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閉ざされた街
33 再会
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「逃がしてしまいました・・・」
異形の怪物が消え去った下を見つめていたダレスに後ろからアルディアが無念そうに呟く。
彼女も魔族が完全に力を取り戻していない今こそが撃ち倒す機会と信じ、彼に続いて追い掛けて来たのである。
「ああ・・・だが、アルディア。お前が無事で良かった! あれが・・・」
手の内の一部を見せた敵を逃がしたことはダレスにとって痛手だったが、当初の目的であるアルディアの救出と合流は成功させている。ダレスはアルディアとの再会を喜びつつも、逃げた怪物、おそらくは魔族本体について詳しい事情を彼女に聞こうと後ろを振り返った。
「アルディア様! よくぞ、ご無事で!!」
「ええ! ありがとう、ミシャ! あなた達の助けがなければ私は・・・感謝しますよ!」
ダレスの視界に、まるでカモシカのような跳躍で主人に抱き付くミシャの姿が映る。かなりの勢いだったが、アルディアは動じることなく嬉し涙を流す従者を受け止めた。
質問の途中ではあったが、美女と美少女のやり取りを邪魔するほどダレスも野暮ではない。
二人が落ち着くのを待ちながら、アルディアの状態と彼女の身に起きた出来事を吟味する。
既に完治しているが、彼女の全身には乾いた血がこびり付いていた。ダレスが救助に現れるまで治癒の奇跡を使う余裕もないほどの激戦だったと、その姿と回りに転がる怪物達の死骸が物語っている。
それにしてもと、ダレスはアルディアの姿をまじまじと見つめてしまう。
元々、彼女が纏っていたのはガウンのようだが、今や激しい戦闘によって傷んでおり、その見事な曲線美を隠しきれなくなっている。
特に盛り上がった胸部には激しい切れ込みがあり、彼女の大事な部分が零れてしまいそうになっている。
いや、例えガウンが万全の状態だったとしてもダレスはアルディアに見惚れていただろう。それほど彼女は魅力的な肉体を持っていたのである。
「止めろ! アルディア様をそんな目で見るな!」
ダレスの視線に気付いたミシャが非難の声を上げて自身のマントをアルディアに被せる。
「いや、まさかアルディアがこんな立派な・・・鎧を着ていた時にはこんなに大きい・・・いや、何を言っているんだ俺は! す、すまない!」
動揺しつつもダレスは謝罪を口にする。男として当然の反応だが、失礼なことには変わりがない。
「だ、大丈夫です。ダレスさん! ユラント神は過度な肉欲への執着を戒めているだけです! 男性が女性に興味を持つことを禁止しているわけではありません! ですが、私も心の準備が・・・」
なぜかアルディアはダレスの行いを非難することなく、どこか場違いな神の教えを口にする。それでも異性に今の姿を見られるのは恥ずかしいのだろう。ミシャから与えられたマントの前を慌てて手繰り寄せた。
「・・・それはさておき! アルディア様、先程の怪物が復活した魔族の本体だったのですね?」
ダレスとアルディアが互いを意識している状況にミシャは何らかの危機感を抱いたのか、本来なら真っ先にするべき質問を改めて問い掛けた。
「え・・・ええ!! そう・・・そのとおりです、ミシャ・・・あれが再びこの世界に現れた魔族の本体です・・・」
ミシャによって状況を思い出したアルディアは頷くものの、その顔には葛藤らしき影を浮かび上がらせる。
「魔族は・・・行方不明だった・・・私の双子の兄弟でもあるスレイオン王子が復活させていたのです。詳しくは・・・」
兄弟の許されない裏切り行為を伝えるには悲痛の決断が必要だったと思われるが、アルディアはこれまで隠していた自身の出生を含めて、スレイオンとのやり取りと今回の事件の根底となった事実をダレスとミシャに語るのだった。
異形の怪物が消え去った下を見つめていたダレスに後ろからアルディアが無念そうに呟く。
彼女も魔族が完全に力を取り戻していない今こそが撃ち倒す機会と信じ、彼に続いて追い掛けて来たのである。
「ああ・・・だが、アルディア。お前が無事で良かった! あれが・・・」
手の内の一部を見せた敵を逃がしたことはダレスにとって痛手だったが、当初の目的であるアルディアの救出と合流は成功させている。ダレスはアルディアとの再会を喜びつつも、逃げた怪物、おそらくは魔族本体について詳しい事情を彼女に聞こうと後ろを振り返った。
「アルディア様! よくぞ、ご無事で!!」
「ええ! ありがとう、ミシャ! あなた達の助けがなければ私は・・・感謝しますよ!」
ダレスの視界に、まるでカモシカのような跳躍で主人に抱き付くミシャの姿が映る。かなりの勢いだったが、アルディアは動じることなく嬉し涙を流す従者を受け止めた。
質問の途中ではあったが、美女と美少女のやり取りを邪魔するほどダレスも野暮ではない。
二人が落ち着くのを待ちながら、アルディアの状態と彼女の身に起きた出来事を吟味する。
既に完治しているが、彼女の全身には乾いた血がこびり付いていた。ダレスが救助に現れるまで治癒の奇跡を使う余裕もないほどの激戦だったと、その姿と回りに転がる怪物達の死骸が物語っている。
それにしてもと、ダレスはアルディアの姿をまじまじと見つめてしまう。
元々、彼女が纏っていたのはガウンのようだが、今や激しい戦闘によって傷んでおり、その見事な曲線美を隠しきれなくなっている。
特に盛り上がった胸部には激しい切れ込みがあり、彼女の大事な部分が零れてしまいそうになっている。
いや、例えガウンが万全の状態だったとしてもダレスはアルディアに見惚れていただろう。それほど彼女は魅力的な肉体を持っていたのである。
「止めろ! アルディア様をそんな目で見るな!」
ダレスの視線に気付いたミシャが非難の声を上げて自身のマントをアルディアに被せる。
「いや、まさかアルディアがこんな立派な・・・鎧を着ていた時にはこんなに大きい・・・いや、何を言っているんだ俺は! す、すまない!」
動揺しつつもダレスは謝罪を口にする。男として当然の反応だが、失礼なことには変わりがない。
「だ、大丈夫です。ダレスさん! ユラント神は過度な肉欲への執着を戒めているだけです! 男性が女性に興味を持つことを禁止しているわけではありません! ですが、私も心の準備が・・・」
なぜかアルディアはダレスの行いを非難することなく、どこか場違いな神の教えを口にする。それでも異性に今の姿を見られるのは恥ずかしいのだろう。ミシャから与えられたマントの前を慌てて手繰り寄せた。
「・・・それはさておき! アルディア様、先程の怪物が復活した魔族の本体だったのですね?」
ダレスとアルディアが互いを意識している状況にミシャは何らかの危機感を抱いたのか、本来なら真っ先にするべき質問を改めて問い掛けた。
「え・・・ええ!! そう・・・そのとおりです、ミシャ・・・あれが再びこの世界に現れた魔族の本体です・・・」
ミシャによって状況を思い出したアルディアは頷くものの、その顔には葛藤らしき影を浮かび上がらせる。
「魔族は・・・行方不明だった・・・私の双子の兄弟でもあるスレイオン王子が復活させていたのです。詳しくは・・・」
兄弟の許されない裏切り行為を伝えるには悲痛の決断が必要だったと思われるが、アルディアはこれまで隠していた自身の出生を含めて、スレイオンとのやり取りと今回の事件の根底となった事実をダレスとミシャに語るのだった。
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