水彩画の名前にちなんで

松藤 四十二

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赤い家、アブストラクト

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 さて、赤い家を想像してほしい。屋根は、壁は、どうなっているか想像してほしい。煙突はある? 瓦? 藁葺き? 壁は煉瓦? 土? 何階建てかな? 庭はある? 庭に二羽ニワトリはいる? 家族が住んでるのかな? 一人暮らし? 内装はどうだろう。床や壁は赤い? 家具も赤い? それとも普通? 赤いのは外だけ?
 そもそも何で赤いのだろう。ペンキ? それとも血? その赤い家で、今、何が起こっている?
 なるほど。よくわかった。
 じゃあ、次にその赤い家を壊してほしい。ハンマーでも、重機を使ってもいい。とにかく壊してほしい。
 壊した? 壊したかな?
 じゃあまた赤い家を想像してほしい。ただし、今度は抽象的に想像してほしい。
 赤い家を抽象的に。
 できるかな? でも、とにかくやらないと。赤い家を抽象的に想像するんだ。
 できないのなら、きみを抽象化する。とるに足らない人間にしてしまう。
 でも、その方が楽になることもある。具体性がなくなると、すごく生きやすくなることもある。生きるだけでいいんだから。特定の悩みや幸せなんて考えなくていいんだから。
 さ、赤い家を抽象的に考えるんだ。赤い家を抽象的に。
 考えた? 考え終わった?
 よし、じゃあ最後のテストだ。これに当てはまったら今日と明日は人間として生きてくれ。君として生きるのではなく。人間として、だ。
 言っている意味はわかるよね? 君の存在なんてどうでもいい。君を捨てて、人間として生きるんだ。具体的ではなく、抽象的に生きるんだ。
 よし、じゃあ、テストだ。
 















 その家に窓はあるかな?
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