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第1章・聖騎士
強さ
しおりを挟む僕の心は、何かに握りつぶされそうだった。
それは、僕の・・・あの人から譲り受けた歌をシャルに聞かれたからだ。
家族には、嫌われ蔑んだ目でみられ
村人からは、変な歌、気持ち悪いとも言われ続けた歌を・・。
きっと、シャルも、僕の事を嫌いになる
突き放すだろう、そして又、僕は1人に・・・・。
ゾォー3を両手で抱え
震えながら小さくなっていく僕が聞いた言葉は
想像を遥かに超えた言葉だった。
「すごいよ!あ3とても綺麗な歌
感動した、心が震えたわ
でもなんで隠してきたの?
こんな素晴らしい歌声を?」
「え・・・だって、変だよね?
みんな言ってる、僕が唄う歌は、変だって気持ち悪いって・・・。」
あ3は肩を震わせ、見上げるのだった
綺麗な歌と、素晴らしい歌声と言ってくれた、彼女の瞳を。
そして、シャルは、あ3の言葉を否定するかのように
驚きの言葉を口にする。
「何が?変なの、あれって【I・LOVE・YOU】でしょ
とっても上手かったじゃない、本物の歌手かと思っちゃたよ」
え?なんで・・・。
歌の題名なんて言ってない
それに、この歌を知っているはずがない・・・。
「なんで、あの歌を知ってるの?」
「なんでって、あれは、私の世界の歌だから
コッチの世界でも流行っているの?」
「シャルの世界の歌?・・・・だから・・でも・・・」
僕が落ち着くまで、少しかかったけど
その間、シャルが少し話してくれた。
僕が歌った歌は、シャルの世界の歌だったらしい
【I・LOVE・YOU】は数十年前の歌だけど
僕の歌った歌の中には最近の歌も、あったらしい
少し冷静さを取り戻した僕は
この世界の歌の事を説明する。
この世界の歌は、2種類しかない
1つは、協会で歌われる、神を讃える歌
これには歌詞は無い、発音は「あ」や「は」や「な」と
あぁ~~~~~あぁ~~~~あぁぁ~あぁ~~と音階のみであり
楽器の演奏はない。
もう1つは吟遊詩人の歌う
物語に近い、話唄である
そして楽器と呼ばれる物は、リュートであり
この世界では、リュート以外の弦楽器は存在しない。
その他に世界で広がっているのは打楽器と数音しかでない笛くらいである
そう、この世界で歌とは、吟遊詩人の語り口調の物語のことだと
そして、音階は7個しかないと
言っても誰も理解できないだろうけど
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの6音のみだと。
僕が歌う、シャルの世界の歌は、この世界には存在しない
そして、その歌は、変な歌として
僕の村ではバカにされてきた事を・・・・。
僕の鳥族の女性である高い声
そして、あの人が教えてくれたのだけど。
僕が何の鳥族かは分からないが
僕が唄う歌声は、なぜか特徴的な和音での発音となってしまう事をおしえてくれた。
それは、普通の声の上に小さな音で、数度上の音階や
1オクターブ上の声が混じってしまう現象を引き起こしてしまう。
だけど、音のでない、超高音の音波に近い歌声は
町に居る、亜人や獣人の低い声の持ち主にとって不快なのらしいのだ。
特に成人に満たない若い子供には、特に嫌われていた
そう、人族や、エルフ、ホビット、同族である、鳥族ならまだ知らず
低い声を持つ亜人や獣人の種族にとって
僕の声は不快であり、生まれた時から嫌われていた事を
気づけば、僕は大粒の涙を流し話していた。
シャルは、優しく、あ3の身体を抱いた。
この世界のNPCだけど、この娘には・・・・。
いや、この世界のNPCにはNPCの生活があるのだと
頭の中では、そうかもと思っていたが・・・・。
目の前にある、あ3の話を聞き涙するシャル。
生まれた時から、嫌われイジメられ
どれだけ辛い思いをしてきたのだろうと。
多少は、理解できる、私もイジメられっ子だった
だけど、私は逃げた、学校も行かなくなった。
うるさい家族からも逃げるように、部屋に篭った
そして、【LAW】と言う、非現実世界に逃げた・・・。
だけど、この子は、あ3は、逃げずに戦っていたのだと。
村人に周りに嫌われ、家族に嫌われても
歌は辞めなかった、それが素晴らしいものだと信じて疑わなかったんだと・・。
強い
この娘は強い・・・
私より遥かに・・
シャルは、あ3を、この世界の全てから守るように抱きしめ涙した。
あ3は、シャルの暖かさに、心の安らぎを見つけるように涙するのだった。
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