」

 「うん・・僕の職業は【歌姫】
  昨日ギルド登録したら、こうなってた」

 シャルは瞳に涙を浮かべながら
力強く、そしてやさしく、その思いを口にする。

 「そう、あ3貴方は、そういう運命なのよ」

 そういって、再びシャルは、あ3をその腕に抱く。

「あ3、私は貴方に逢えてよかった
 この世界で、初めて逢ったのが貴方で本当によかった・・・」

 「僕も、シャルと逢えてよかった、僕の小さな世界を変えてくれた

 心優しいシャル、本当にありがとう・・・」

 強く抱き合う2人そして。

「さぁ、歌って、親友である私の頼みよ」
 
 ゆっくり微笑むシャル。

 親友・・・そんな事言われたのは初めて、友達さえ居ない私が

 こんな、綺麗な人に・・親友って・・・

 頬を赤く染めながら

 ゾォー3を、優しく鳴らし

 僕は歌うのだった。
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