AI実験 女二人

メカジキ

文字の大きさ
17 / 25

社会人13年目の母と高校生の娘

しおりを挟む
1993年、夏の気配が残る九月。夕方のリビングは、湿気を帯びた風が掃き抜ける。窓辺で宿題をしていた美咲は、雑誌を閉じてため息をついた。ページには、流行のフリルやリボンをふんだんに使ったワンピースが眩しく輝いている。

「ねぇ、お母さん。このワンピース買ってくれない?」

帰宅したばかりの母、真紀に美咲は雑誌を見せる。真紀は疲れた表情で、肩掛けのバッグをソファに置いた。社会人13年目。広告代理店で働く彼女のスーツは、高級なウールが使い込まれ、上質な光沢を放っている。流行の派手さはないが、生地の良さがわかる、体に馴染んだ一着。それは、真紀の積み重ねてきた時間が形になったもののようだった。

「だめよ、美咲。フリルなんてすぐに流行りが終わるわ。それに、リボンが多すぎてうるさいじゃない。」

真紀の言葉は、美咲の心に刺さった。娘から見れば、母の着ているものはすべてが地味で、流行とはかけ離れている。でもそれは、母がこれまでどれだけ働いてきたかの証拠なのだと、美咲はまだ知らなかった。

「うるさいって何よ!これが今、一番可愛いんだから!お母さんにはわからないよ、どうせ。いつも同じようなつまらない服ばっかり着てるんだもん!」

美咲の声が尖る。真紀は一瞬、眉間にしわを寄せたが、すぐにその表情は穏やかになった。

「そうね、私にはもうわからないのかもしれないわね。でもね、美咲。本当に良いものっていうのは、流行り廃りなんかじゃないの。」

真紀はそう言って、クローゼットの扉を開けた。中には、真紀が若い頃に着ていたらしい、淡いピンク色のブラウスがかかっている。柔らかなシフォンに、控えめなフリルと小さなリボンがあしらわれた、上品な一着だった。それは、美咲が雑誌で見ていたような派手さはないけれど、触れるとふわっと柔らかく、どこか懐かしい香りがした。

「これもね、昔は流行っていたの。でも、流行りが終わっても、いいものはこうして残るのよ。このブラウス、フリルもリボンも、決して派手じゃないけど、繊細な手仕事がしてあるの。本物の良さっていうのは、こういうところにあるのよ。」

真紀の言葉を聞きながら、美咲はそのブラウスに触れた。確かに、フリルの一枚一枚が丁寧に縫われ、リボンも形が崩れていない。そして、母のスーツの生地の良さも、美咲には少しだけわかった気がした。着古されているのに、くたびれていない。それは、本物の証。そして、母が社会人として重ねてきた、13年という時間の重み。

美咲は、流行のフリルとリボンばかりに目を奪われていた自分を恥ずかしく思った。母が仕事でどれだけ疲れているか、そして自分にどれだけ良いものを与えようとしてくれているか、美咲は初めて心から理解した。

「...お母さん、ごめんね。雑誌ばっかり見てて、お母さんのこと、全然わかってなかった。」

美咲が素直に謝ると、真紀は美咲の頭を優しく撫でた。

「いいのよ、美咲。あなたがいろんなものに興味を持つのはいいこと。ただ、流行に流されず、自分にとって本当に良いものを見つける目を養ってほしいの。その方が、きっとあなたの人生は豊かになるから。」

その夜、美咲は母の言葉を噛みしめながら、クローゼットの奥にしまわれた、淡いピンクのブラウスをそっと抱きしめた。フリルとリボンが、静かに美咲の頬に触れる。それは、流行ではない、母から娘へと受け継がれる、優しい愛情の形だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...